星が巡る夜空の話 灰が舞う。風にさらわれて、数多の命が空に還っていく。空を見上げれば、姿は見えずとも、そばにいる。そんな都合のいい物語を見出して人々は、大切なものを失った悲しみを和らげるのだ。
でも、僕は欲張りだから。もっと身近にいて欲しいと願ってしまう。悲しみが募っていく胸は、張り裂けそうに引きつり痛むから、哀が零れないように天を仰ぐ。隣に在ったはずの確かな生身の感触に焦がれて、空に送った者が昇っていく煙に手を伸ばす。
燻る煙は空虚だ。くねる白い線は指をすり抜けていくばかりで、一向に掴めない。どんどん広がって羽ばたき、僕から離れていってしまう。
いかないで。どうか、戻ってきて。やっぱり引き返すという選択もできるんだ。どうか、どうか、僕を選んでまた、隣に居て欲しい。
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