多分今の藤は、突然鳴る雷に驚きはするけれど、ぐっと堪えると思う。それで息を整えて向き直ると、雷に怖がる藤を知っている蛇が両腕広げてにこやかに待機しているので、以前の醜態を思い出して「うっ」てなる。
「だ、だいじょうぶだよっ!」って言うとこれ見よがしに(わざと)しゅんとする。それを見た藤がまた「うっ」てなる。迷いに迷って葛藤した末に藤は静かに近寄る。ちなみに蛇は藤が雷に堪えられるように成ったのを知っている。知っててやってる。傍に来た藤に満面の笑みである。悪いやつめ。
そして藤は藤で最初恥ずかしがるけど、直ぐに何時もの調子を取り戻す蛇に(……あれ……?)と段々とわざとしているのに気づくし、「わざとしてる?」と問いただしたくなるけど、蛇の我儘聞きたくなったりもするし近くに居たいしで気づかないフリする。
零れ話(1)で、「……何だか朽名の所に来てから、していいのかなって事いっぱいしてる気がする……」と藤が言っていたけど、これも一つかもしれない。
かわいい悪事は美味しいですね←