(仮)fu ru sa to「貴方の故郷は、どんな所ですか」
姫の問いかけに、騎士はいつだったか、バーチ平原で姫にカエルを勧められた時のように、驚きに目を丸くした。
【fu ru sa to】
春の気配を感じさせる風に、雪割草や福寿草が吹かれてそよいでいる。万年雪を戴くラネール山から村に時折吹き下ろす風にも、心なしか、ほのかに暖かな春の匂いが混じり始めた。
雪深いハイラルの東の果てにある村に訪れる短い春は、だからこそ萌え出る生命の、眩しいようなきらめきがそこかしこに満ち溢れていた。
清らかな雪解け水が流れる川に架かる橋の先の村外れにある一軒家では、家主である少女が窓を大きく開け放って、春の空気を胸いっぱいに吸い込んでいた。
「ああ、春ですね……!」
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