ただの熱だ「ただの過労です。根詰めすぎですな」
軍医のハサンに栄養剤を注射してもらったブライトは解熱剤を飲み、自室に戻った。
偶然医務室に立ち寄ったクワトロ大尉に体を支えられながら。
自然に腰を抱いてくる男に「1人で戻れる」と伝え離れるように促したが「そんな身体でブリッジに向かおうとする方が悪い」とお小言をいわれ、ブライトはしぶしぶと彼に身を預けた。
戦闘空域外であるアーガマにおいてキャプテンルームに寄る人間はいなかった。
ドアを閉めると室内奥にあるベッドに、クワトロはブライトを降ろした。
ベッドに身を預けるブライトはよろよろと布団を被り、枕に頭を乗せ、一つ溜息を吐いた。
その傍に腰掛けるクワトロ。
「……クワトロ大尉」
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