Hello World 「Hi!元気かな?」
立ちすくむすずりの目の前で、空から逆さに彼を見下ろしたのは小さい少年だった。
「結局、君の正義は君のためでしかなかったんだよ。」
少年はニコニコ笑う。重力に従って垂れ下がる前髪からは、満月のような瞳がのぞいていた。
「寂しかったんだろう?わからなかったんだろう?」
「誰かに一緒にいてほしかった?共感してくれる友達を望んだ?」
その言葉に彼は俯く。床には何もない。ただ真っ白で、何もない空間はすずりを救わない。そんな様子を見て少年は心外そうに目を丸めて彼の頬を両手で挟んで無理やり目を合わせた。
「責めていないよ!そんな痛そうな顔をしないで?」
「自分のためでいいじゃない。君が笑わなきゃ、世界の誰も、君のためには笑ってくれないよ!僕はね、君が笑ってくれない世界は正しくないと思うから。」
「自分を助けるついでに、周りのみんなも引っ張ればいいじゃない!きっと世界はそうやって幸せになるんだから。」
「世界が笑うと君が嬉しいように。君の笑顔が好きな誰かもいるんだから!」