『大人を甘く見るな』 危険な橋を渡っていると、自分でも思う。
あってはならない成り行きに身を任せ、年端もいかない少女に溺れて互いを貪り合い……事が済めば週に一度の約束を取り付けて別れる。
それを繰り返してもう一年になるが、そうやって私を受け容れる彼女は不気味な程に物分かりが良い。
私は唯一、彼女のそういうところが好きではなかった。
「惚れた方の負け……か」
断言をすれば、私は彼女を好いている。
そして彼女が私にそうなるように仕向け、若さに似合わない手練手管を用いた事も理解している。
だが、彼女もまた私と同じなのだ。力と欲を持て余し、それをぶつけ合える相手が出来たのだから。
「——面白い」
それで勝ったつもりなら、腹を抱えて笑ってしまうよ。
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