Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    onionion8

    @onionion8

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍙 🍫 🍠
    POIPOI 73

    onionion8

    ☆quiet follow

    濡れ場が書けないのであとはご想像にお任せしますなケイアキ

    ケイローンの部屋は鍵が壊れているらしい。らしい、というのはケイローン本人がそう言っていたのを聞いたことがあるだけで、アキレウス自身はその鍵を操作したことがないからだ。あの部屋はいつでも開け放たれていて、迷える人を受け入れる。そんなイメージがあったため、鍵があることすらアキレウスはほとんど意識していなかった。
     だがもちろん、閉ざすべき時はきちんと閉ざしていたのだろう。たとえば夜。アキレウスがこっそりと部屋を訪いケイローンの愛を乞うた時。あるいは戦闘の帰り。昂ぶった身体の熱を互いに発散させようと、そのまま連れ込まれた時。アキレウスは大して気にしたこともなかったが、ケイローンはきちんと鍵を掛けていたように思う。ピ、と無機質に鳴く電子音が、手繰った記憶のなかに確かに響いていた。
     そういう行為に及ぶ時、部屋の主が閉ざした扉に空気が変わる。うっすらと膜を張ったように熱がこもる。それを合図にケイローンは男の顔を見せた。その賢者でも友でもまして父や兄でもない顔は、ただアキレウスにだけ向けられる。もう子供ではない心と身体。それを確かめるように撫でられた頬からじわりと熱が感染する。涼やかな目元に灯る欲、いやらしく歪む唇のかたち。抱き寄せられて口づけを交わす瞬間に見るあの笑みは、いつもアキレウスの頭を甘く痺れさせた。
     そうして鍵を掛けた部屋での秘め事は、時間の許す限り続く。夜が明けるまで互いを貪ることもあれば、穏やかに抱き合ったままふたり微睡むこともある。手酷くされることはないが無茶な抱き方をされることはままあるし、それをアキレウスから求めてしまうこともあった。
     体力も精力も英雄として恥じるところは何もない。特別色を好むたちではなかったが、知ってしまった快楽に今はすっかり溺れている。満たされることは気持ちいい。愛されることは心地いい。アキレウスはそれを丁寧に教え込まれるままに飲み込んで、明け渡した身体がケイローンなしではいられなくなるほどになるのを受け入れた。
     ずくりと疼く腹の奥。そこはケイローンだけが暴く場所。ケイローンだけが遊んでいじめてたっぷりの愛を注ぐ場所。なかを満たすあの太さもかたさも熱さも全部アキレウスは覚えている。ぐちゅぐちゅと響く卑猥な音も、肉のぶつかり合う音も、興奮に繋がり身体を昂ぶらせる。もっと、奥の一番気持ちいいところ。そこに欲しいとねだるアキレウスをケイローンはいつも甘やかした。褒めるようにやさしく落とされる口づけが、さらにアキレウスを淫らにさせる。
    「先生、今日の夜は空いてますか」
     食堂へ向かう道すがら、ケイローンをつかまえ問いかけた。人型をとる師に残る尻尾がばさりと揺れる。その言葉よりもずっと早くて素直な反応に、アキレウスはじわりと気恥ずかしくなった。
     たったひと言で期待が先走る程度には、互いに夢中になっている。肉欲に振り回されるほど愚かではないつもりでいても、もう相当にだめになっているのを否定できない。じくじくと身体の奥で燻ぶる熱は、夜を待つのももどかしいと訴える。それを何とか抑え込み、アキレウスは深く息を吐いた。
    「それは、はい、予定は何もありませんよ」
     だが先ほどの反応は、ケイローンの方がよほど恥ずかしかったように見える。めずらしく顔を赤くして、ぼそぼそときまり悪そうに肯定の答えが返ってきた。視線は壁を向いている。
     そういう姿を見せられると、アキレウスは胸がざわついた。ずっと昔はケイローンがこんな顔をするとは想像すらもしなかった。それはベッドの上で見せる顔もそうではあるが、ケイローンも元は妻子ある男で何よりケンタウロスなのである。雄の顔をすることくらいはまだ分かる。だからこうしてただ照れた様子を見る方が、アキレウスには落ち着かない。
    「あの、じゃあ今夜、先生の部屋に行きますから!」
     その落ち着かなさから逃げ出したくて、アキレウスは告げるだけ告げるとその場を離れることにした。火照る頬の熱が下がらない。こんな顔で一緒に食事の席につけば、周りから不審がられてしまうだろう。
     廊下を走るなと咎められるよりも早く駆け出した身体は風を生む。後ろから名を呼ぶ声が聞こえたような気もしたが、閃光のようなアキレウスの速度にはとても追いつかない。
     そのまま食堂へは向かわずカルデアのなかをぐるっと走ってシミュレータ室に転がり込むと、ようやく詰めていた息を吐き出せた。食事時なためひと気がないのも都合がいい。アキレウスは雑念にまみれた頭をさっさと切り替えてしまおうと、いつものようにシミュレータを戦闘モードで起動した。
     地形は。気候は。出現させるエネミーは。画面に従いピ、ピ、と指先で機械を操作する。その便利と言えば便利であり、面倒と言えば面倒でもある設定をしながら何か忘れているような気もしたが、今は余計なことを忘れるためにわざわざここに来たのだった。五感も思考もただ戦うことだけに研ぎ澄ます。
     大方今日の献立でも思い出しかけていたのだろうと見切りをつけて、アキレウスは最後の確認ボタンを押した。あとは思うままに敵を屠るだけである。キメラ、ラミア、ケルベロス。怪物と呼ばれるそれらを悉く槍で貫いて、その返り血のなかで雄々しく笑う。それは自分よりも古い時代の英雄の姿そのままで、遥かな昔、英雄というものに憧れていた頃の幼い夢がこうして叶っているのが愉快だった。
     肉を裂き、骨を砕いて命を絶つ。もとより仮想の敵ではあるものの、屠るほど、その爪や牙が掠めるほどに、興奮は高まり頭も冴えてくる。ここらですべて轢き潰そうか。そう決めたアキレウスが指笛を高く響かせれば、三頭立ての戦車が空を破って現れた。
    「行くぞ! クサントス、バリオス、ペーダソス
    !」
     手綱を取り、二頭の神馬とそれに劣らぬ一頭の名馬に声を掛ける。嘶きを返す可愛げくらいあってもいいんじゃないかと言いたくなるが、それよりも駆け出す脚の方が速かった。かつてトロイアの地で縦横無尽の活躍を見せた幻想の具現、流星のように光り輝き大地を蹂躙していく宝具を前に、怪物は為すすべもなく蹴散らされてゆく。
     そうして累々と散らばる死骸の山を後にして、アキレウスは戦車から降り立ちふぅとひとつ息を吐いた。サーヴァントをもう一体召喚するのと変わらない魔力消費と言われる宝具の展開に、飢えに似た渇きが霊基のなかで渦を巻く。
    「先生、部屋にいるよな。たぶん」
     設定した敵をすべて倒し尽くしたことで、シミュレータは正常に終了したらしい。広がる空と大地が消え失せて、無機質な白い空間が戻ってくる。その空白は瞑想するのにちょうどよいといつもであれば思うのだが、今のアキレウスはいつもよりずっと欲に素直になっていた。先ほど交した約束が、どうしようもなくそうさせる。
     自らが呟いた言葉によって浮かんでしまった師の姿に、渇きは疼きへと変わり果てた。失くした魔力を求める先が、本来頼るべきマスターではなくなってゆく。この仮初の身体にも刻まれた、最も魔術的な素養も技量も必要ではない原初の術。生命の根源たる体液に含まれる魔力を啜るという行為。
     しかし、今はもうそれすらもついでのこととしか思えずに、ただ師としてではなく恋人として、この身体を満たして欲しくなった。熱く注がれるモノをはやく感じさせて欲しかった。
    「もう……いいよな」
     ふわふわとした頭で片付けを済ませると、アキレウスはシミュレータ室を後にした。見慣れた廊下が妙に果てしなく見えてしまい、熱く震える息を吐く。こんな時こそ霊体化すればいいという考えは頭からスカンと抜けていて、ケイローンの部屋まで早足で向かってゆく。
     身に纏うオレンジの布が尻尾のようにはたはたと揺れているのが分かっていても、足をゆるめることはできない。夜と約束したのを覚えていても、辿り着いた扉の向こうに感じる気配に身体が勝手に火照ってしまう。
     誰ともすれ違うことがなくて助かった。そう思う一方で、誰かが呼び止めてくれたならこんな、はしたない姿を晒さなかったに違いない。そんなことも考える。コツコツと軽くノックを響かせると、応えもないままドアが開いた。そこには当然部屋の主が立っていて、アキレウスを見るなり腕を掴み、やはり言葉もないまま部屋に入れた。背後で扉が軽やかな音とともに閉まる。
    「アキレウス」
     ようやく口を開いたケイローンは、やけに重々しい声でアキレウスの名を呼んだ。
    「ああ、いやその、ちょっと早かった……すよね」
     反射的に叱られる前に謝罪と言い訳を探してみるが、より本能的な部分では、強い雄からの支配を感じてぞくぞくと身体の疼きが強くなる。いつからこんな身体になったのか。いや、されたのか。被虐の悦にごくりと唾を飲み込んだ。
     こんなにも人の性癖を歪めることを、あのケイローンから教わった。他人には言えない秘密のひとつ。そんな秘密を抱えるのは、かつてのギリシャ世界で探してみもアキレウスただひとりだけだろう。そのどこか歪んだ優越もまた、アキレウスには悦になる。
    「でも先生。俺がこんなに我慢できなくなったのは、先生のせいだろう? 先生が、俺をこんなふうにしたんだから、ちゃんと責任取ってくれ」
     悦に染まった不埒な身体が求めるままに、ケイローンの手を取りベッドへ導いた。そしてさっさと鎧を脱ぎ捨てる。現れた黒のインナー姿は見慣れたものであるはずなのに、ぬりと舐めるような熱い視線が向けられた。胸の先がつんと尖っているのを目ざとく見つけられたのだろう。くすりと笑って服の裾をそっとめくりあげてみる。
    「アキレウス」
     再びの呼びかけを軽く口づけることで遮って、アキレウスはそのままケイローンの顔を自らの胸に押しつけた。口づけで得たほんのわずかな魔力の味に、飢えた身体は貪欲に行為を求め出す。それを抑えるはずの理性はもろく、ケイローンの吐息が期待に震える乳首を撫でるだけでも崩された。吸って、と小さくねだる声が自分のものでないように甘くこぼれ落ちる。
    「あっ……、あぁっ、ん、んぅ……っ、せんせぇ……っ」
     望んだとおりに胸へとやさしく吸いつかれ、性感が刺激された。何のためにあるのかと言うと快楽を得るためだとしか言いようがないのでは、とそこを弄られるたびに思う。
    「はぅ、んっ、……あっ、ぁッ」
     れろれろと片方を舌で転がされながら、もう片方を指で可愛がられて喘ぐ声が止まらない。もっと、と言葉にする代わりにケイローンの髪を引けば、見せつけるようにいやらしく舌が這わされる。それを左右交互に繰り返されて、アキレウスは視界を滲ませながらも目を離すことができなかった。
     めくりあげた服の向こう側、つんと立つ乳首がてろりと濡れ光り、唇に食まれて見えなくなる。けれどその見えなくなった唇の下で何をされているかなど、自分の身体なのだから嫌というほどよく分かる。乳頭を持ち上げるように舌先がくにくにとやさしく舐め回し、かと思えば痛いくらいに強く吸ってくる。
     そのたびにびくびくと跳ねる腰の動きは隠しようもないけれど、中心がじわりと濡れてしまっているのに気づかれるのは恥ずかしい。今さら何を恥じらうのかと呆れられるかもしれないが、触れてもないのに昂ぶるそこにアキレウスいつも気恥ずかしさを覚えている。それは己が肉欲を制御できない未熟な子供のようだと思える戸惑いと、重ねてそのぐっしょりと濡れた様が女のようではないかと思えるきまりの悪さのせいだった。
    「アキレウス」
     三度目の名を呼ぶ声は、耳への愛撫と間違うほどの近さでそっと囁かれる。
    「へぁっ、あ、ぁんっ」
     ぐ、と押しつけられた下半身。その熱さが脳を痺れさせる。だめだと思うよりもはやく、擦りつけるように腰が動くのを止まらない。淫らな染みが広がり互いの服を汚す。
    「もう引き返せないと思いますが、前にも言ったとおりこの部屋は鍵が壊れているんですよ。もし何かの拍子に誰かがドアを開けてしまうことがあれば、すべて見られてしまうかもしれません」
     ケイローンの雄々しい肉棒に夢中になりかけていた頭に、その言葉はゆっくり時間をかけて辿り着いた。
     見られる。ケイローンとのセックスを。誰にも見せたことがないだろう、情欲にまみれたケイローンの姿が晒される。アキレウスの尻を鷲掴み、ぱんぱんとはげしい音を立てながら何度も腰を打ちつける、あの種付けをする獣のような男の顔が知られてしまう。
    「や、やだ……そんなの……」
    「ええ、あなたのような英雄がこんなにも愛らしく乱れるなんて、誰かに見られたら困るでしょう。いつもは鎧を纏って隠した胸がこんなにやわらかいことも。自らねだるほど乳首を弄られるのが好きなことも。それだけでイキかけるなほどに感じることも。何より、ここに私のモノを咥え込であんあんよがってしまうのも、知られるわけにはいきませんね?」
     胸を揉まれ、そのまま下りた手が濡れた中心をひと撫でし、太ももを掴まれがばりと足を開かされた。そうしてここ、と示された秘部を服越しに陰茎でこねられる。
    「ひ、ぁあんっ、あッ、待っ、せんせぇ……ッ」
     そこまでされて、ようやく自分のことがすっぽり抜けていたのに気がついた。自分だけが知るケイローンを他人に見せたくないとだけ咄嗟に思ってしまったが、晒される対象はアキレウスの痴態も含まれる。冗談ではないと慌てて逃れようとして、しかしベッドに押し倒された身体は動けない。
    「はい。ですがこのまま別の部屋に移ることはできませんし、止めるつもりもないでしょう? ですから、ね。アキレウス。静かに、静かにしましょうね」
     しぃ、と幼子にするよう人差し指をぴんと立て、ケイローンは微笑んだ。ただしその笑みは幼子には決して見せない種類の笑みである。
    「いつもよりゆっくりと、音も声も抑えていけばきっと大丈夫ですからね」
     言い聞かせる声は耳に懐かしく心地いい。それはずっと昔の子供の頃、この声を信じていればよかった頃を思い出させる。あたたかく触れる大きな手。上から注がれる愛おしむような甘い眼差し。
     すべてが安心と結びついて、アキレウスはその幼い頃に何度も口にしたように、はい先生、と呟きこくりと頷いた。ケイローンの笑みが深くなる。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏🙏🙏💖💘💖💖💖😿❤❤☺👏👏💯🙏🙏💞💖💖💖💖🙏🙏💕💕💫🙏❤❤❤💖👍👍❤❤🙏🙏☺☺🇱🇴🇻🇪☺👍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works