一途 「トシとおれはね、大きくなったらケッコンするんだよ」
「ケッコン?」
「うん!ずっといっしょにいるの」
「でも、ケッコンっておんなのことしかできないって」
「そうなの?ケッコンってすきなひととずっといっしょにいることだっていってたよ。トシはおれといっしょにいたくないの?」
「いたい!いたい、けど」
「じゃあ、ケッコンしようね!」
「う、うん」
「約束」
「ああ、約束だったな、近藤さん」
指切りした子供の手が、ドロッと溶けて黒い塊になるのを、俺はいつも見てるしかなかった。
それはそういう夢だからだ。
一生叶わない夢だ。