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    とーい

    @utugixt

    👒受すきな🐸。小話ばかり。時々🥗👒ちゃんも

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    とーい

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    メラムギ2ワンドロに参加させていただきます。
    遅筆なものでめちゃめちゃ短いですが……
    現パロ?な兄ルです
    ※年齢操作でルだけしょた
    ※血のつながった兄弟ではありません

    ##メラムギ2
    ##兄ル

    お題「兄弟で夏祭り」兄ル「——ルフィ、チョコバナナ食べたばっかりだぞ?」
    「その前に、たこ焼きといか焼き、それに焼きそばもな。ま、そっちはおれがほとんど食ったけど」
    右と左でそれぞれ、困り顔と呆れ顔で諭してくる、ふたりの兄。
    「やだっ」
    それでもルフィは、絶対にここから動かないぞ、と小さな足でぐっと土を踏みしめて唇をかんだ。
    「ぜーったい、りんごあめたべるんだっ!」


    従兄弟のエースと、縁あって父親が後見人を務めているサボ。
    大学進学を機に滅多に会えなくなった兄同然の二人が、やっと、帰ってきた。
    といっても、ふたりともバイトの休みが取れたのは、ほんの数日だけ。今年はいったばかりの小学校は一ヶ月以上も休みがあるのにどうして、と納得できなかったルフィは、泊まりの連絡をもらった時、喜ぶどころか泣き喚いた。たった二日間しかエースととサボに会えないなんて嫌だ、と。
    だが、それぞれが玄関に現れた日。拗ねて押し入れの中でうずくまっていたルフィをひっぱりだした母親の後ろにくっついたまま二人の顔を見れば、涙はすぐにひっこんだ。
    『泣き虫チビ。そんなんじゃプールにも祭りにもつれってやんねェぞ。……ぴぃぴぃ泣いてねェで、いつも通り笑ってろ』
    『……おれもエースも、ルフィに会えなくてさみしかったからな。気持ちはわかるけど……いっぱい、思い出作ろうな』
    母親のエプロンを掴んでいた手をはなし、屈みこんだエースとサボに飛びつくようにして抱き着いたルフィに、背後で母親が呆れたように笑っていた。

    昨日は、荷ほどきをする間も与えずプールに行きたい!と誘った。
    サボからお土産にともらった新しい水着と向日葵のようなライオンが付いた浮き輪で遊び、帰り道にはアイスクリームを買ってもらって一緒に食べた。夜は、祖父やエースの両親も交えて庭でバーベキューと花火。
    寝る時ももちろん一緒だった。客間に布団をふたつくっつけて敷いて、エースとサボに挟まれて眠った。
    そして今日は、近所の夏祭りに三人で訪れている。
    ルフィが着ている緋色の甚兵衛は、エースの手土産だ。火炎文のなかで小さいながらも口を大きく開けた獅子が吠え猛る図案にサボは微妙な顔をしていたが、にやにやと笑ったエースが取り出した、黒にも見える濃紺の裾で火炎文と竜が描かれた浴衣をルフィがお揃いだと喜んだために渋々ながらも身に着けている。エースは、ぱっと目を引く黄みの強い赤に、白で描かれた火炎文と鬼を背に負った派手な浴衣だ。
    毎年来ていても、祭りはわくわくする。
    ヨーヨー釣りに射的では、ルフィのために二人が赤いそれと水笛を取ってくれたし、なんといっても、ルフィに食べて欲しいと誘いかけてくるおいしそうな食べ物がいっぱいあるからだ。
    ただ、人一倍食べるとあちこちで驚かれるルフィの食欲も、所詮は7歳児のもの。すでにぷっくりとふくらんだ甚兵衛のおなかを、しゃがみこんだエースがぽんと叩く。
    「おォ。ルフィの腹太鼓はいー音だな」
    にやり、と笑って揶揄ってくるエースにむっと唇を尖らせれば、サボが「こら、エース」とたしなめてルフィを抱きあげた。
    「なあ、ルフィ。甘いものはひとつまで、ってお母さんと約束しただろ?チョコバナナで、ひとつだ」
    エースとサボがルフィに甘いことは母親にはお見通しで、際限なく食べたがるものを与えないように、とあらかじめよく言い聞かせられていた。ルフィが食べたいといったかき氷やわたあめをエースとサボが買って、一口だけだから、と分けてもらったうえで、まるまるひとつ食べるならチョコバナナだと決めたのはルフィだ。
    けれど、つやつやとまっかにきらめくりんご飴は、とてもおいしそうで。
    「……なあ、おやっさん。小さいやつはねェのか?」
    きゅ、と肩のあたりを掴んで目線でお願いとうったえるルフィに小さく舌打ちをしたエースが、深くため息を吐いて店主に尋ねる。だが、今日はもう売れてしまった、と返された。
    「まあ、もうちっといけば、他にもあるとは思うがなあ。どうする?兄ちゃん」
    「エース、そろそろ帰る時間だ」
    「ああ、そうだな。……やっぱり諦めろ、ルフィ」
    くるりと踵を返したサボが歩きだし、エースがそれに続く。それでもあきらめられなかったルフィは、サボの肩越しに体を乗り出すようにして手を伸ばした。
    「……あのおっきいの、たべたい……」
    「ん!」
    「……っ……!」
    どうしても、という思いで涙声でねだった時、妙な声が二つ聞こえた。
    「エース?サボ?」
    どうやら音の出どころが二人だとわかったが、顔を掌で覆い隠し俯いていて、その表情はうかがえない。
    「もしかして、くいすぎてはらいてェのか?」
    心配になってそっとサボの肩をゆすり、傍らで足を止めたエースの頬にも触れる。
    と、先に顔を見せたサボが、大丈夫だ、とかすれた声で答えた。
    「……お母さんに、内緒にできるか?」
    「ばれたらおれたちまで怒られるからな。……絶対に誰にも言うなよ」
    「——おうっ!」
    りんご飴を買ってくれる、と決めたエースとサボの言葉に、ルフィは顔を輝かせて力強く頷いた。



    灯りを落とした和室に、どちらともなく零した深いため息が落ちる。
    「——きょうのアレは、ほんっとやばかったな……」
    「ルフィのちっちゃな口も、舌も、まっかになってうまそうだった……」
    小舟が描かれたお揃いのTシャツをパジャマ代わりに、くうくうとよく眠るルフィを飽きることなく眺めていたエースとサボは、もう一度ため息を零した。
    自分たちを兄と慕う、この幼いこどもに対する想いをどうしても捨てきれない。
    離れたことで薄れることを期待していた想いは、久しぶりに同じ時間を過ごしたことで、より深まった。むしろ悪化したな、とどちらともなく自嘲する。
    「……あと、十年くらい、か」
    「馬鹿。淫行罪で捕まるぞ。十一年、だ」
    「あー……長ェなあ……」
    「まったくだな……」
    せめてこれくらいは、とほのかに唇に残る甘味を交互に掠め取った二人は、短い休暇を最後まで楽しもうと、小さな体に腕を回して目を閉じた。
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