悪魔とクリスマス。街中はクリスマスのイルミネーションで彩られ、賑やかな音楽と楽しげな笑い声が響いている。夕とパストルーパーは、そんな雰囲気の中を歩いていた。
「なぁんかこの時期ってな、ゾワゾワすんな」
パストルーパーがぶつぶつと呟きながら、飾り付けられた大きなツリーを見上げる。
「なんで?」
夕は不思議そうに振り返りながら答える。
「私、クリスマス好きだよ」
その言葉に、パストルーパーは半ば呆れたように眉を上げる。
「お前さ、悪魔とクリスマスの関係考えたことある?聖なる夜とか言われてんだぜ?」
彼は軽く夕の髪の毛を引っ張る。
「能天気も大概にしろよ」
「いた……」
夕は軽く頭を押さえながら、不服そうな顔で彼を見上げる。
「残念だね。クリスマス嫌いなんだ。せっかくケーキ予約したのに」
その言葉に、パストルーパーの表情が一瞬だけ硬直する。
「ばーか、ケーキは別だろうが」
彼は肩をすくめて軽く笑いながら言い返す。ケーキの魔力に屈する悪魔。
「つーか、お前、ケーキって何だよ。どこで予約した?」
「内緒」
夕が少し得意げな顔をすると、パストルーパーはすかさず身を乗り出す。
「はぁ?そんなんじゃ味が保証できねぇだろ」
「大丈夫だよ。ちゃんと美味しいところだから」
彼はじっと夕の顔を見つめると、諦めたように手を振った。
「ま、期待だけはしといてやるよ。でも、もしイマイチだったら、その店ぶっ壊すからな」
「やめて」
夕が呆れながら歩を進めると、パストルーパーは彼女の横に並びながら軽い調子で続けた。
「ほんと、ケーキさえあればクリスマスも悪くねぇかもな」
その夜、自宅でケーキを食べる二人。
パストルーパーが一口ケーキを食べ、満足そうに口元を拭く。
「……まぁ、合格だな。お前にしては上出来だ」
「私、ただ予約しただけだけど」
夕が冷静に突っ込むと、彼は肩をすくめながらニヤリと笑う。
「それでも主の手柄って俺様が認めてやるよ」
静かに流れるクリスマスソングと暖かな灯りの中、二人は奇妙ながらも穏やかな時間を過ごしていた。