シャワーと八重歯 髪をあらっていたら、なおきくんが、風呂場に入ってきた。
シャワーの湯で、視界がにごっていた。
(なんやろ……)
と、思っていたら、うしろから抱きついて来た。
自分より、すこしちいさい身体。
キスをカツアゲされるようになって、たくさんキスはしているけど、こうして抱きついてこられるんは、よう考えればあまりなくて、俺はあそこがピンと張るのを感じながら、俯いていた。
シャンプーをたっぷりとした湯で、流す。
鏡にも水滴がついていて、なおきくんの顔はよく見えなかったけど、水を被らんように、俺の背にくっついているのは、見えた。
さっきまで、名まえも知らんひとと、一緒にいた。
かっこよく見えるかもしれないカクテルを頼んで、それをちびちびと呑んで、それから、彼がわだかまらせている言葉と身体を撫でて、ほぐして、ここにおってもええんやって気もちになったらええな、と思いながら、やわらかくして、そんで手を振って、バイバイした。
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