信乃・荘助●犬塚信乃戌孝(孝)
・真っすぐで正義感にあふれ、人当たりもよい好青年。深い教養も兼ね備えており、彼の話には誰もが耳を傾けてしまう。
・というと大変に聞こえがいいが、そのやさしさと誠実さゆえに人を信じすぎる傾向がある。基本的に、命の危機に陥っても「話せばわかる」で乗り切ろうとするポジティブ。それで数回死にかけている。
・度々命の危機に陥るトラブルメーカーであり、策をめぐらして乗り越えようとするが、結局大体仲間に助けられている。助けたくなるような人柄なのか、豪運なのか。おそらくそのどちらもである。
・たぶん荘助がいなかったら10歳で死んでた。
・逆に困っている仲間がいたときは、命をはって助けようとする。一度決めたら命がけで実行しようとするタフさもある。こういうところが愛されるゆえんなのかもしれない。
・諸国をめぐる間金に困ったら文学武芸を教えて金を稼ぎ、軟禁されたら太平記を読み続けるなど、読書家な面も。
・行動原理の九割五分が「父の遺命どおり村雨返還を果たす」こと。19歳でこれに一度挫折するまでは、他のことはほぼ眼中になかった。許嫁の浜路が泣いてすがるのも振り切るほど、父の遺言一直線。さすが<孝>の犬士。は?
・村雨返還の挫折後は、他の犬士たちと巡り合うことも人生の軸になった。
・生家が足利公方に仕えていたことに並々ならぬ誇りを持っている。幼少期は村の同世代の子どもたちに女装姿を笑われても、自分は何一つ恥ずかしいことをしていないと堂々としていた孤高の存在。そのせいであまり友達はいなかった。
・誇り高く慈愛に満ちた、誰からも愛される前半の主人公。
・見た目の描写は実はそこまでないが、瓜二つという山林房八が眉目秀麗な優男らしいので、美形ではあったらしい。
●犬川荘助義任(義)
・幼少期に両親を失い、村長の屋敷に拾われ下働きとして酷使され続けた苦労人。激務の間にも武芸のけいこに励む堅実な人物。
・武士でありながら家を撮り潰され、下働きに成り下がるという屈辱の中でも、武士としての誇りを持ち続けた。些細なことに大騒ぎする同僚や主人夫婦をこっそり鼻で笑い、表向きは従順に従う賢さも持つ。
・しかし<義>の犬士だけあり、間接的に母を殺した主人夫婦にも、自分をやとってくれたという恩義を感じている。主人を殺した役人を斬る。正気か?
・発言がいちいち頼りがいがありすぎる。信乃に向かって「俺がいるから大丈夫ですよ」と11歳で言う。11歳で。
・犬士の(主に信乃の)サポーター的存在。いくら悪だくみをこっそり話し合っても、荘助が壁の向うで聞いている。荘助に隠し事は出来ない。マジで。
・バチバチに頼りがいがあるので、信乃がいくらポンコツ善良お坊ちゃんでも大丈夫だと思える。
・そのわりに言動の端々に自尊心の低さがにじみ出る。「こんな俺にこんなに素晴らしい仲間がいるのですか」と言ってしまう。お前はすげえんだよ!! そんなこというなよ! 信乃はお前がいなかったら死んでたよ!!
・村長の甥である信乃を尊敬し続け、ひそかに知り合いたいと思っていた。
・どうしてそこまで信乃を尊敬して支えるのかと驚くが、おそらく過酷な少年時代を過ごし利己的な大人たちを見てきた中で、信乃のまっすぐさが希望になっていたのだろう。初めてできた友達だし。
・そのわりに弱々しい女に泣いてせがまれると、どんなことでも信じてしまい、女に騙されて死にかけたことがある。不安だ。
・家に代々伝わる刀が恐らく八犬伝で一番ヤベー刀なので、なんとしても荘助にはそれを手放さないでもらいたいところ。
・外見描写があまりなく、小柄で浅黒い肌をしているらしい。そんなにイケメン属性は与えられていない。