良い子悪い子スイッチ 品行方正。
明朗快活。
誰にでも優しく。
誰からも愛される。
そんな男が俺の前では【暴君】になるのだ。
「杏寿郎…俺ほど役に立つ男はいないぞ?」
「……面倒くさいペットを飼う趣味はない」
射貫くような冷たい視線を杏寿郎は俺に向ける。
二人になった途端パチリ、とスイッチが切り替わるこのギャップがたまらない。
羨ましいだろう。
弱者ども。
お前らなんかじゃ見れやしない。
俺の…俺だけの【暴君】だ………。
「汚れ仕事は任せろ。邪魔なものは全部俺が排除してやるから。なぁ?生徒会長様」
「意味が解らない。そんなことをして君に何の得がある?」
「得?そんなものどうでもいい。俺の望みは一つだけだ」
杏寿郎じゃないと、この望みは叶えられないんだ。
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