5/4超全空無配ペーパー 甘い気配が行き違う。
「狭いか?」
「……いや、平気だ。お前こそ窮屈ではないか?」
手違いにより、今宵はジークフリートとひとつ床で眠ることになった。
とは言っても、ベッドのサイズは男二人で入ってもそれなりに余裕があるものだ。彼の体温は感じるものの、寝具の取り合いをするほど狭いわけではない。
「俺は大丈夫だ。すまないなパーシヴァル、俺の確認不足でこのようなことになってしまって」
「構わん。ベッドサイズがこのくらいであれば、二人で眠るにしても差し支えはなかろう」
「ああ、……そうだな」
背中越しに伝わってくるジークフリートの気配が、もそり、と落ち着かぬ様子で身じろいだ。
本日の夕刻、ジークフリートが予め手配してくれていた宿に到着してみると、通された部屋は大きなベッドがひとつ置かれたダブルルームであった。ツインの部屋に替えて貰えないかと交渉してはみたが今宵は満室で変更は難しいと言われてしまったため、仕方なしに彼と同じベッドで寝ることにしたのだった。
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