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    ふきのとー

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    ふきのとー

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    🔧🆕(にょ) 続き。
    でも出てきてるのは🌌(にょ)と🆕。(🌌巻き添えのにょ)

    めちゃくちゃ私だけが超楽しいやつです。はい。

    後日、彼氏よりもアイドルな某氏は「私の方がしりたいわよ」と泣きながら同僚に愚痴ったそうです。「シン」

     ギンガの、笑顔であればあるほど感じる圧にシンはたじろいだ。
     彼女達がいるのは、超進化研究所京都支部の休憩室だ。大きな脅威が去ったとはいえ、世界にはアラバキのような謎がまだまだ隠されている可能性はゼロではない。むしろシンがかつて語っていたように、世界各所に神話として残されているような未確認の生命体やらが潜んでいてもおかしくはないのだ。その為、いかなる驚異が唐突に現れても直ぐ様対処できるよう、シンカリオンZの運転士たちは定期的にシュミレーションを行っている。今回は合同訓練ということで、シンが京都まで出張してきていた。
     そして今はひとしきりのメニューを終え、久しぶりの交流といったところである、のだが……。
     椅子があるにもかかわらず、シンが床に正座させられて早十分。なれない体勢にそろそろ足が痺れて来た。しかしそんなことをとても訴えられない雰囲気で、シンの目には涙が若干浮かんでいる。
     常に一緒の相棒ことスマットは、ギンガが鬼と変化した辺りからスリープモードになってしまった。薄情者め。
     仁王立ち姿さえキラメク、アイドルの卵様。歌良し、パフォーマンス良し、顔良し、スタイル良しの将来究極有望株は、腰に当てていた手を今度は腕組みに変えた。同性から見て羨ましくて仕方がないバランスの良い胸が細い腕の向こうに隠れる。
     アメジストのような瞳をにぃと歪めて、前のめりにシンに顔だけ近づけてきた。

    「ボク言ったよね? 自分を大事にしないとだめだって☆」
    「い、言った…」
    「その時、シンは何て言ったかな。分かってるって、大丈夫だって、それはもう見惚れるくらいに頼もしいリーダーの顔で約束してくれたよね☆」
    「う、うん…」

     そこで一旦、ギンガは身を起こすと、大きく息を吸い込む。日々のレッスンで鍛えている肺活量と声量で、部屋が揺れたと錯覚するくらいの大声を叩きつけた。

    「なぁんで、簡単にムネ触らせとるんや!」
    「ギ、ギンガ、声が大きい…」
    「異世界人を追いかけて行きよった時と同じ…いやそれ以上に始末が悪い!アブトが望んだからって、何でほいほい身体を明け渡そうとしてるん!?何か?アブトが望めば処女だって捧げる気でいたんか!?子ども産んでくれって言われたら産むんか!?」
    「そんな、こと…は…」

     言い淀んで言葉が途切れた。
     まじかい!ギンガの形の良い眉が四十五度に上がる。
     シンは生々しい話に顔を赤かったり蒼白だったりを繰り返してあわあわ手を振っているが誤魔化されてなどやらない。
     確かにあと少しで中学に上がるにしてもまだ彼女たちには早い話だ。しかし、だからこそきちんと教育しておかなければならない内容である。
     学校で男女別に習ったことのその先へ、ガンガンと夢の超特急で進もうとしているリーダーにギンガはめまいを覚えた。
     隣の椅子に一人で足を組んでどかりと座る。シンが立ち上がりそうになったのを視線で却下した。怒られてる内容に自覚と反省はあるらしく、しずしずと正座に戻る。
     久しぶりに直に会い、お互いの近況やら何やら、アプリ通話では語り切れなかったことをきゃっきゃとおしゃべりしていたら、テンションが上がりすぎてシンの口が滑り先日の碓氷家での一幕を聞かされることになった。
     いや違う。滑らせかけて不自然に言葉を飲み込んだシンに何か面白いことがあったに違いないと踏んだギンガが、言葉巧みに誘導してすべてを白日(LED)の下にさらけ出させたのだ。

    「そういえば、もうすぐアブトの誕生日だね☆ 去年は色々あわただしかったけども、カレカノになって初めての誕生日じゃない? どんなお祝いするか決めた?」

     ギンガとしては、友達のコイバナへの好奇心と、あわよくば初々しい恋心を自分のアイドル活動の参考にさせてもらえたらええなぁくらいの軽い気持ちだった。
     その質問に茹でタコのようになった友人。何かがあったことは名探偵でなくても明白で、そこから軽くジャブを入れながらつつきだしたらドエライものが藪から飛び出して来た。
     彼氏の部屋にて二人きりでキス…までは良いだろう。テレビ画面の向こう側ではなく、知っている二人のってところが何だかこちらまで照れてしまうが、この二人の相思相愛っぷりは決戦前から目にしてるので、むしろまだだったんかい。とにこやかに突っ込める余裕があった。しかし、出発してからの展開が超加速で顔が一気に引きつった。湯気が出そうなほど赤い頬をシンが両腕で隠しつつ、

    「アブトってすごくその、おれのおっ…パイ好きみたいで」

     その顔は事務所に所属する他のライバル美少女たちを見慣れているギンガから見ても大変愛らしいものだったが、写真集を出すより先に切り刻んでタコ焼きの中に入れてやろうかと思う。
     シンは危ない。危なっかしい、じゃない。危ない。大変危険だ。
     通常はちゃんとした危機管理能力は持ってるし、想像力が豊かな分、あらゆる想定をできるからとっさの事態でも対応できる頼もしさがある。
     だが、アブトのことになるとダメだ。全然ダメだ。
     今まで無事だったのは、ひとえにアブトがにぶちん…違う、へたれ、それも違うな、奥手?でもない。慎重だったからだ。
     大体の責任は男にあるとは思うが、この二人を想定するに、アブトは軽いキス程度を所望していたところ、シンがそれ以上を軽々越えさせる言動をしたのではないだろうか。
     好意を寄せている女の子に先んじて許されてしまったら、男などただの動物だ。この二人らしいと言えばらしいが、今回ばかりは友人として苦言を呈さなければならない。
     しかし何と言ったらいいものか。
     少しばかり頭を悩ませる。いくら注意したところで、目の前でアブトが「シン…いいか?」と少し眉を下げただけで頷く気がする。そんな未来しか見えない。一度許されたため、あの男がそれを利用しないはずがない。それくらいにはギンガはアブトを評価(?)している。結局のところ二人、とその周囲の大人、の問題ではあるけれども…このまま友人として黙っていることもできなかった。
     では何が効果的か。
     こうなったら、別の危機感を持たせて自衛してもらおうか。結果に行きつくなら、どの路線を通っても同じことだろう。
     常に心掛けている笑顔を消して、悲しそうな顔を作る。喜怒哀楽の表情は毎日のように練習しているので自由自在だ。

    「シン、ボクは心配だよ…」
    「ギンガ…」
    「だって、よく言うじゃないか。先に身体を許してしまったら、すぐに飽きられてしまうって」
    「え」

     面白いくらいにシンが固まる。
     壇上の悲劇のヒロインの気分で、ギンガは片手を額に当てて大げさなほど嘆いて見せた。

    「ずっと二人が仲良く隣に立っている姿を見たかったのになぁ…」
    「あ、アブトはそんなこと…」
    「飽きる飽きないは意思とは別だと思わない?」

     哀しいくらいに真実だ。この二人が離れる未来など想像できもしないが、彼には誰にも何も伝えないまま行方をくらました前科があるため完全に否定もできまい。
     赤白を繰り返していたシンの顔色は白の割合の方が多くなって、口に手を当てて俯いてしまった。
     ちょっと効きすぎたかな。

    「シン」

     思いっきり優しさを籠めて呼び、同じ目線になるよう椅子から降りてしゃがめば、シンはすがるような目を向けて来た。

    「ギンガ…おれ、どうしよう」
    「そうやな。とりあえず…とりあえず…」

     …どうしたらいいのだろう。
     特殊な環境にいるために多少耳年増だと自惚れてはいたが、何だかんだと彼女もまだ少女である。シンへの脅迫に成功したは良いものの、その先のアドバイスについて適切なものが何も用意できていなかった。
     二人して床に座り込み、頭を抱えることになった。
     その時、休憩室のドアが軽やかな音を立てて開いた。ばっと振り返った二人の前に、超進化研究所の制服をびしっと着こなす、いつも保護者代わりに自分たちを見守り導いてくれた大人の女性が!

    「シンさん、ギンガさん。先ほどのシュミレーション結果なのですが…ってどうしたんですか」
    「「安孫子さん!!」」
    「えっ」
    「男の子を飽きさせない方法について教えてください!」
    「ボクも今後の参考のために!」
    「え、えええっ!?」



    (次回、Barシンカリオンにて小学生に先を色々越された虚しさを訴えるも、涼しい顔してる同僚に、こっちにも先を越された!?と危機感を覚えたりする女性社員の話、があるかもしれない。ないかもしれない。)
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