「おっ、宿題してるのか?よしよし、偉いな!」
夕餉の前に談話室で宿題をしていると、突然上から降ってきた快活なその声。
顔を上げると何とそこにいたのは僕の憧れ、カリム・アルアジームその人だった。そして煌めく宝石のような赤い瞳が、僕に優しく微笑みかける。
すると彼はいきなり「今は何の勉強してるんだ?見てやるよ!」と言いながら、僕の隣に座って宿題を覗き込んだ。
り、寮長がこんな近くに⁉︎うわ、近くで見てもめちゃくちゃ肌が綺麗だ……ってせっかく寮長が勉強を教えてくれようとしてるんだぞ‼︎集中しろ、僕‼︎と首を横に振る。
するとココナッツの香りがふわりと鼻腔をくすぐった。そしてムスクの匂いも混ざってて、ってあれ?この匂いを嗅いだ記憶がある。それもついさっき……ああ!思い出した。副寮長と同じ香水だ!さっき厨房に向かう副寮長とすれ違った時の記憶が蘇る。
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