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    0tamo3

    @0tamo3

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    TRAINING児童養護施設で子どもたちに本を読んであげる宜野座さんのお話。
    800文字チャレンジ39日目。
    童話の王子様とお姫様(スノーホワイト) 仕事で児童養護施設を訪れた時、ギノがスーツの裾を引っ張る子どもたちに、童話を読んでやっているのを見たことがある。彼は長い髪を少し垂らして、ぼろぼろになった、今では珍しい紙の絵本を読んでやっていた。絵柄はディズニーの白雪姫。美しい白雪姫と、幼い頃に彼女と出会い、王妃に捨てられてしまった思い人をずっと探し求めていた王子様のストーリー。毒林檎を食べて仮死状態になってしまった白雪姫が、王子様のキスで目覚めるストーリー。いつの日にか王子様が来てくれるその日を私は夢に見る。
     ギノの落ち着いた語り口に、子どもたちはもっと、もっとと絵本を持ち込んで、その様は花城が呆れるくらいだった。私はあなたを子守役として雇ったんじゃないんだけど? とは彼女の弁だ。俺もそう思ったが、普段ドローン任せにされている子どもたちは、人間の大人に興味津々だった。結局この日は残りの俺たちが職員に聞き込みをして、ギノは子どもたちにかかりきりだった気がする。それでも優しい、慈しむような彼の表情は、俺にとって素晴らしいものだった。もしこんな仕事をしていなかったのなら、彼はあんな表情を多くの人々に向けただろう。そう思うと、胸が少し痛んだけれど。
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    TRAINING思い出と今の星の違い。
    800文字チャレンジ48日目。
    星空デート(プラネタリウム) 出島では星が見えない。それは夜も煌々と明かりを灯すイルミネーションのせいだったりするのだが、俺はそれが別に嫌いではなかった。東京も似たようなものだったし、防犯のためには明かりは多い方がいい。それでもふと裏路地に入る時、空に見える星が俺は好きだった。かつて紛争国で見た星々のようで、とても美しくて。
     ギノとは学生時代に何度か旅行に行ったことがある。彼は唯一コンタクトを取れる肉親である祖母とは別居していたから、ギノを縛る者は誰もいなくて、俺は気まぐれに恋人を誘っては放棄された土地にキャンプを張ってひと夜を過ごすことが多かった。もちろん移動はバイク、と行きたかったのだが、彼の愛犬がいることでそれは却下になった。ダイムは珍しい自然の匂いに興奮して喜んでいて、いつもいろんなところを走り回っていたように思う。俺たちはそんな中で肉を焼き、秘密だとビールを空け、酔っ払って何度もキスをした。セックスもした。でも、最後に見るのは、いつだって星空だった。まんてんの星空。びっしりと宝石で埋め尽くされたような星空。俺たちはそんなところでいつも好きだとか愛しているとか、そんな切実な言葉を交わしたのだった。
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