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    とーい

    @utugixt

    👒受すきな🐸。小話ばかり。時々🥗👒ちゃんも

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    POIPOI 36

    とーい

    DONEワードパレッドからお題をお借りしました。
    初めてのキスでテゾル妄想
    キスは星の裏側 目を閉じて/今だけ/意味空気だけでなく、足元まで小さく震えているように感じる。
    万雷の拍手に気おされ、ふらり、と倒れかけた体。咄嗟に一歩引いた足でそれを支えたけれど、心もその動きに引きずられた。
    ――ふと、脳裏を初めて出会った日の光景が過った。
    路地裏から聞こえた、微かな歌声。
    喧嘩したのか、服は汚れて肌のあちこちも傷だらけの男が、空き瓶の入ったケースの間に座り込んでいた。ほんの少し怖かったけれど、それでも、耳に心地よく響く低い歌声をもっと聞きたいと、自然と手を叩いてた。
    あの日からずっと、ルフィはテゾーロの歌のファンだ。
    ただ、テゾーロの歌を聞く人々が多くなるにつれ、その歌声が遠ざかっていくような気がした。
    もっと聞かせてくれよ、と暗い路地裏から日の当たる場所に連れ出したのはルフィ自身。それなのに、シャンクスのバーで歌っていたテゾーロが事務所からスカウトを受けた時、はじめてのコンサート、全国ツアー……その歌声が、踊る姿が、TVやすれ違った人のスマホの中にいるのを目にする機会が多くなるにつれて、近くで声を聞くよりも歌声が聞こえる時間は増えたのに、嬉しさよりも寂しさを感じることの方が多くなった。
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    とーい

    DONE供養とはいえ、1時間どころかトータル3時間くらいかかった……(道草食いながら書いたからでは)

    はじめ、メラムギワンドロで投稿しようと書いていた、妖怪兄ズな兄ルです。
    ※NOT兄弟
    似たような話前にも書いたし、他にもいっぱい素敵な妖怪パロが兄ル界にはあるので、煎じすぎてまたかよと思われるかもしれませんが、性癖なのでご容赦ください。
    月の向こう側「お~!イカ焼きに焼きトウモロコシ焼きそばたこ焼き~!!」
     提灯に灯る光と同じ色の空の下、長い参道にずらりと並んだ屋台から漂う、香ばしい匂い。クンクンと鼻を蠢かせ、瞳を輝かせたルフィは、一緒に来た友人たちの中から飛び出し一番近い屋台に向かって走り出した。
    「ルフィ!」
    「急に走ったら……あ、」
    「……っと」
     だが、一歩踏み出したところで、目の前を横切った男性にぶつかってしまう。
    「ごめんな!——じゃなくて、スイマセン!」
     学校でもたびたび、目上の人間に対する言葉遣いがなっていない、と注意してくる教師の言葉を思い出し、慌てて頭を下げる。
     そんなルフィにぶつかってしまった相手は、「気にしないでいいぞ」と笑った。ふわりとふってきた優しい言葉と、軽くてのひらで頭に触れてきた、そのあたたかい仕草。ほっとして顔をあげたとき、ふと、既視感を覚えた。
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    とーい

    DONEメラムギ展示作品


    あてんしょん!

    ●ワノ国IF
    ●サボと乗最初の別れも、頂上戦争もない世界線
    ●サボはエースと別々に海に出た後、いつしかその思想や理念に共感を覚えて革命軍に入った、という設定
    ●エースは一度断念した、ワノ国への介入を白ひげに許可されて、現状を探るためイゾウらとともに潜入中
    ●ルフィは概ね原作通りの経緯でワノ国へ(でも最後にしか出てきません)
    【メラムギ展示用】外つ国(とつくに)の三炎(はな)、ワノ国に舞い落つ 多くの人で賑わう城下町、〈花の都〉。若芽薫るあたたかな風にのり、桜花が舞う。
     都の名にふさわしいあたたかさと華やかさを楽しむ人がにぎやかに行き交う往来で、ひとりの浪人が不意に足を止めた。
     見れば、陽の光を受けて煌めく黄金に惹かれた花弁が一枚、浪人の髪に淡い彩りを添えている。
     ゆるりと波打つ金糸からつまみ取った花弁を眺める立ち姿は、どことなく身分の高さを思わせる雰囲気もあり、まるで人気役者の絵姿。わざとらしく用のない店で足を止めたり、歩調を落としちらちらと横顔を盗み見ていたりした女たちが、悩まし気な吐息を漏らした。
     ただ、端正な顔に大きく残る火傷の後や、鮮やかな青地に力強く踊る綱と紅白の紙垂をあしらった派手な文様という装いに臆し、遠巻きに眺めるだけ。
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    とーい

    DONE1日1ロールタグ五周年とハピエンロルのコラボ企画用作品。
    お題が「夏の花とロール」とのことだったので、いろいろ調べてみてクレオメという花で書いてみました。密かに両片想いなロールです。話に出てくる花は、物語のなかで実際の花とは少し違う不思議な花として描写しています。
    宵に舞う蝶の秘密 そろそろか、とグラスを置き視線を動かしたローに、ルフィもスプーンを動かしていた手を止めた。
    上陸するときは目を開けていられないくらい眩しかった太陽も、この島で一番うまい食事を出すと連れてこられた宿の一階にあるレストランで飲み食いしている間に、水平線へとその緋色の体を沈めようとしていた。
     ただ、ローがそろそろだといったのは、何も活動しやすい時間になったという理由だけではない。風を取り入れるために開け放たれた窓の下に視線を向ければ、色合いを変えた街のなかを歩く人々が同じ方角に歩いているのが見える。目深にかぶった濃紺のローブも、手に掲げた小さなランタンも同じものだ。
     行くか、とたちあがったローの手にも、小島に入る際に火を入れると説明されたそれがある。もう一方の手を差し出されたルフィは、これから始まるという祭りに胸を躍らせながら、麦わら帽子の上からローブをかぶせ、その手を取った。
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