"実験"前は食事を控えるせいでお腹がすく。
最近規則正しく美味い飯を食べるようになって胃が贅沢になったんかもしらん。前はそれほど頓着なかったのに。あー、俺は何をしてるんや、いや冷静になったら負けや。正気になりそうな自分と戦いながらうろうろしとるとキッチンにおるよーへーと目が合った。洗い物中のよーへーは両手に泡がついたまま。
「よーへー」
呼ぶやいなや顎を掬って口づける。いっつもキスんときこいつは何かしら手でも仕掛けてくるけど今日はなんもさせてやらん。舌を合わせたら左手でうなじをするりとなぞる。ピクリと動いたこいつの眉に気分が良くなった俺はさらに深く口づけた。
「ここ好きやんな?」
案外首が弱いことをこいつは隠しとるつもりらしい、けど、そんなの全部暴いてぐちゃぐちゃに溶けた顔が見たい。
「…っ今日はいつにも増して熱烈やな」
「おー。お腹すいてんねん」
言いながら後頭部をぐっと引き寄せた。
「やから、全部寄越せ」
おわり