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    くじら

    @Tomimeisei07 の文や落書き、スケベピクチャの投げ場です

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    くじら

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    付き合ってるなゆみゆがデートしてて界川さんが旭さんに見繕った服着せてる話。界川さんはもちろんですが旭さんもだいぶ界川さんのこと好きじゃん。て文になった(事後報告)

    なゆみゆデート話「やっぱ那由多、こういうのも似合うって!かわいいじゃん」
    ぽんと背中を叩いて鏡の前へ連れて行くと、そっぽを向いていた銀髪がようやく深幸のほうを見た。
    「お前、なんでそんなに楽しそうにしてんだ。……意味わかんねえ」
    薄い唇がはあ、と小さく息を吐く。仏頂面なことに変わりはないが、いつもの鋭い眼光はなりを潜めた緋色がゆっくりと細められた。比較的に今日の那由多は機嫌が良いほうなのだろう。その証拠にこうして深幸の見立てた衣服を大人しく試着している。
    「んーー…だってさ、好きな子が俺の選んだ服を着てくれてたら嬉しいじゃん。それにいつもと違うテイストのも似合うなって気づけることもあるし?」
    思っていることをそのまま口にしてみれば、妙に気恥ずかしくなった。目の前の恋人はというと、不可解だと言わんばかりに僅かに眉を顰めて腕を組んだ。深幸といる時の那由多は、普段よりかはこうして思っていることを露にしている。それは喜ばしいことなのだが、ここまで共感を得られないと本当に那由多は己の恋人なのかと不安にもなってくる。否、那由多に共感を求めているわけではない。ただ、独りよがりな気持ちの押し付けはしたくないのだ。気がつけば深幸の視線は足元に落ちていた。
    「……急に黙り込んだと思ったら、なんて顔してやがる」
    呆れの混じった静かな声にハッと顔を上げると、組んでいた腕をそっと解いた那由多が近くの什器からサングラスを手に取る。そして真顔のままブリッジを摘むと深幸の鼻筋に押し込んだ。一気に視界がセピア色に塗り変わり、那由多の髪も服も暗く赤みがかる。こういう色も似合うなあ、なんて頭の片隅で呑気な考えが過った。
    「お前のそういう欲は意味わかんねえ。……だが、別に拒絶する理由があるわけじゃない。お前がやりたいなら勝手にしろ」
    これまで指折り数える程しか見たことないような、穏やかな表情に慌ててサングラスをずらす。夕焼けを閉じ込めた瞳がほんの一瞬だけ三日月形に細められ、深幸の心臓はどきりと高鳴る。それを見た那由多はふ、と微かに笑ったような笑っていないような声を漏らして、おもむろに財布を取り出した。
    「買ってくる。そいつはお前にくれてやる」
    深幸が見繕った物を何一つ脱ぐこともなく足早にレジに向かう様子にじわじわと何かが込み上げてくる。本当に、ずるい男だと思う。
    「ちょっ……俺が払うから!かっこつけさせてもくれないのかよ」
    緩んだ口元はそのままに、どこか上機嫌な背中を追った。



    ーーーーー


    「おい、値札を切れ」
    恐らく切ってくれようとした店員から鋏をなぜか借りた那由多が振り返った。ん、と持ち手の部分を突き出されて反射的に受け取ってしまう。
    「あー…はい、俺が切るのね…」
    那由多様の仰せの通りに。なんておどけてみせると、跳ねた白銀の癖っ毛がくすりと笑うように揺れた気がした。
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