朝が来た。暖かな日差しがカーテンの隙間から降り注ぎ、ベッドのそばへ落ちていく。朝が来た。バジルはゆっくりと目を開ける。
「……ふぁ、」
小さな欠伸をひとつついて、乾いた眼を潤す。大きく伸びをして、自分の身体を優しく包んでくれていた布団をまくる。バジルは目覚めがいい方ではなかった。布団の縁に腰かけて、うつらうつらと舟をこいで、夢とうつつを行き来する。今日は休日だ。もう少し寝ても良いかもしれないけれど、でも、今日はお花の世話をすると決めたのだ。夢に引っ張られそうになる意識を無理やり引き戻して、バジルは……布団に倒れた。
「ぅ……」
目は覚めたけれど、まだ少し、横になっていたかった。いや、布団がぼくを離してくれないのだ、だから、仕方ないのだ……そう言い訳をしながら、ふたたびやわらかい布団に包まれ、沈んでいく。
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