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    kiribako_game

    @kiribako_game のマイハン創作メモ&落書き置き場。うちよそ落書き多め。

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    ご一緒したマルチで35歳のハンターたちがはしゃぐ幻覚が見えたので書きました。やはり一回はハンターの酒ネタは書かないと!楽しい時間をありがとうございました!

    ##うちよそ

    【うちよそ】酒は飲んでも飲まれるな【MHW:IB】【登場人物】
    モリさん:やまださんの新大陸ハンターさん。35歳のアンニュイ世話焼きおっさん。身長190cm。酒は強いが、酔う時は酔う。苦手は味は甘いもの。
    オキ:桐箱の新大陸ハンター。35歳の童顔世話焼かれおっさん。身長178,9cmくらい?酒は嗜む程度の強さ。いつも酔って寝オチする。苦手な味は辛いもの。
    ヒミ:オキのオトモ♂。お喋り。オキの世話役兼通訳者。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー










    「はぁ……」

     新大陸の調査団第五期団のハンター、モリは集会所酒場のカウンターで深いため息をつき肩を落とした。

    「早く選べ」
    「ん」

     隣にいる同じく第五期団のオキは、心なしかいつもよりも落ち着きがない様子だ。それどころかカウンターに少し身を乗り出して酒が並ぶ棚をじーっと見つめている。普段の眠そうな目も、心なしか今は少しだけ大きく開かれていた。感情表現が豊かとは言えないオキだが、普段の彼を知っている者なら間違いなく「上機嫌」だと思うだろう。
     狩猟帰りに「負けたら酒を奢る」とオキに腕相撲の勝負を仕掛けたのが事の発端。正直、勝てるとモリは高を括っていた。腕相撲に誘ったのも、半分はその場のノリ、もう半分はタダ酒を飲みたいという下心からだった。だというのに、その目論みは見事に外れることとなる。

    (操虫棍使いを舐めていたねぇ……)

     オキは調査団に所属するハンターとしては小柄で、モリと比べると身長差もそれなりにある。筋肉量の違いや体格差、そして空中を軽やかに飛ぶという印象が強かったせいか、腕力にものを言わせてねじ伏せるのは容易いと思っていた。しかし曲がりにもこの新大陸に召集されたハンターである。
     勝負は一瞬でついた。それもモリの惨敗をもって。敗因は完全に己の油断と慢心であるとモリは密かに猛省し、もし次があればその時は全力を持って勝負しようと決意した。

    「龍ころし……」
     
     オキがそっと指を指す。棚の端にある陶器で作られた酒瓶には「大吟醸・龍ころし」のラベル。もともとアステラで提供されていた酒だが、大がかりな生態調査を終えた今、拠点間の物流は安定して行われているため、セリエナにも取り寄せられるようになった。なんでも職人が長年の研究と醸造の末にたどり着いたという酒らしく、それなりの値がする。ちゃっかりているなぁ、とモリは苦笑した。

    「俺は銀嶺ハイボールで」 

     ギルドガールから酒とそれぞれ追加で注文したツマミを受け取り、近くの円卓テーブルへ二人は腰をかける。

    「……いただく」
    「おう、ほどほどにな。乾杯」
    「ん。勝利の美酒に」(意訳:勝負に勝って人に奢ってもらう酒はうまい)
    「言ってろ。次は負けないからな」
    「ふっ」
     
     杯を交わし、オキは生のサシミウオを、モリは燻製肉に舌鼓を打つ。

    「相変わらず、オキはライスワインにサシミか」
    「ライスワインには……肉より魚だ……」
    「まあ、魚もツマミに悪くはないな。サバとかも美味い」
    「ん」

     そういえば、とオキの頭にモリのオトモが浮かぶ。あのオトモの名前は確かー

    「……オトモの、名前」
    「ああ、さばかんな。街に住んでいた頃に食った輸入品のサバ缶がうまくてな。そこからつけた」
    「……」
     
     安直すぎないか?とオキの顔に書いてあったが、モリは気にせず酒を煽る。この男、さてはグルメなのか?それともセンスが独特なのか?オキは心のなかで首を傾げた。

    「マグロもいい……焼いてもうまい」
    「マグロかぁ。焼いたらパサつかないか?」
    「火加減次第、だな……」
    「それってミディアムか?それともレア?」
    「……?」

     ふと会話が途切れる。オキがなにやら思案している様子でモリは察し「あー……肉の焼き方の違いだ」と説明した。
     多国籍のハンターたちが所属する調査団で、食文化の話はネタが尽きない。世界中を飛び回っていたハンターたちばかり故に、それぞれの故郷の味や、今まで赴いたことのある国の食事について語る機会は多々あった。
     モリから焼き方の違い教えてもらったオキの(かなり)言葉足らずな説明を要約すれば、曰く「表面だけを強火で焼いて、中はほぼ生の状態で食べるマグロは旨い」ようで、モリはまた新たな知見を得た。「凍て地で、また釣りに行くか……」とオキは小さくつぶやき、龍ころしを口にする。

    「なあ。いつもライスワインを注文するが、そんなにうまいのか?」
    「……ん」

     ハイボール、テキーラやウォッカなどを好むモリにとって、オキがよく飲む芋酒や大吟醸は未知の酒だった。正確に言えば、現大陸にいる時に味見程度はしたことはあるが、その味はすっかり頭のなかから消えている。手元の杯に視線を落とし、しばらく長考した後にオキは杯をモリの前へ置いた。

    「……刺身に合う」

     ようは試しに飲んでみろと会釈し「それじゃ、お言葉に甘えて」と一口。口内に広がる飲み慣れている酒とは異なる辛さ。そしてかすかに甘い香り鼻孔を抜けた。悪くない味だ。

    「へぇ、結構いけるな」
    「ん」

     気に入った様子のモリに、オキは満足げに頷く。その後も、他愛のない話を交えながら……と言っても主にモリが話題を振り、オキは相槌を打つことがほとんどだが、それなりに話に花を咲かせた。銀嶺ハイボールを飲み干し、モリは二杯目に注文した氷柱ウォッカを配給係のアイルーから受け取る。

    「こっちも飲んでみるか?」

     差し出されたグラスに、オキは首を振り「酔う……あと、舌が焼ける……」と眉をひそめた。

    「えーっと、度数が高いってことか?」
    「ん。それに、辛い……」
    「いや、ライスワインも十分度数高いし、辛口なのもあるだろ」
    「んっ」

     オキはやや強めに首を振る。どうやらオキにとって、テキーラやウォッカは「辛い」と見なされているようだ。ハンターを生業にしているくせに実はホットドリンクが苦手と言っていたことを、モリはふと思い出す。

    「ライスワインは辛くなくて、こっちは辛いって?どんな屁理屈だ」
    「モリが飲む酒は……火炎瓶に、できそうだ」
    「なんだそりゃ」

     やはりこいつは何を考えているかよく分からない。もしやもう酔ったのかとモリが杯の中身を覗いてみると、半分以上なくなっていた。

    「ペース早くないか?強くはないんだから無理するな」
    「………………いつもと、変わらない」
    「おい、目をそらすな」
    「……」
    「そのへんにしておけ」
    「……ん」

     ぷいっと顔をそらすオキの肩をモリはガシッと掴む。もともと周りに流されることのないマイペースな性格ではあるが、酒が絡むとこうも頑なになる。いい年した大人だと言うのに、まるで聞き分けが悪い子供のようだ。

    「オーキー、モリのダンニャさんが言うようにペースが早いニャ」

     いつから二人のやりとりを見ていたのか、オキの世話焼き筆頭であるオトモのヒミが、いつの間にかテーブルの近くにいた。オトモの助け船に密かにモリは胸を撫でおろすが―

    「……」
    「……」
    「…………」
    「…………」
    「……あとちょっとだけニャ!ちょっとだけだからニャ!!」

     このハンターにして、このオトモだなと苦笑した。

    ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

    「オキー!起きるニャ!オキー!!」
    「はぁ、言わんこっちゃない」

     テーブルに突っ伏して寝ているオキの頬を、ヒミがぽすぽすと肉球で叩くが起きる気配はまったくない。童顔も相まって、寝顔は妙に幼く見えてしまう。これで自分と同い年なんて詐欺だ。

    「おーおー気持ち良さそうに寝ているなぁ」
    「うー……こうなると絶対起きないニャ……」
    「強くもないのに、酒好きときた。困ったご主人サマだ」
    「ニャア、ボクがいくら飲みすぎに注意ニャ!って言っても全然聞かないニャ」
    「オマエも苦労しているな……」

     そう口先で言うがヒミはオキに相当甘いよな?という言葉を、モリはそっと飲み込んだ。

    「もう慣れたニャ。それにオキがこうして無防備に寝れるのは、ここが安全な場所だと分かっているからニャ」
    「そうかい」
    「それに潰れたらハンターさんたちに遊ばれることも承知したうえニャ」
    「……ナニかされたのか?」

     好奇心に負けて恐る恐る聞いてみる。

    「温泉に放り込まれたり、装備を脱がされたり……そのまま着せ替え人形になって女装させられたこともあったニャ。マムガイラ装備とかヴァルハザク装備を着せられていたニャア」
    「……そいつはまた」

     絵面がキツイ。いくらオキが童顔であっても、別に女顔というわけではない。ヒミは「オキの自業自得ニャ」とばっさり言い切った。主人であるオキにはとことん甘いのかと思いきや、こうした容赦がない一面もあるようだ。オキとヒミは付き合いが長いとは聞いていたが、築き上げた信頼関係の上でのことなのだろう。

    「ひとまず自宅まで運ぶか。担いでいった方が早いな」
    「モリのダンニャさん、お世話になるニャ……」
    「おーおっさんに任せておきなぁ。世話を焼くのは慣れているさ」

     会計を素早く済ませ、テーブルに突っ伏しているオキを軽々と肩に担ぎ上げた。

    「これで貸しひとつだな、オキ」
    「んんー」

     オキがもぞもぞと身動ぎする。

    「縺セ縺謌ヲ縺医k」
    「ん?」

     寝言なのか。オキがこぼした言葉が、モリにはまったく聞き取れなかった。

    「……『まだ飲める』って言ったニャ」
    「夢の中でも飲んでいるのか、こいつ」

     まったくいいご身分だ。この貸しは何で返してもらおうか。そんなことを考えながら、モリはヒミと共にオキの自宅へ足を運んでいった。




    【補足という幻覚語り】
     同い年の新大陸ハンターにシンパシー!!!ありがとうございます!!!

     身長もかなり離れているし、オキが童顔なのもあって絶対周りから5~10歳くらい年が離れていると思われていそう。最高。しかもオキは特に指摘も否定もしないし(昔から年下に見られ続けてきたのでもう慣れたというか指摘が面倒になった)モリさんも説明が面倒で放っておくかもしれないという。最高。きっと二人が同い年と知ったら「はあ!?同い年!?」「これだから東生まれは」「モリは年相応なんだよ、オキがおかしい」「分かる」と言い出して当のオキ本人は「?」解せぬという顔をしている。
     モリさんとキャラシのパラメーターを見比べて、オキの方が俊敏性が高かったので、腕相撲は一瞬でケリをつけたという幻覚。きっと勝負が長引けば確実に負けるとオキ自身も思ったのかなと。体格差から見て、純粋な腕力の強さで言えばモリさんの方が上だと思うので。酒が絡むとやる気マシマシで本気で勝負するオキでした笑
     ちなみに翌朝、様子見にモリさんがオキの部屋を訪ねると、ベッドで泥のように眠っているオキとその上で大の字で腹を出しながら寝ているヒミの姿があったとかなんとか。

     お粗末様でした!
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