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    えんどう

    @usleeepy

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    えんどう

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    ▽筋力Aとは

    ##1000-3000文字
    ##第三者がいる話

    筋力A▽酒吞ちゃんに王様がお姫様抱っこされるだけの話です
    ▽ぐだキャスギル





    「なんやの? 急にこないなところに呼び出して」
    「癪だが我も同意見だ。我を呼び出したからには重要な要件があるのであろうな? 雑種」
     いつもの笑みを浮かべている酒呑童子と、顎を上げて見下すギルガメッシュを前に、立香は真面目な顔をして二人を見ていた。
    「二人を呼び出したのは他でもありません。酒呑ちゃんの筋力Aを確認するために、酒呑ちゃんに王様をお姫様抱っこしてもらいたいと思います」
    「へぇ」
    「は?」
     二人の声が重なる。きょとんとした酒呑童子と対称的にギルガメッシュは思い切り顔をしかめた。明らかに嫌悪の表情だ。
    「まぁ旦那はんが言うなら、うちはかまへんけど」
    「そんな下らん事で呼び出すな阿呆。我は帰るぞ」
     あっさり承諾した酒呑童子の言葉を聞いているのかいないのか解らないうちに踵を返して去ろうとするギルガメッシュのマントを、立香は両手で掴んで引き止める。
    「待ってくださいーーーどうしても知りたいんですーーーー 筋力Aのすごさを知りたいんですーーーーーー」
    「馬鹿な事を言うでないわ! 我は忙しい!」
    「ちょっとだけですからー ちょっとだけですからー」
    「そない嫌がらんでも、一瞬で終わらすさかいに?」
    「ええい離せ雑種! そして貴様は黙っていろ鬼の!」
     マントを引っ張りながら引きずられていく立香とギルガメッシュの様子を、袖を口元へ寄せ、ころころ笑いながら眺める酒呑童子だけが愉しげだ。
    「こうなったら奥の手使いますよ!」
    「やれるものならやってみろ雑種」
     怒鳴るギルガメッシュに右手をマントから離し持ち上げた立香は、
    「令呪を持って命じる! ギルガメッシュ王、酒呑童子にお姫様抱っこされなさい!」
    「あれまぁ。ふふ」
     キィン、と音がして右手に刻まれた赤い令呪の一画が消える。今までの抵抗が嘘のように脚を止めたギルガメッシュがギギギ、と音がしそうなくらいにゆっくりと振り向く。
    「おのれ貴様............!」
    「さぁどうぞ!やっちゃってください酒呑ちゃん!」
    「いつでもええよ?」
     両手を広げる酒呑童子に向かって死ぬほど嫌そうな顔をしたギルガメッシュが近づく。
    「覚えておれよ雑種......」
    「ほな、いきますえ」
    「よろしくお願いします!」
     仁王立ちしているギルガメッシュの横へ回り込み、酒呑童子は長い脚の膝裏へ片手を差し込み、足払いの要領で持ち上げ、バランスを崩して落ちてきた上半身を片手でひょいと受け止める。身長差がありすぎるため背中ではなく腰のあたりを手で支えるかたちで落ち着いた。それでも長い脚が床へついていた。
    「脚上げてくれはります? これやと抱き上げた事にはならんさかいに」
    「ぐっ........!」
     ギルガメッシュが床についていた脚を上げる。どこからどう見てもお姫様抱っこの完成だ。立香は思わず拍手をした。
    「どうですか!」
    「どうもこうもあるか!」
    「図体の割に軽いわぁ。あんたはん、ちゃんと食べてはるのになぁ。それとも生前から変わらへんのやろか。こない軽かったん?」
    「そんなわけがあるか! データを見ろ!」
    「写真撮ってもいいですか」
     言いながら了承を得る前に端末でパシャパシャ撮っている立香に「やめよ」とギルガメッシュが叫ぶが後の祭りだ。
    「旦那はんも物好きなお方やねぇ」
     のほほんと言う酒呑童子だけが普段のテンションだ。まるで重いものを持ち上げているようには見えない。全盛期の頃のままのデータで登録されているギルガメッシュの体重データは若干盛られている気はするが、それでも身長と筋肉量に見合う体重ではあるだろう。それでも軽々と持ち上げられるのはやはり筋力Aの凄さと言ったところか。
    「ありがとうございます。すんっごい満足しました! やっぱり酒呑ちゃんは凄いなぁ!」
    「褒められるんは悪い気はせぇへんなぁ。ほな、降ろすよって」
     今にも人を殺しそうな眼で立香を見ているギルガメッシュを、酒呑童子は何事もなかったように床へ降ろす。すぐに立ち上がり穴だらけのボトムの尻をはたいて整えたギルガメッシュは、じろりと立香を睨めつけた。そして徐に息を吸い、
    「――我が声を聞け、全砲門、解錠」
    「え」
    「ほな、用も済んだようやし、うちは退散するよって」
    「え、ちょ、待っ」
     さっさと姿を消す酒呑童子に取り残された立香は慌てるが、ギルガメッシュの周囲にシュメル語の輪が回り始める。もう幾度となく見た光景。立香が見ているのは背中側で、今のような正面から見るのはそうそうないけれど。
    「矢を構えよ、我が赦す! 至高の財を以てウルクの守りを――」
    「アーーッ 困ります王様! カルデア内での宝具の使用はおやめください アーーーッッッ」
     立香の悲鳴が響き渡る。その後、令呪の二画目を使って何とか宝具の使用だけは止めさせた立香は、二時間ほど説教を受ける事でなんとか許してもらえたとかもらえなかったとか。
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