「ほなお疲れ〜!みんなゆっくり寝ぇや!」
「お疲れ様でした!」
「……」
「……」
「なぁ簓さんって外で解散した時さ、いっつも駅前の方に帰るよな」
「あーだな」
「あっちって住むとこあったっけ」
「マンションあんじゃん」
「いやでも簓さんって単身で最近こっちに来たんだろ。駅前なんてクソ高ぇ分譲マンションとタワマンしかねぇよ」
「確かに」
「繁華街行ってるとか?」
「簓さん仕事でもその合間でも繁華街行くことあんのに帰る前にまた行くとかあるかぁ?」
「じゃあどこ住んでんだよ…てかどうやって暮らしてんだ…?」
「左馬刻さんなら知ってそうじゃね」
「知らねぇって言ってたぞ」
「まじ?」
「この前簓さん酔ってベロベロになってた時送ってなかったっけ?」
「あーそれ呼んだタクに簓さん突っ込んで左馬刻さんは普通に横浜帰ったっぽい」
「雑で笑う…」
「てか…駅前の繁華街っつったら風俗じゃね、裏にすげーあるし」
「あ、下宿もあるんだろ、オネーちゃんのやつの」
「そこ転がり込んでたりして」
「そんなことある?ドラマかよ」
「俺のダチそれやってた、ホスト崩れだけど」
「まじか、ありかー」
「簓さんだったら口八丁で女の子と部屋住み出来そうじゃね?結構前にもなんか…金払って女の子連れてきてたらしいし」
「あーあれな、簓さんがウチんとこ入る前だろ。左馬刻さんがブチギレてスタンドマイク折って簓さんボコボコにした事件」
「は?なにそれ初耳、女絡み?左馬刻さんが?」
「いやそういうわけじゃないっぽいけど…」
「テメェらまだ油売ってんのかよ」
「おっっっお疲れ様です!」
「左馬刻さんこの辺で用事ですか?」
「おー、もう終わったから俺も帰るわ」
「左馬刻さんって簓さんの事どう思います?」
「はあ…?意味わかんねーこと聞くなや」
「今話してたんすけど、簓さんいつも駅前の方に帰るからどこ住んでんのかなーって」
「女のとこ転がり込んでんじゃないかって」
「クソどうでもいいわ…おまえらも物好きだな本人に聞けよ」
「ッス」
「けどマジで謎だよな」
「簓さんって毎日清潔感あるよな、いい匂いするしやっぱ女…」
「……アイツいい匂いしてるか?」
「えっしてません!?ほのかな…薄めの柔らかい…」
「わかんね」
「男臭ではないっすね」
「左馬刻さんもあれだからじゃないすか、妹さんいるから、柔らかい匂いに慣れてるとか」
「………」
「簓よぉ」
「おん?」
「べつにテメェの生活方法に口出す気はねぇけどよ」
「んん?急になんや?」
「女取っ替え引っ替えしてトラブル起こすんじゃねえぞ」
「へ?なんの話??」
「女と暮らしてんのはいいけどよ、問題起きてこっちに飛び火はさせんなよ…そういうのやらかした奴も昔居たからよ」
「全然話が読めへんのやけど…俺女の子は好きやけど取っ替え引っ替えなんてせえへんよ?」
「……あとあれだ、女ともしちゃんと同居?同棲?してんならちゃんと家に早めに帰ってやれや、女は夜の仕事してんだろうけどそれならすれ違いの生活になんだろ。顔見せれる時はちゃんと見せてやれ」
「なんなんや、どういう事や。彼女か?俺に知らん間に彼女が出来てるんか?左馬刻には見えてて俺に見えへんだけなんか?」
「話はそれだけだわ、仕事すんぞ」
「待ってーーー全然分からん!!」
「あ?テメェ駅前で風俗の女の下宿先に泊まってんだろ?」
「なんで!????どっからそんな話に!!??どこのチャラ男やねんそれ!!!」
「簓の事だろうが」
「んなわけないやろ!!!!俺は…まぁ風俗に行ったりはしたけど!!最近は行ってへんし!どの女の子のところにも泊まってへんわ!!!」
「…………じゃあテメェどこ住んでんだよ」
「へ?言ってへんかったっけ?」
「言ってねぇわ」
「あっでも住んでるっちゅーか泊まってるってのは合っとるわ!」
「あ…?」
「俺ほら、東京にどれくらいおるか分からんかったし、腰据えて相方探すってのも踏ん切り付かんかったからズルズル長期滞在してんねんよなぁ、やっぱアパートとか借りた方がええかな?」
「だから…どこに居るんだよテメェは」
「あっこやで、駅前の…東急のホテル」
「ホ…テル?」
「そや。長期の宿泊プランとか結構安いねん。俺芸人で優勝した賞金もあるし、それでぼちぼちな…部屋で洗濯も出来るしルームメイクもしてくれるしめっちゃ楽ちんなんよ」
「…そういう事かよ…」
「でもおまえとはまだ一緒におりたいし、やっぱり部屋探そかな。左馬刻のつてでええ不動産屋ない?」
「……暇見て見繕ってやんよ」
「ほんま?助かるわ〜!部屋決めたら遊びに来てな!宅飲みしよ!」
「なんでテメェと飲まなきゃなんねぇんだよ」
「え!!そりゃダチやったらウチで缶ビール付き合わせてお笑いの話で盛り上がりたいやん!?」
「お笑いの話なんかしねえよ…」
「じゃあ好みの子の話とか…」
「選択肢狭すぎだろ。まぁ、考えとくわ…」
「ん!」