おとこのひとはきらい 小学校に上がって初めて迎えた夏の終わりに、母親が再婚した。彼は外資系の企業に勤める普通の男性で、私にも優しく接してくれた。宿題を見てくれたり、夏休みの自由研究を手伝ってくれたり。学校の行事にも比較的参加をしてくれて、周りから見れば完璧な父親だったと思う。
でも、なんだろうな。馬が合わなかったって言うのかな。
いつもヘラヘラと笑っている顔が苦手だった。それならいっそ、その奥にある本性を見せてほしかった。
でもお母さんに嫌われたくない。迷惑をかけたくない。そんな思いで生きてきた私は、今日十八回目の誕生日を迎えた。高校生活最後の夏。行こうと思っている大学はそんなにレベルの高いところじゃない。必死こいて勉強するなんて性に合わない、でも底辺の大学にも行きたくない。そこそこの生活ができればいい。普通に生活して、普通に暮らしていければそれでいい。高校を卒業したら一人暮らしを始めよう。
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