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    sunabaaaa

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    現パロドレホ🦖🔮+レスラー百獣、大看板と飛び6️⃣砲 後編

    #ドレホ
    dreho

    全年齢・現パロドレホ「おい大丈夫か?ホーキンス……」
     肩を叩かれ、はっと振り向くとページワンが心配そうな顔をしていた。
    「顔色やべえぞ‼︎」
    「控室行くか⁉︎」
    「い、いや……」
     おろおろと狼狽えるジャックとページワンをよそに、ホーキンスの耳元へブラックマリアがそっと近づいた。
    「ドレークが心配……?」
    「‼︎」
     ホーキンスはすぐさま頷いた。
    「あら? 無事みたいよ、彼」
     マリアが指し示す方を見ると、ちょうどモニターにドレークの姿が映し出されていた。
     呼吸は荒いが、視線はしっかりとしている。今はセコンドと何やらやり取りをしていた。
     重傷じゃなかった様子にホーキンスはようやく肩の力を抜くことができた。
    「いい事思いついた……♡」
     マリアはホーキンスの腕を取ると、MC席に歩き出してしまった。
    「い、いったい何を……?」
    「ドレークに怪我して欲しくないでしょ? 付いてきて」
     そう言われるとホーキンスは強く出れない。
     そうこうしてる間に、マリアはMCと何やら話をつけマイクを手に取った。
    『皆さまご注目〜♡ お馴染みブラックマリアよ』
     実力者として顔が知れられているマリアに、観客からは好意的な視線が向けられている。
    『今日は一夜限りの特別試合‼︎ そこで、優勝者には特別なプレゼント……』
     マリアは一度言葉を切り、カメラに向けて流し目をスッと向け、——その隙に、ホーキンスをぐっと自身の近くへ引き寄せる。
    『ここにいる金髪美人から、熱いキスを差し上げるわ♡』
     妖艶なマリアの投げキッスに、観客席だけでなく関係者や選手席からも黄色い悲鳴が上がった。
    『なんという珠玉のサプラ〜イズ♡‼︎ 女神マリアのキスをいただくのは誰なのか⁉︎』
     会場は大盛り上がり、フーは口笛を吹き、ササキはニヤニヤと笑みを浮かべている。
     一方で、何が何だかわからないドレークはぽかんとした顔を晒しているし、ホーキンスはマリアの横できょとんとしている。
    「さ、戻りましょ♡」
    「え? ああ、はい……」
     再び腕を引かれたホーキンスは、ドレークの方を振り返る。
     ドレークは呆然とした表情でホーキンスを見ていた。
    『さぁさぁ、ブラックマリアがうれしいご褒美を追加してくれたところで、第三試合もまもなく開始だ〜‼︎』
     会場は再び盛り上がりを見せていた。
     
     *****
     
    「いいねぇ、マリアからのキスたぁ燃えてくるぜ」
     リングの上でササキが不敵に笑う。
    「おれが勝ったらどこにキスしてもらうかな」
     フーズ・フーもやる気に満ちた様子で、リングへとあがる。
    「…………」
     上機嫌な二人とは打って変わって、ドレークは不気味なほど静かにリングに佇んでいる。
    『互いに一点ずつ獲得し、いよいよ最終ラウンド‼︎ 先に一点取った選手が勝利‼︎ 果たして勝利の女神は誰にキスするのか⁉︎
     ——第三試合、開始ぃ〜‼︎』
     試合開始のゴングが高らかに鳴り、歓声が上がった。
    『最初に動いたのはフーズ・フー‼︎ 迷わず"X"へと向かっていきます‼︎ ササキもそれに続く‼︎ これは第二試合と同じ展開か⁉︎』
     先の試合が頭をよぎったホーキンスは息を呑んだ。
    『おぉっとしかし"X"も負けていない‼︎ 二人の猛攻をいなし、ササキへ見事なカウンターを入れる‼︎』
     すれ違いさまの一発に、観客から歓声があがる。
     しかし攻撃は浅かったのか、ササキは全く動じる様子はない。
    「なんだよ?てめぇもようやくヤる気になったか?」
     意外とスケベなやつだな、とドレークを煽りながらもササキは次の動きを伺う。
    「…………」
     押し黙るドレークに、今度はフーが攻撃を仕掛ける。間合いを詰め、拳の嵐をドレークに浴びせる。
     ドレークは腕で守りながらも、一歩も引かずに攻撃を受け続けている。
     ドレークがどう出るかわからないササキは見に徹している。第二試合までとは違うドレークの様子に、観客たちも動揺を隠せない。
     フーの連撃がわずかに緩んだ一瞬、とうとうドレークが動いた。大きく踏み込み、懐に入り間合いを潰すと同時に、バランスを崩したフーへ頭突きを入れ、そのまま後ろへ倒した。
    「あ〜‼︎ あたしの技‼︎」
     うるティが、パクリでありんす‼︎ と騒ぐ。
     馬乗りになってマウントを取ったドレークがそのまま拳を振り落とす、——その時、すかさずササキがドレークへと突進する。
     しかし、ドレークも直撃をかわし、致命的な一撃から逃れる。
    『一瞬の攻防‼︎ さすが最終ラウンド、誰も一歩も引かない‼︎』
     再び間合いを取った三者は、互いの動きを牽制するように次の動きを伺っている。
     緊迫した空気が観客にも伝染する。
     動いたのはササキとドレークだった。二人ともフーズ・フーへと向かっていく。
    「にゃろう……‼︎」
     低い姿勢で走るササキよりもドレークの方が早かった。フーへと飛び掛かり、空中で体を捻り、回し蹴りを繰り出した。フーがそれを腕でガードする。
    「……チッ」
     ドレークが舌打ちする。そこへササキが襲いかかる。ドレークはそのまま肩を踏み上に逃げ、フーはまともに突進を喰らってしまった。
    『フーズ・フー、これは大ダメージ‼︎ 先取点はササキとなるか⁉︎』
     しかし、フーは持ち堪えた。足はフラフラとしているが、目は爛々と光り、ササキとドレークを睨みつけている。
    『なんとフーズ・フー倒れない‼︎ なんという粘り強さ‼︎』
     ダメージを受けながらも不敵に笑うフーの姿に観客から歓声があがる。
     今度はフーズ・フーがドレークへゆっくりと間合いを詰める。
    「ムカつくなあ……前からそうだ。勝ち負けに興味ねえ癖に人気だけはありやがる……」
     ドレークも警戒を緩めず、フーを正面から睨みかえす。
    「テメェにだけは‼︎ 勝ちは譲らねえ‼︎」
     フーが吠えて、ドレークに飛び掛かる。
    「おれを‼︎ 忘れてんじゃ‼︎ ねえよ‼︎」
     ササキも後ろから負けじとドレークに組みつく。
    『再び二人から同時攻撃‼︎ しかしここは最終ラウンド‼︎ どうやってドレークを落とすかではなく、どちらがドレークを落とすかがカギ‼︎
     ——この状態から抜け出すのはいったい誰だ⁉︎』
     二人掛かりで組みつかれているが、ドレークも全く怯まない。フーもササキもあと一押ししたいところだがドレークにその隙はない。
     ホーキンスはリングの外からただただ祈るしかなかった。
    「ドレーク……‼︎」
     ホーキンスが小さく呟いたその時、——ドレークと目が合った。気がした。
    「……ォ、オオオ‼︎」
     ドレークが叫び、足に力をこめる。
    「オラァ‼︎」
     とうとう後ろに組みついていたササキを振り解き、ついでに顔と腹へ拳を入れる。
     すかさず今度はフーがドレークへと手を伸ばす。その手を交わし、フーの腹へ蹴りを入れる。
    「うおおおおお‼︎」
     後ろへ倒れるフーに向かって、跳躍し腕を構え、両肘を振り下ろす‼︎
     ——ガツン……‼︎
     硬いものがぶつかる音が会場に響いた。
     ノーガードで頭に喰らったフーは、ゆっくりと倒れていき、そして……
    『"X狩場"があざやかに炸裂‼︎ フーズ・フー、ダウン‼︎』
     解説の声が響く。
    『勝者、"X"〜〜〜‼︎』
     観客から大歓声が上がった。
     巻き起こる喝采の中、ドレークがホーキンスに向かって力なく微笑んだ。
     
     *****
     
     ——ドレークが勝った。
    「うおおおおお‼︎ っしゃあ‼︎」
    「よかったなあ‼︎ おい‼︎」
     惚けているホーキンスの背中をページワンがバシバシと叩く。ジャックも興奮した様子でホーキンスの後ろから話しかける。
    「いい試合だった‼︎」
    「おめでとう‼︎」
     歓声の中には健闘を讃える声も多く聞こえる。
     その声を聞いて、ホーキンスは大きくため息をついて項垂れた。
    「……よかった」
    「まだ終わりじゃないわよ」
     ブラックマリアがホーキンスの上から覗き込み、にっこりと微笑んだ。
     ホーキンスはマリアに促され、そのままリングの近くにあるリングと同じ高さで見ることができる場所まで連れて行かれる。
     リングの中央にはドレークと復活したササキとフー、インタビュアーと思われる男が集まっていた。
    『ここでブラックマリアも勝利を祝いに駆けつけてくれた‼︎ さぁ、女神からのキスを……、……おお?』
     ドレークがフラフラとブラックマリアへ、——その隣にいるホーキンスの方へ近づいてくる。
    「…………」
    「ドレー……」
     ホーキンスが名前を呼びおわる前に、ドレークがホーキンスを力強く抱きしめた。
     客席から大きなどよめきと黄色い悲鳴があがる。
    「よか、っ」
     続きの言葉はそのまま口から出てこなかった。ドレークが噛み付くようにその口を塞いだからだった。
     ギャ————‼︎ と、客席のあちこちから悲鳴が爆発した。
    「ちょちょちょちょちょ‼︎」
    「なにやってんだおまえ‼︎」
    「カカカ、カカカカメラ止めろぉ‼︎」
     ドレークの突然の行動に周りも動揺を隠せない。
     唇を塞がれながらドレークの腕を振り解こうにも、ホーキンスの力ではびくともしない。
     羞恥と息苦しさでホーキンスの顔はどんどん赤く染まっていく。
    (いい加減に……)
     どうにかしようともがくうちに、左手だけ拘束から外すことができた。
    「……しろッッ‼︎」
     自由になった左手がドレークの横面に見事にヒットした。
     ホーキンスの拳はササキやフーに比べると大したことない衝撃だった。しかし、これまでの試合で蓄積した疲労に、途切れた緊張感、そこへ最後の衝撃がとどめとなった。
     ドレークはゆっくりと倒れ……、そのままリングへ沈んだ。
     周りはなにが起こったのかわからず唖然としている。殴ったホーキンスもぽかんとしている。
    「…………………………え」
    「ええええぇぇぇぇぇ〜〜〜〜⁉︎」
     騒然となった会場でインタビュアーが叫ぶ。
    「それではここでCMですっっっ‼︎」
     
     *****
     
     数十分後、控室——
     部屋にはどんよりとした空気が充満していた。
    「いやあ……まあ……元気出せよホーキンス……」
     発生源の一人、顔を覆って項垂れていたホーキンスは、ページワンとジャックに慰められていた。
    「あの映像……編集とかで……」
    「…………残念ながら今日は生放送だ」
     ジャックの言葉に、ホーキンスは「あああ……」とうめいたきり、動かなくなってしまった。
    「ぺーたん見て♡ めっちゃバズってる‼︎」
    「やめろや姉貴‼︎ 追い討ちかけんな‼︎」
    「やめろだとォ⁉︎」
     うるティとページワンが喧嘩を始めてしまった。
     その横で、床に正座をさせられたドレークがフーズ・フーに詰られている。
    「今カイドウさんとキングが事態収拾してるとこだが、なんか言うことあるよな?」
    「………………」
     ドレークは下唇をきゅっと噛み締め、冷や汗をかきながらも黙秘を続けている。
    「もう、そんなに責めなくてもいいじゃない」
     見かねたブラックマリアが横から口を挟む
    「元はと言えばおまえが原因だろ‼︎」
    「あらいいじゃない。盛り上がってたし」
     あんただって鼻の下伸ばしてたでしょと言われれば反論できなかった。
    「よく言うぜ‼︎ あいつに発破かけるためにやったんだろ⁉︎」
     すでにヤケ酒を始めているササキが大声でマリアに噛みつく。
    「ちゃんとわたしは『金髪美人』って言ったわよ。みんなが勝手に勘違いしたんでしょ?」
     嘘は言ってないもの♡と笑うマリアに、全員深いため息をついた。
    「ていうか、別にドレークからキスしに行かなくったって、ホーキンスに『キスしてくれ』って言えばよかっただけじゃないの?」
     うるティがページワンを絞りながら、正論を投げかける。
    「そんなことおれがする前にブラックマリアの方からキスしてくるに決まってるだろ」
     ドレークの言葉に、マリアは「えぇ〜ひど〜い」と嘘泣きしてみせた。
    「色ボケザウルスがよ……」
    「あ?」
     フーとドレークが睨み合いを始めた。その時、ドアからノックが聞こえた。
    「入るぞ。全員揃ってるな?」
     部屋に入ってきたのはキングだった。
    「とりあえず、報道関係者には『巻き込まれたのは一般人だから』ということで、写真や映像の使用、個人を特定するような言葉や文面はやめてもらうようには伝えた。
     だが……、すでに拡散されたSNSの切り抜きなんかは……、どこまで食い止められるかわからねえな……。告知用アカウントで一般人が映っている映像の使用はやめるようリリースは出しておく。あとはもう見つけたらひたすら運営に報告するくらいしかねえな」
     キングは、はあ……と深い溜め息をついた。
    「元はと言えばおれが連れてきたし、なんやかんやで百獣がトレンドになってるし、……まあ悪いことばかりじゃない、……はずだ。たぶん」
     ホーキンスには気の毒だが、と小さく呟いて、気を取り直すように咳払いした。
    「ところでドレーク。あの事、忘れてんじゃないよな?」
    「は?」
     全く心当たりがない顔をするドレークに、キングは呆れた溜め息をついた。
    「アレだよ、アレ。アレやって終わるぞ」
     ようやく思い出したドレークは再び顔を青くした。
     
     *****
     
    「ウォロロロロ‼︎ 待たせるじゃねえか、ドレーク‼︎」
     リングの中央には巨大な体の男、百獣レスラーを束ねる棟梁、カイドウが待ち構えていた。
    『いや〜今年も色々ありました。まさかあと数時間で年が変わるという時に、あんなめちゃくちゃなことが起きるとは……』
    『驚きましたねえ。人生色々なことがありますねえ』
     試合とは別のキャスターたちがカメラの前で和やかに会話をしている。
     ドレークは嫌そうな顔をしながら、カイドウの前へと進み出た。
     ホーキンスたちは先ほどの席からそれを見守っている。
    「おまえらカウントダウン行くぞ〜‼︎」
     おお‼︎ と、観客と召集されたレスラーたちが応える。
    『3‼︎』
     カイドウが大きく腕を振りかぶり構える。
    『2‼︎』
     ドレークも防御の構えを取り、腰を落とす。
    『1‼︎』
     カイドウが踏み込んだ。
    『——雷鳴八卦〜〜‼︎』
     カイドウの必殺技、凄まじい威力のラリアットがドレークに直撃した。
     ——これが、百獣レスラー毎年優勝者に贈られる「カウントダウン・ラリアット」である。
     試合終了のゴングが鳴り響く。
    『来年もよろしくお願いします‼︎』
     こうして大晦日は幕を閉じた。
     
     *****
     
    「う〜〜ん、どうしよっかな〜……」
     廊下で一人、うるティがスマホを見つめて悩んでいた。
    「なんだ、どうした?」
    「カイドウ様‼︎」
     うるティが顔をぱっとあげた。
    「それがね〜、さっきの放送事故のやつで『"X"は無関係のやつにキスしたのか?』って、ちょっと荒れてて……」
     カイドウは、んん?と首を傾げる。
    「元々連れ合いだろ?あいつら。なにも問題ねえじゃねえか」
    「そうだけど〜、見てる人は知らないからそれ」
     ウォロロロロと、カイドウは上機嫌に笑った。
    「だったら『あいつら元々そういう関係だから問題ない』って言えばいいじゃねえか」
    「そっか〜‼︎」
     さすがカイドウ様でありんす♡と、うるティはさっそく文面の作成に取り掛かった。
     
    〈"X"と彼は恋人同士だから問題ナシ‼︎〉
     
    「ついでに写真もつけちゃお♡」
     そうして『"X"に見える男性が、後ろ姿だが長い金髪の男性に膝枕してもらっている写真』がSNSに掲載された。
     
     ——……カウントダウン・ラリアットが始まる十分前の出来事である。
     
    終わり
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