ヤマクラ155ページ アブトサイド廊下は走ってはいけません
そんな規則はもちろん分かってる。低学年じゃあるまいし、なぜ走ってはいけないのか、そのリスクも。
けれども俺は駆けずにはいられなかった。息が弾む。けれども熱い胸の鼓動が、もっと早く、もっと早くと急かしてくる。
俺はその衝動のままに、シュミレーションルームを目指して見慣れた廊下を全速力で駆けた。
事態が起こってから初めてこんなにワクワクしている。
シンカリオンZアルファXが先ほど完成したのだ。
スマットと機体を奪われ、気落ちしてしまっているのに、それでも必死に立ち向かおうとしている俺たちのリーダーに、そのことをいち早く直接伝える為に!
こんな場合なのに口が笑ってるのが分かる。
これからアルファXのボディような、あいつの燦然と輝く顔が見られると思うと踏み出す足はより早くなった。
あいつがいなくちゃ始まらないんだ。だから。
前置きもそっちのけで俺は叫んだ。
「シン!最終調整が終わったぞ!」