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    mizus_g

    @mizus_g
    パージクとたまにヴェラン 字書き

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    mizus_g

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    パージク版リミットフリー創作企画
    お題「黒竜騎士団時代」お借りしました
    パーシヴァルがまだ10代で、騎士団に入って間もないころを想定しています。もろもろ捏造と妄想設定を含みます。

    #パージク版リミットフリー創作企画
    #パージク

    夕暮れに秘密をひとつ いくら扉をノックしても返事が無い。
    (明かりの消し忘れか……?)
     四度目のノックを終えた後、まるで反応の無い扉を前にパーシヴァルは途方に暮れた。
     団長ならば執務室に居るはず、と仲間から聞いたのはつい先程のことだ。まっすぐ寄り道せずに執務室にやって来たためそう時間は経っていないし、部屋の明かりがついているので当然在室しているものと思ったのに、居ないのであろうか。
     パーシヴァルは手にしている紙束へと視線を落とした。先にたまたま城内ですれ違った文官から「騎士団長に渡しておいてくれ」と頼まれた書類だ。まとめて紙袋に入れられているため何の書類であるのかはわからないが、おそらく次年度の入団試験に関するものであろう。最近、騎士団と関わりのある文官達がよく入団試験についての話をしている様子を見かける。団長であるジークフリートが中心となって試験のやり方を改革しようという試みがなされているらしく、文官達と揉めているようだ。
     騎士団の構造改革ともなれば一団員であるパーシヴァルにとっても他人事ではない。ウェールズからの預かりと言うだけで居づらさを感じている身としては、ぜひ、王と騎士団長の言う「開かれた騎士団」を目指すことを支持したい所存だ。
     だがしかし対立派閥の相手であるからと言って頼まれ事を放り出すわけにはいかないので、とにかくこの執務室にジークフリートが居ないのならばどうにか探し出してこの書類を手渡さねばならぬ。だとすると次に探すべきは何処だろうか、鍛錬場には居なかったはずだし、時間帯からして食堂や宿舎のほうに居るとも考えにくい。彼の私室は此処から離れているので、先ほどまで執務室に在室していたという情報が正しいなら私室に帰っているという可能性も低いだろう。
     もしかしたら、王の傍に居るのかもしれない。しかし闇雲に王の私室や謁見の間へ立ち入るわけにもゆかぬ。あるいは城の外に出てしまっているのであれば追い掛けようがないし、待ち伏せをするのも非効率であるし、どうしたものか。何処に居るのか情報から集めるべきなのかもしれぬが、正直なところ大した用でもないのに時間も掛かりそうで面倒さが勝る。ただでさえジークフリートという男は神出鬼没で行動が読みにくいため、いま何処で何をしているのかなど別段親しいわけでもない自分に判るはずがないのだ。
     パーシヴァルはうんともすんとも言わぬ扉の前で書類を抱えて立ち尽くしたまま、廊下側の小窓から漏れる明かりを見つめて瞳を細めた。
    (居ないのか……)
     やや拍子抜けしたような気分だ。
     ジークフリートと一対一で会う、と思うと、パーシヴァルはどういう訳か表情や四肢に不要な力が入ってしまう。だから、この部屋の扉を叩く直前はひどく全身が強ばっていた。
     力んでしまう理由は強者を前にした本能的な緊張であるのかもしれないし、気むずかしそうな相手に対して身構えてしまうがゆえなのかもしれない。パーシヴァルはジークフリートのことを恐怖してはいないが、彼のことをよく知っている訳でもない。彼と知り合ってからまだ一年も経たぬうえに一対一で話す機会も滅多に無いため、いつまで経っても掴み所の無い不思議な男という印象のままだ。
     パーシヴァルはジークフリートの姿を思い浮かべながら、あまり深く考えずに扉のハンドルに手を掛けた。鍵が掛かっていることを確認するための動作であったが、予測に反し、扉は軽く押すだけで僅かに軋む音を立てながら開いて室内の光を漏らす。
    (開いている)
     扉を開けると、少し湿った風が抜けていってパーシヴァルの前髪を揺らした。窓が開いているようだ。
     ゆっくりと室内へ足を踏み入れると、夕間暮れの空をうつす窓が少しだけ開いて風を通している。部屋の中は、僅かに埃っぽい渋い匂いがして、静かで、郷愁を誘うような粛たる空気に満ちていた。壁の照明にも机の上のランプにも灯がともっているが、見たところ室内は無人だ。ほとんど物の置かれていない机にも、ソファにも、本棚の周りにも誰の姿も無い。そう言えば本棚の配置が変わっているような気がするが――。
    「……なんだ、お前か」
    「!」
     何処かから聞こえた声に驚き、パーシヴァルは開いたままの扉の傍で身体を強ばらせた。
     ジークフリートの声だ。
     居るのか。しかし、見回してみても姿は無い。
     向こうはこちらの姿を確認しているような口ぶりだが、こちらから彼の姿が見えないというのはどういう訳か。パーシヴァルは思わず天井を見上げた。まさかジークフリートが天井に張り付いている訳もなく、当然ながら上方には誰も居ない。
    「すまんな、驚かせたか。……あ、扉を閉めて、鍵を掛けておいてくれ」
    「か、鍵を……?」
    「ああ。隠しておきたいものがあってな」
     まず先に姿を見せて欲しいところではあるが、ジークフリートの声は戸惑うパーシヴァルにそう指示をした。パーシヴァルはどきどきしながら言われたとおりに部屋の扉を閉め、内側から鍵を掛ける。室内を揺らしていた風の流れが止まり、部屋の中の空気はしんと静かになった。
     一歩、踏み出す。部屋の中央へ。どこへ向かったら良いのかもわからないし、どの方向に向けて声を掛ければ良いのかも不明だ。
     ジークフリートの声は、部屋の奥の方――本棚の裏から聞こえてきたような気がするが、まさか本棚の裏に居るのだろうか。なんのために? しかし、そういうつもりで見てみると、配置換えのなされた本棚と壁の間には不自然なデッドスペースがあるように見える。まさか、あそこに身を隠しているのだろうか?
    「あ、あの。団長。姿が見えませんが、どちらにいらっしゃるのですか」
    「おっと。そうか。そちらからは見えないのか、すまない」
     予想外の展開に困惑するパーシヴァルをよそに、ジークフリートの声音は妙にのんびりとしている。
    「待ってくれ、いま、出る」
     そして、がさがさと物音を立てながら、彼は本棚の裏側から幌のような厚手の布地を掻き分けて姿を現した。鎧姿ではあるが籠手だけは外していて、その腕には何か小さな黒いものが抱かれている。
    (何か居る)
     小さな黒いものは、毛の生えた両耳を頭の上でぴんと立て、ジークフリートの腕の中に収まったまま首を伸ばしてパーシヴァルのほうを見た。
     まるく、艶のある緑色の瞳と視線が合う。
     そうしてそれは、やや怯えた様子で、にゃあ、とか細い声で不安げに鳴いた。
    「……猫?」
     猫である。
     猫もパーシヴァルを見ている。
     ガラス玉のような緑色の瞳が大きく見開かれて、こちらを凝視している。
    「ああ。猫だ。あまり目を合わさないでやってくれ」
    「目を合わせない方が良いのですか?」
    「あまり見つめすぎると敵と見なされるぞ」
    「……なるほど。わかりました」
     促されるまま素直に、パーシヴァルは猫の瞳から視線を逸らした。
     ジークフリートは机の傍まで移動し、木製の広い机の上に猫の身体を下ろした。猫は置かれたままの体勢でしばらくじっとしていたが、ジークフリートが指先を伸ばして喉元を撫でるとやがてごろごろと喉を鳴らし、首を逸らしながらころんとその場に転がって腹を見せた。甘えるように全身をくねらせ、顎を撫で回す指にかぶりつく。小さな口の中に、小さな牙が見えた。
     ジークフリートが吐息をこぼして笑いながら「こら、痛いぞ」と猫を撫でると、猫は知らん顔をして彼の指の腹をぺろぺろと舐める。
    (……このひとは、こんな顔をするのか)
     パーシヴァルは慣れた様子で猫を構うジークフリートの表情をそっと窺いながら、その様子を意外に思った。
     小動物に対して優しい、などと言うイメージからは程遠い男だ。おそらくそれは騎士団の誰もが思っていることであって、ジークフリートは寡黙で、無愛想で、孤高かつ人間離れした、化け物じみた強さを持つ特殊な男だ――というのが皆の共通認識であろう。普段からあまり感情を見せぬ瞳は冷酷であるようにも見え、変わらぬ表情は無機的で、まるで心を持たぬかと思わせるほどに硬質であった。近寄りがたい男であることは誰にとってもそうで、その強さとストイックな様子を崇拝あるいは畏怖する者は少なくないが、彼に親しみやすさや優しさを感じている者はほとんど居ないはずだ。少なくともパーシヴァルの周囲ではそうだ。パーシヴァル自身もジークフリートの芯の通った生き様には憧れを感じていたが、彼の中にこのような柔らかな部分があるとは欠片も考えたことがなかった。
     いま、ジークフリートは、小さな猫を撫でてあやしながら、時にその無骨な指先を差し出して好き勝手にしゃぶらせている。猫は机の上で身体を長く伸ばして転がり、気持ちよさそうにジークフリートの愛撫を享受していた。獣とは思えぬほど警戒心の無い様子にパーシヴァルは面食らったが、猫にもそれぞれ性格があるだろうし、猫を扱う人間の方にも才能や適性があるものなのかもしれない。ジークフリートはきっと、猫の扱いに長けていて、かつ、向いているのだ。
     その表情は見たこともないほどにあたたかで、床しい愛情を湛えた円かな微笑みであった。いつもは鋭く敵を見据えている獣じみた金色の瞳が、今は眼前のちいさな獣をいたわり慈しむ温度でたわめられている。優しそうな眉尻は少し下がっていて、引き結ばれていることが常の唇はその厚みと血色を隠すことなく綻び、口の中の陰を覗かせていた。
     これまでずっと無機的かつ冷徹に見えていた端整な顔立ちが溶けたように微笑んで、いま、不思議なことに、よりいっそう見違えるほどに美しい。
    「……」
     パーシヴァルは言葉を失った。こういう顔をする男であったのか、と思うと、今まで胸にあったジークフリートという男のイメージが根元から崩れてゆくようであった。崩れたもののかわりに、淑やかで情の深い印象を織り込むようにして新たな憧れが甘く編み上げられてゆく。
     本来、心のやさしい男なのであろう。それが周囲の誰にも伝わっていないのは、彼が極端に不器用だからなのであろうか。彼はどうしてパーシヴァルにその優しさを覗かせたのだろう。いや、違う、理由があるようなことではなくきっとたまたま、偶然だ。此処に猫がいるから、そして偶然に自分がこの部屋に立ち入ってしまって、彼と猫の秘密の蜜月を知ってしまったから。甘く優しい顔を見せられているのは猫であって、パーシヴァルではない。無邪気で愛情に満ちた美しい横顔は自分のためのものではない――。
     丁寧に深呼吸をすることで動揺する己を宥めながら、猫にじゃれつかれているジークフリートの指先を見つめる。猫もずいぶんと馴れていて彼に気を許しているようで、甘えたように鳴きながらジークフリートの指を前肢でちょんちょんと突つき、舐めて、かじりついて、ちいさな牙を見せている。その様子は愛らしく、この獣を前に表情が緩んでしまう気持ちは当然のことであるようにも思えた。
    「この猫はどうしたんですか?」
     猫の顔を覗き込みながら尋ねると、猫はジークフリートの指にじゃれつくのを止め、きょとんとした顔でパーシヴァルの瞳を見上げてきた。緑色の瞳が幼気にきらきらしていて、愛おしいような感情が湧いてくる。
     目を合わせないでやってくれと言うジークフリートの声が脳裏に過ぎり、パーシヴァルは慌てて視線をそっぽに向けた。
    「数日前、怪我をした状態で城に迷い込んでいてな、歩くのも辛そうだった。見過ごせずにいったん保護したら、俺のことを恐れないようだったから、とりあえず治るまでは面倒を見てやることにしたんだ」
     そう説明するジークフリートの声は柔和だ。
     喋りながらも猫の背中を撫でている。猫は身体を丸め、円を描く形に収まりながら両の瞳をゆっくりと閉じた。
    「この部屋は確か、生き物を持ち込むことを禁じられていませんでしたか?」
    「一部の者がそう言っているだけで根拠のある決まり事ではないんだが、まあ、見つかれば面倒事になるのは間違いない。だからせめて俺の部屋に連れて行きたかったんだがな、どういうわけか外に連れ出してもこの部屋に戻りたがるから此処で匿うしかなくてな」
    「まさか、本棚の配置が変わったのは……」
    「ああ、こいつを隠すためだ。あの奥の様子は扉の付近からでは全然見えないだろう?」
    「はい、まったくわかりませんでした」
    「万が一急に誰かが入ってきてもあそこに身を隠して気配を潜めれば探されない限りまず見つからんだろう。入ってみればわかるが、中からは僅かな隙間から扉付近の様子が見えるようになっていて、俺ごと隠れることも出来るからな」
    「なるほど。本棚が移動した気がする、とは思っていましたが」
    「気づいていたか」
    「はい。なんとなく」
    「ふむ……違和感が少ないように動かしたつもりだったが、さすがにお前は鋭いな。観察眼が良い」
     急に率直に褒められてパーシヴァルは思わず面食らう。
     なんとなく逸らしていた視線を正面に戻してジークフリートの顔を見ると、彼は笑っていた。
     黄金色の瞳がすこしの熱を秘めて微笑し、眉や頬やくちびるがほどけたように緩んでいる。決して満面の笑みとはゆかずとも彼がパーシヴァルに向けた柔らかい微笑みに、パーシヴァルは胸の奥のほうから押し上げられるような息苦しさを感じて声を詰まらせた。
    「ん? どうした?」
     ジークフリートが首を傾げると、顎に揃うあたりで切り揃えられた柔らかそうな髪が微かに揺れる。
     髪の色や質、肌の艶、その顔をかたちづくるひとつひとつのパーツの存在が、急に心を制圧するようにのし掛かってきて気になり始める。整った容貌であることは知っていたが、ただ色形が美しいというだけのことに留まらぬ未知の魅力があるように思えて心が惹きつけられてしまう。
     唐突にふくらんだ感情を持て余し、何か言った方がいいような気がしつつも何を言ったらいいのかが判断できず黙り込むしかなかった。褒められたことに礼を言ったほうがいいのか、もしくは謙遜でもしておいた方がいいだろうか。しかしそんなふうに媚びたらそこで会話が終わってしまう。くだらないことでもいいからもう少し話をしたい。なんでもいいから声を聞きたい。笑顔のままでいてほしい。彼のことを知りたいし、自分のことを知ってほしい。もっと近づきたい。この気持ちを、どうしたら、どこへやったらいいのだろう。
    「……」
     声が出ない。
     もっと知りたい。ジークフリートの、やわらかいところを。たったひとりで竜と渡り合い屠るだけの実力を備えた孤高の英雄の無防備なところを。人々の賞賛と憧れと畏怖を一心に受けて尚揺らがぬ忠義の騎士の甘やかな笑顔を。
     彼にもやわらかいところが有る。そのことを思うと、罪深い秘密を知ってしまったかのような後ろめたさと、飛び跳ねたくなるような得意な気持ちが心の中で渦を描いてせめぎ合っていた。
    「パーシヴァル、このことは秘密にしてくれ」
    「っ、……は、はい」
     精一杯の返事は裏返り、甘く弾けた。
     名を呼ばれたことが嬉しかった。
     秘密ということばの響きが心を震わせた。
     この世に自分と彼だけが知っている秘め事が在るということが、誇らしくてたまらない。
    「代わりにと言ってはなんだが、俺がこの部屋に居るときであればいつでも会いに来て構わんぞ」
     ジークフリートはいつの間にか眠ってしまった猫の丸まった身体を撫でながら微笑する。
    「とりあえず、もうしばらくはこの部屋で匿うつもりだ。ずっとという訳にはいかんだろうが……情が移りすぎる前に元気になってくれれば良いんだがな」
     パーシヴァルは迷った。
     ジークフリートが猫の話をしているのはわかっている。しかし自分には明らかな、下心とも呼べそうなジークフリートへの憧れがあって、それを忘れたり捨てたりすることはきっと出来そうにない。嘘をつくのは嫌いだ。猫に会いに来るという言い分でジークフリートに会いに行けば、それはジークフリートに対しても、あるいはこの小さな黒い獣に対しても礼を失することになるであろう。だから、パーシヴァルはこの申し出を断ろうと思った。だが正直な理由をうまく説明できる自信は無く、かといってここでその場しのぎの嘘をつくようでは本末転倒だ。愛らしく人懐こい黒猫の姿を見ていたいという気持ちも確かに有るので決して興味が無いわけではない。こんなに気持ちが散らかったままでは何を言ってもすべてが罪深い嘘になってしまいそうだ。
     飛び込むことを恐れてしまう。
     肉体と感情の奥底に生まれたばかりの甘美な塊をつかみ取ってしまったら、きっと何かが大きく変貌してしまう。
     それはくらくらしそうなほどに魅惑的でもあり、罪や背徳の匂いを伴ってもいて、この手の感傷に経験の浅いパーシヴァルにはどうすることが正解なのかはわからなかった。自分は未熟だ。ジークフリートから見れば子どものようなものかもしれない。だが、この気持ちを解放したらきっとジークフリートを巻き込んでしまう。俺はきっと彼のことを求めてしまう――。
    「どうした。動物は苦手か?」
     耳から脳髄へしみるような優しい声に続いて、頭の上に温かいぬくもりをもった大きなものが近づいてくる。そしてそれは、ぽんぽん、と空気を押しつけるようにして髪に触れてきた。繰り返して、数度。
     血が沸き立ち、瑞々しい感情がふくれあがって次々に花が開く。パーシヴァルはジークフリートに焦がれ、わけもわからぬままにジークフリートを求めた。すぐに離れていってしまったあたたかな手を追いすがるように見上げると、自分よりも少し背の高い彼がこちらを見下ろし、慈愛とでも呼びたくなるような色をその瞳の金にうつして微笑している。
     もっと欲しい。もっともっと。
     このひとのすべてを知りたい。このひとをつかまえて俺のものにしてしまえたら。見えない部分まで深く暴いて、俺しか知らない奥深いところに触れて徴をつけてしまえたら――。
    「……違います、子ども扱いしないでください」
     絞り出した声は無様に震えた。
     身のうちに湧いた凶暴な激情を散らす術もわからぬまま、パーシヴァルは、初めて芽吹く想いに染まる。
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    mizus_g

    REHABILI去年の秋にいただいたリクエストというかシチュエーションで「去年のイベント後、ウェールズに帰るパに、見えない不安を隠して寂しい気持ちを持っているジ、寂しさを嗅ぎ取ってギュンとくるパ」というものだったのですが想定よりジが素直になった気がしないでもない……けど寂しがるジってかわいいなあ。
    だいぶ時間経ってしまいましたがその節はコメントありがとうございました!

    ※イベント後の出来事については捏造です
     アルバノルムの軍勢が国境近くへ侵攻しているという情報が入ってから、数日。フェードラッヘは陣を敷いた軍勢を下手に刺激することのないようにと国境よりやや手前に騎士団の一隊を展開した。迎撃するには規模の足りぬ小隊であったが、背後の駐屯地にはいつでも援軍を出せるようにと騎士達が詰めている。しかし、敵勢と思しき軍は国境の僅か手前でぴたりと進軍を止め、動きの無いまま既に三日が経過していた。こちらの出方を窺っているか、あるいは何らかの事情があるのか――いずれにしろ攻め入ってこない以上はこちらから仕掛けることに大義は無い。動くに動けぬまま、前線や駐屯地では初日の緊張感が薄れ始めているとのことで、明日になって夜が明けても動きが無いようならば騎士団長であるランスロットが国境に赴いて様子を確認するという予定になっている。
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    (明かりの消し忘れか……?)
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     団長ならば執務室に居るはず、と仲間から聞いたのはつい先程のことだ。まっすぐ寄り道せずに執務室にやって来たためそう時間は経っていないし、部屋の明かりがついているので当然在室しているものと思ったのに、居ないのであろうか。
     パーシヴァルは手にしている紙束へと視線を落とした。先にたまたま城内ですれ違った文官から「騎士団長に渡しておいてくれ」と頼まれた書類だ。まとめて紙袋に入れられているため何の書類であるのかはわからないが、おそらく次年度の入団試験に関するものであろう。最近、騎士団と関わりのある文官達がよく入団試験についての話をしている様子を見かける。団長であるジークフリートが中心となって試験のやり方を改革しようという試みがなされているらしく、文官達と揉めているようだ。
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