昼下がり、よーへーの足の間にすっぽり収まる自分にむず痒さを感じつつ彼の顔をちらりと見た。
スキンシップ大事やでとか言うていつからか始まったこの恥ずかしい体勢に、俺は今もまだ慣れないというのにこいつはなに食わぬ顔で映画を見ている。映画ではちょうどキスシーンが流れていた。
意識していたわけではないのに、思わず昨夜のキスを思い出す。キスは愛情表現の一つというし俺もそうやと思うけど、でもこいつとするキスはそういうんじゃない。
唇にある色っぽいほくろに吸い付いて舐めて、ぬるりと舌を合わせたら背中から熱がはい上がってくる。でかい舌にゆるゆると口腔をあますことなくなぞられて、聞きたくない自分の甘い声が漏れ出ていく。頭はぼーっとして、気づけば腰は完全にホールドされて逃げ場がない。だめだ気持ちいい。唇を吸い返される頃には唇を奪ったはずの俺の主導権は完全に奪われていた。
「なに、ほくろ気に入ったん?」
したり顔でよーへーに聞かれてはっとする。あほ、とだけ返して画面に目線を滑らせる。映画はとっくにエンドロールが流れていた。
「さ、夕飯なに食いたい?」
全部見透かしたように笑うよーへーからふざけて触れるだけのキスが落ちる。……やめろやそういうの、俺らのキスは好きとか愛とかそーいうんやない、お前とのキスはただただ気持ちいいってだけ!それだけ!
おわり