みつくり「ápbIldυŋ アプビルドゥング」あとがき未満既にどこかで触れた気がしますが、この話は16年くらい前に読んだ長野まゆみさんの『デカルコマニア』の世界観を、完全な雰囲気だけで、具体的な話や文脈を記憶しているのではなく、当時の印象をぼんやりと思い起こしながらつらつら書いた話です。リスペクトと言うのにもおこがましい、拙い仕上がりです。
作中の鋼でできた機械式の獣や虫は自分で考えたものですが、群生で動くワイヤー・テトラポッダは、テオ・ヤンセンのストランドビーストの模写です。かつて一度、科学未来館で実際に駆動する模型を見ましたが、あれはすごいですね。アートなのにコンピュータで生物を生製するところから始まるんです。不可能の具現化にいい意味でぞっとしました。
植物みたいな大倶利伽羅と、彼を知りたい衝動で動くけれど一番未知なのは自分自身という光忠さんを書きたくて頑張りました。濡れ場は本当は要らない気がしたんですが、心の繋がりがままならないふたりを書きたくてこういう形になりました。ふたりしかいないし服なんて着てなくていいや、っていう適当が前面に出てます。お風呂も以下同。
バイオとか栄養学とか分からなさすぎてご都合もつけられないちんぷんかんぷんの描写ばっかりなっちゃいました。あー恥ずかしい。
たぶんこの話は本にはならないとはじめから決めていて、ひとときのものだからと迷いを打ち捨てました。いろいろ辻褄合わないのが仕様です。ごめんなさい。
長野さんの話『デカルコマニア』も転写技法デカルコマニーから来ている言葉だと思っていて、それでドイツ語の転写=アプピルドゥングに置き換えました。こうして同じ話が延々とトレースされていく、という意図です。
ファルケやエッケもドイツ語由来です。例外は最後のルクニナで、あれはつるま「るくにな」が→鶴丸国永、鶴さんだってこと、気づいていただけましたかね笑
話は続かず、ここだけで終わる予定です。ここしばらくの自分の中にあるもやもやを形にしました。
少しでもお暇つぶしになれば幸いです。お付き合いありがとうございました!(ち)