「あー右足もうちょい、そう!そんまましといて!」
なおきくんはさっきから忙しなくスーツを着せた俺の写真を色んな角度から撮るのに必死になっている。
こういう時なおきくんは本当にいい顔してて楽しそうで、こっちと全然目は合わんけど、このひとが楽しそうにしとると俺も見てて楽しいから乗ることにしている。
かれこれ1時間ほど付き合ってスーツなんか着てたから窮屈になってきたとこで、この写真めっちゃよー撮れたとか満足気に写真を眺めるなおきくんを見て、ふと思い付いた。
「なぁ、なおきくん」
完全に油断してるなおきくんに向かってゆっくりネクタイを解いて行って、その両手を緩く結ぶ。
「は……?なん………、っ?!」
突然スイッチが入った俺に混乱したままのなおきくんをソファに押し倒した。
なおきくんとやっと目が合う。
結んだネクタイの上からそっと両手を押さえつけて耳元へ囁いた。
「これも撮る?」
ゴンッッッ
「アホか両手塞がっててどうやって撮んねん!」
なおきくんにそんなんいらんとしばかれて、組み敷いていた体勢も押し戻されてしまった。
「ざんねん、えっちでいいやんと思ったけどなぁ」
言いながらちらりとなおきくんを見ると文句言うてる口振りとはちがって、耳だけ少し赤い。
なんや、ナシじゃなかったって思っていいってこと?
「今度はちゃんと縛ったるな」
言いながらまだ赤い耳にキスを落とした。