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    遊城 遊梨

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    遊城 遊梨

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    HSR 刃丹⚔️🍁 ドタバタハートフル劇①

    #崩壊:スターレイル
    #刃丹
    #現パロ
    parodyingTheReality

    いい加減我慢するのやめてくれ「朝からむすっとしているな、丹恒」
    「…うるさい」

    とある月曜日。登校する前から丹恒はむすっとした表情をしていた。自分でもわかっていたことだが改めて指摘されると益々気分が悪い。指摘してきた兄─丹楓はそんな丹恒を見てけらけら笑っている。不機嫌の原因を知っているからこそ笑っているのだが。

    「また、手繋ぎだけで終わってしまったのだろう?お前の彼氏は随分奥手だな」

    丹楓の言う通り、丹恒の彼氏─刃は随分と丹恒を大事に大事に扱ってくる。付き合い始めて半年近く経過するもデートはするものの手を繋ぐ以上のことまで発展していない。同年代と比べ大人びているが丹恒だって健全な男子高校生だ。お付き合いとなれば手を繋ぐ以上のことを期待する。そんな期待を裏切って刃は全く手を出してこない。最近、刃の刃は不能なんじゃないか、刃の感情は死んでるのではないかと変な心配事ができてしまっている。

    「まぁ、お前の彼氏は応星の弟だしな。兄弟して変に奥手なだけなのではないか?応星がそうだったしな」

    応星は丹楓の彼氏だ。大学で知り合い、応星が一目惚れして色々あったが現在れきっとした彼氏の座を手に入れている。そして丹恒の彼氏、刃の兄でもある。
    どんな巡り合わせなのか兄と兄、弟と弟でくっついた。

    「丹恒、余から1つアドバイスするなら…色々けしかけやってもいいかもしれないぞ」
    「…はぁ、行ってくる」
    「あぁ、気をつけてな」


    *****


    「1つ、聞いてもいいか」
    「どうしたのたんこー?たんこーから質問なんて珍しい」
    「彼氏が手を出してこないときけしかけるならどんなことをすればいい?」
    「ぶッ!?」

    昼休みザワザワと騒がしい学食でトンデモない質問を丹恒からされた幼馴染の穹は飲んでいたりんごジュースを吹き出してしまった。幸いにも丹恒にかかることはなかったがゲホゲホとむせりが止まらない。

    「大丈夫か?」
    「げほ…大丈夫かって聞きたいのは俺だよ!いきなりなに!?」
    「…刃、が」
    「え、なに刃ちゃん?」
    「刃が、手を出してくれない…」
    「は…?」

    穹が詳しく話を聞けば、半年近くお付き合いしているのにデートと手を繋ぐ以上のことに発展していない、きっと刃の感情は死んでるんだ、不能なんだと要らぬことまで聞かされた。幼馴染として長く丹恒と付き合ってきた穹の顔は話が進むにつれて死んでしまっている。

    「あ、あのさぁ、丹恒…」
    「なんだ」
    「その話、星やなのにはしたのか…?」
    「してないが」
    「絶対にするなよ!?絶対にしちゃダメなやつだから」

    普段の穹と違う凄みのある真顔で念押しされてしまった丹恒は頷くことしかできなかった。相談相手が減ってしまった、と思っていることは内緒にしておいた。

    「刃ちゃん、ああ見えて相手のこと考えて一線引くからなぁ。丹楓さんの言うように丹恒自身がこうしてほしいって言わなきゃ」
    「半年経っていきなりこうしてほしいって言うのはわがままなんじゃないか?」
    「んー、わがままではないと思うけど?あ、俺の場合だけどこうしてほしいってアベンチュリンに言ったら喜んでー!って感じだったぞ」
    「アベンチュリンさんと刃は違うだろう……?」
    「ものは試し!次デートする時、丹恒なりのわがまま、してみたら?」


    *****


    「……丹恒、楽しくないか?」

    穹に相談してしばらく経ったある日、応星から貰ったから、と水族館デートに誘われた丹恒。熱帯魚やライトアップされたクラゲを見たり、イルカやアシカのショーを見てまわった。今は水族館に併設されたカフェで休憩している。ぼんやりとアイスコーヒーをかき混ぜていたら、刃に楽しくなかったか?と聞かれてしまった。

    「あ……、ちゃんと楽しかった、特にライトアップされたクラゲが綺麗で……」
    「なら、いいんだが。なんだかぼんやりしているように見えたから」
    「す、すまない、少し、考え事をしていた」

    (丹恒自身がこうしてほしいって言わなきゃ)

    穹に言われたことを思い出す。刃にしてほしいこと、わがまま、言わなければ伝わらない。今しか伝えるチャンスは、ない。

    「じ、刃」
    「どうした?」
    「今更、だとは思うが聞いて欲しい。刃が俺を大事にしてくれてるのはわかる……でも、俺は、大事にされてるだけじゃ嫌だ。手を繋ぐだけじゃ足りない、その先の事だってしたい。刃は、我慢してるんじゃないのか?そんな我慢しないでほしい……」

    丹恒が言いたいことを言い切った後、刃の方を見るとぽかん…としていた。が、言われた事を理解したのか手で顔を覆い大きく息を吐いた。

    「……お前、それがどういうことが分かっているのか?」
    「俺だって我慢していたんだぞ……」
    「はぁ、分かった……お前を傷つけたくないから我慢していたが、これからはあまり我慢しないぞ」
    「それでいい。それと確認なんだが……」

    ──刃の刃は、不能じゃないんだよな?

    「な、な、なにを言っている」
    「だって、いつまでも襲ってこないから……」
    「はぁ〜……」

    ──今すぐホテルに連れ込んで不能じゃないことを証明してやろうか

    そう叫びたい刃だったが、ここがカフェだったのを思い出し耐えた。

    (……少し、コイツに”恋愛”指導しなければならないか?)

    刃の我慢は減りそうだが、別の悩みが増えたと頭を抱えることになりそうだ。


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