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    setouchCAZ

    @setouchCAZ

    【information】
    なんでもありで節操なしです。絵も字も上げます。

    【component 】
    🎨→Twitterにそのまま上げるのを憚られる絵を上げます。主に露出の多い女体化百合やR-18絵。
    🖋→Twitterのリプツリーログ等。30日CPチャレンジ走り切りたい……

    【Attention】
    ・アップロードする作品のタグ付け・CP等についてはプロフカード(https://profcard.info/u/9AFapn8DWZXHRMAIV1BLfrtrPGd2)を参照ください。
    ・R-18はTwitterリスト限定にしております。高卒済相当18歳以上の方であればどなたでも追加致しますのでお気軽にリプやDM等でお声がけください。

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    setouchCAZ

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    30日CPチャレンジ4日目
    On a Date デートに行く
    ーーー
    原作軸(エア・サプレーナ島に到着してから一週間ぐらい)
    眠れないJがCと深夜に海浜デートする話(CP要素ほぼ無)

    ##CJ
    #30日CPチャレンジ
    30-dayCpChallenge

    On a Date 月の出ていない夜、シーザーに宛てがわれた部屋は影すら生まれる余地がないほどに暗闇が充満している。部屋の主は昼間に干された太陽の名残がある布団に挟まり、白いシーツの上に黄金色の髪を散らして眠っていた。
     ジョセフと共にエア・サプレーナ島に来てからおよそ一週間。今までより一層過酷になった波紋の鍛錬にも何とか慣れてきたところだが、それでも身体に溜まる疲労は尋常でなく、日付が変わるよりもずっと早くに眠りに付く日々が続いている。ある意味健康的な生活を送ることができていた。早寝早起きは人間生活の基本なのだ。
     しかしこの日の夜はいつもと少し違うことが起きる。耳をすまさなければシーザーの寝息すら聞こえない程に静寂に凪いだ部屋の中に、誰かが扉を叩く音が響いた。
    繰り返されるノックの音は控えめに鳴らされてはいるが、どんな小さな石でも波の立たない水面に投げ込めば目立つ波紋が生まれるのと同じで、シーザーの意識を覚醒させるのには十分だった。そもそもシーザーは少年期の荒れた生活のために眠りが浅く、どんな小さな物音でも敏感に察知しては目を覚ましてしまう癖がある。人は眠っている時が一番無防備なので、シーザーが身につけたこの癖は生き抜くために重要な命綱だった。
     意識が表層に引き摺り出されたとはいえ、身体は睡眠が抜け切らずに重い。半分寝ている、という形容が相応しい状態だが、シーザーは気合いでベッドから降り、欠伸を噛み殺しながら音の鳴る扉の方へと向かう。

    「…………JOJO?」
    「あ……もしかして、起こしちまった?」

     暗闇の中で目を凝らさずとも、自分より少しだけ背の高く大柄な男といえば該当するのは一人しかいない。ジョセフの声は寝起きのシーザーのものよりずっと明朗ではっきりと聞こえた。彼の声が呼び水となってシーザーの思考にかかる霞が払われていく。

    「いやァ〜あのね? 起きてるか確認するために軽〜くノックしただけなのよ? いくら俺でも眠っている奴を無理やり起こすなんて趣味じゃあないっつーか……」
    「お前まさか、眠れないのか?」

     つらつらと言い訳を重ねていたジョセフだったが、シーザーにぴしゃりと言い当てられると何も言えなくなってしまう。恥ずかしいからか、じっと足元の方に視線を落として目も合わせてくれなくなってしまった。シーザーは欠伸混じりにため息を吐く。
     このエア・サプレーナ島にはスージーQを含むリサリサお抱えの使用人が数人と、波紋の鍛錬に参加しているジョセフとシーザー、師範代であるリサリサとその弟子であるロギンズとメッシーナしかおらず、とどのつまり両手の指で足りるほどしか人がいない。その中でジョセフとシーザーは共通の敵を倒すために修行を行う兄弟弟子であることは勿論、島の中にいる人間の中では互いが最も年齢も近く、気心の知れた仲として親しみやすい距離にいる。だからこそジョセフはこんな真夜中にシーザーの部屋の扉を叩いたのだろう。
    そう考えると彼を無碍に追い返すことなどできなかった。昔は弟や妹たちが似たようなことを言ってきたものだ、と懐かしいとさえ思う。

    「……仕方ないな。俺も目が覚めてしまったし、ちょっと付き合えよ」
    「……すまねえ」

     普段の軽いノリも身を潜めている。これはどうやら重症らしい。
    そうして二人は館から抜け出し、普段遠泳の修行の際に使っている海岸にやってきた。普段は岩場が連なる辺りで鍛錬しているが、今は波紋の修行のために訪れたわけではないので少し逸れたところにある小さな浜辺の方に近づく。
    ジョセフは先ほどのしおらしい様は何処へやら、靴を脱ぎ去って白浜に足跡を残して辺りを歩き回っている。ざざ、と砂粒を撫でながら押し寄せては引いていく漣の音の間に、ジョセフの楽しげな声が混ざった。

    「シーザーも靴脱ごうぜ! 足の裏チクチクする!」
    「それを聞いても脱ぎたいとは思わんな」

     彼の大輪の向日葵に似た笑顔とは対照的に、周囲は見渡す限りに夜のとばりが降りている。人間の営みの灯りが届かない孤島の天井には、様々な明るさ、色に輝く星たちが所狭しと詰め寄っては光を放っていた。水平線と溶け合うところからシーザーの頭上を通り越し、反対側の地平線に至るまで、星の輝いていない空はない。普段このような夜中に空を眺めたことのないシーザーは、小さな煌めきが寄り集まって生まれた光の奔流に圧倒される。
     シーザーが空を見上げて感じ入っていると、それに気づいたジョセフはシーザーの側に近づいて同じように空を眺める。

    「……すげェ、こんなに沢山の星を見たのは初めてかも」
    「ああ、俺もそう思っていた」

     シーザーはジョセフも自分と同じ感想を抱いていることに気を良くし、膝を屈めてその場にしゃがむ。服が汚れるのは少々不快だが、潮風に晒されている時点で無駄な足掻きだと諦めて砂の上に尻を落とした。ジョセフの服の裾を引いて促せば、彼は目線を空に向けながらも特に抵抗なく座った。
     しばらく二人は言葉もなくただ眼前に広がる空と海をぼんやりと眺めて過ごす。シーザーは再び緩やかな眠気がやってくるのを感じたが、ちらりと隣を伺うとジョセフはそうでは無いらしい。長いまつ毛に縁取られたサファイアのように青く透き通る瞳はどこか遠いところをじっと見据えている。マスクをつけているせいで彼がどんな表情をしているのか、その全貌は定かではない。しかしシーザーには何処となく彼の横顔に哀愁の色が浮かんでいるように見えた。

    「……どうだ、眠れそうか?」
    「んー……どうだろ」

     返事を有耶無耶に誤魔化すジョセフだが、曖昧にした時点で否定しているのと同じだった。幾重にも重なる潮騒の音がやけにうるさく響く。
     今のジョセフはまるで子供のようだった。不安に押しつぶされそうになっている。それもその筈で、彼はこの数日の間に常人では決して耐えられないような経験をしたのだ。目の前で人が無惨に死んでいく様子を見、人間を超越した力を持つ柱の男たちに歯向かい、スピードワゴンやシーザーを逃すために自らの死すら覚悟して戦った。その結果彼は体内に二つの毒薬を埋め込まれることになったわけである。自分を庇って死んでいった父親を見た時から柱の男たちという脅威と戦う覚悟を決めて久しいシーザーとは違い、ジョセフは何もわからぬまま死地の際まで引き摺り出されてしまったのだ。その心情は察するに余りある。
     だがジョセフは努力と頑張ることが嫌いだと宣言しておきながら、波紋の修行を一日たりとも怠ることはない。そして今だって弱音を吐かない。唯一彼がしたことといえば何も言わず、ただ夜中にシーザーの元に訪れただけ。そうすることでしか自らの心を慰められないジョセフの気高さにシーザーは内心で感嘆した。そして同時にそうする必要があったジョセフを支えなければと、使命感に近い思いが湧いてくる。

    「明日の鍛錬はどんなだろうな」
    「げぇ、こんな夜中に考えさせるなよ」
    「眠れないなら何か考えておいたほうがいいだろう?」
    「……話題選びのセンスねぇな」

     シーザーの意図するところがわかったのか、ジョセフはそれ以上突っかかるのをやめる。彼がただ眠れないというのはシーザーのところへやってくる理由にならない。これはシーザーの推測であるが、この夜の静けさがジョセフの胸の内に隠した負の感情を浮かび上がらせてくるのに耐えられなかったのだろう。ならば、と気を紛らわせるために適当な話題を振ってみたが、ジョセフの反応を見るにあながち間違いではなさそうだ。

    「鍛錬には慣れてきたか?」
    「多少はな。でもホントに疲れるし、このマスクはうざってェし……こんなこと早く辞めちまいたいぜ」
    「だが、お前の力は目覚ましく成長している」

     いきなり手放しに褒められて驚いたのか、ジョセフはシーザーの方を振り返って見た。
    それを気にせずシーザーは言葉を続ける。

    「お前は向こう見ずなところもあるし、剽軽で良い加減な奴だ」
    「……あれ? 今一瞬褒められた? って思ったんだけど、なんか俺罵倒されてない?」
    「それでもお前は逃げ出すことは決してしない」

     自分の命が掛かっているときであろうとそうだ。自らの保身よりも、彼の根底にある正義感や不屈の闘志、そして祖父の代から受け継ぐ誇り高きジョースター家の血統がそうさせるのだろう。

    「んなこたァねえよ。シーザーも見たろ? ワムウの野郎と戦ってるとき、ばっちり逃げ出したじゃあねえか」
    「いいや、ちっとも見てないな」
    「……なんなのシーザーちゃん。俺を励まそうとしてるつもり?」
    「ああそうだ。俺はお前を励ましてやりたい。だがお前は絶対に死なないだとか、
    俺たちは誰も死なないだとか、そういう無責任なことも言えない。JOJOの言って欲しい言葉をそのままくれてやることもできない」
    「……別になんか言って欲しくてシーザーのところに来たわけじゃねぇんだぜ?」
    「それも知ってる。だがこれだけは言っておこう。俺はお前がどんな気持ちでいるかはわからない。それでも俺はお前を……ジョセフ・ジョースターのことを信じている」

     波の音に言葉が攫われてしまわないよう、できるだけゆっくり、はっきりと音に紡ぐ。星が散ったような瞳をじっと見据え、その奥に隠れたジョセフの柔らかな部分に直接語りかけるように。
     世界が静止したような感覚になったのも束の間、弾かれるようにジョセフは顔ごと視線を逸らす。

    「ばッ、そういうのは野郎に言うんじゃなくてだな……ほんっとにキザで恥ずかしい奴だぜ!」

     乱暴に栗色の髪を掻きながら言う彼の耳はほんのり赤みを帯びていた。
    シーザーはジョセフに対して送る適切な言葉を持ち合わせていなかった。それでも何かを伝えておきたくて、迷った結果思っていることを全て伝えることにしたのだが、それなりに効果はあったようだ。ジョセフは照れ隠しのように立ち上がり、すぐにでも館へ戻ろうと、服についた細かな砂を払っている。

    「帰るか? 次はよく寝れるといいな」
    「おかげさまでな!」

     そう言い放ったジョセフの声色はここに来るまでと比べて随分明るくなっていた。まだ日が昇り始めるまでには十分時間はある。次こそはジョセフの眠りが妨げられませんように、とシーザーは一坪の海岸線に小さく祈りを捧げた。
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