100日後にくっつくいちじろ38日目
「ただいまー!」
サッカーのピンチヒッターで出掛けていた二郎が元気よく帰宅した。たったった、といの一番で玄関へ迎えに行ったのは一郎でもましてや三郎でもなく猫のハチ。足元まであるウィンドブレーカーを羽織った二郎は鍵を閉めながら「おー、ハチ公」と嬉しそうに笑う。
「おう、二郎おかえり」
「兄貴ただいま、腹減ったー!」
「試合は?」
「勝ち!3-1で」
「すげぇじゃねえか」
今日は鍋だ。カセットコンロを用意していた三郎が「ウワッ」っと声を上げた。
「二郎お前、汗と土埃くさい!」
「え?そうか?」
「そうだよ、早く風呂入ってこいよ!食欲失せる」
「へーへー」
兄貴風呂入ってきていい?とキッチンにいる兄に尋ねると「おう、入ってこい!」とのこと。脱衣所までくっついてくるハチに「お前も風呂入るか?」と尋ねるが逃げられた。
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