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    えんどう

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    えんどう

    DONE▽トンチキパラレル
    ▽王様が人魚
    ▽出会い編
    邂逅▽トンチキ現代パラレル
    ▽王様が人魚
    ▽転生してません
    ▽ぐだキャスギル






    「う⌇⌇ん、釣り日和だなぁ」
     一人用の手漕ぎの小舟に椅子を置き、両腕を目一杯伸ばして黒髪の青年――藤丸立香は眩しげに空を仰いだ。どこまでも透き通った青い空は白い雲がところどころに浮かび、ゆっくりと風に流されていく。太陽に照らされても暑過ぎず、風の冷たさもなく、人間に最適と思いたくなるような長閑な気候に立香は目を細めて、よし、と呟く。
    「よっ、と」
     派手なルアーを取りつけた竿を振り、大体の目当ての場所へ投擲する。ルアーはぽちゃんと水の跳ねる音を立てて着水し、沈んでいく。それを眺め、不規則に糸を巻いたり竿を引っ張ったり、水中の魚がルアーに興味を示すよう動かす。まあ、目的は魚を釣ることではないので、そこまで細かく真剣に動かす必要はないのだけれど。こうしていると、頭を悩ませていることだとか、日々の雑事から開放されたようで、気分がいい。この感覚を味わいたくて立香は小舟に椅子を置いて腰かけ、手繰り寄せた当たりのないルアーをもう一度遠くへ放る。ぽちゃんという水の跳ねる音が好きだ。それからすぐ側でした、魚の尾が水面を叩くばしゃんという音も。
    7607

    えんどう

    DONE▽年賀状であれこれ
    新年あけましておめでとうございます。▽年賀状出したりもらったりしてるぐだおとそれが気になる王様の話
    ▽ぐだキャスギル




     雑種は我の物なのだから、雑種の物も我のものであろう?というジャイアニズムにより、立香の自室を塒にしているギルガメッシュは、立香が先程から真剣に紙面に向かっている背中を眺めていた。本日の種火集めが終わり、自室に戻ってきた立香は大小の紙束を持っており、机にそれらを広げては小さい方と大きい方をずっと見比べているのだ。ギルガメッシュに向けられたのは、部屋へ戻ってきた最初の「ただいま」という言葉のみで、後はずっと紙を見ている。
    「貴様、先程から何をしているのだ」
    「んー、当選ハガキがないかと思って」
    「とうせんはがき…?」
     聞いたことのない言葉をそのまま繰り返してみるが、立香はギルガメッシュの疑問に気づいた様子もなく、紙面から目を逸らそうともしない。それが何故だかギルガメッシュの神経を逆撫でした。この我が言葉をかけてやっているのに、振り向きもしないとは何事か。ギルガメッシュはベッドから起き上がり、立香の側まで歩き、おもむろに立香の耳を遠慮なしに引っ張り上げた。鋭い黄金をまとった側の手でないことはささやかな手加減だろうか。
    2033

    えんどう

    DONE▽ちょっといかがわしい話
    聖なるかな▽ちょっといかがわしい
    ▽ぐだキャスギル






    「ギルガメッシュ王」
     ベッドへ仰向けに横たわり、スタッフから巻き上げたらしい書類を見つめている王を呼ぶ。返事はなく、けれど薄い金に縁取られた紅玉のような瞳がベッドサイドの立香を捉えた。それもすぐに逸らされ、元の位置に戻る視線に幾許かの寂しさを覚えながらベッドへ腰掛ける。書類に視線を落とすギルガメッシュの両の目許には金色の睫毛が影を落としていた。改めてまじまじとギルガメッシュを見つめる。陽を編んだような金の髪に、す、と通った鼻筋、薄っすら血色に色づいた形のいい薄い唇。黄金の装飾を解いているせいで露わになっている白い首筋、鎖骨、布地の少ない外套から覗く薄い胸元。花のような紋様の刻まれた鍛え上げられてはいるが細い腕に、それに似合う細く長い指、引き締まり細くくびれた腰から繋がる下肢。膝を立てているせいで赤い布がめくれ、すらりと長い脚が剥き出しになっている。髪の先から爪先まで完璧な、完成された芸術品のような半神半人の王。本来ならば自分のような人間が触れることすら赦されないのに、恋人同士のように睦みあうなど、改めて考えてみれば夢のような話である。
    1964

    えんどう

    DONE▽人理修復終わった頃のちょっといかがわしい話
    手を出してもらえない王様▽人理修復終わった頃の話
    ▽ちょっといかがわしい
    ▽ぐだキャスギル






     すべてが順調だった、とは言えないが立香たちの長いような短いような人理修復の旅は一応の終わりを見せた。人理焼却は破却され、人類史はこれからも存続する事が確定した。そんな久方振りに訪れた安寧の中で、ギルガメッシュは(立香の)自室にてその帰りを待っていた。出撃からの帰りを待っているのではない。単純に、立香が風呂から戻るのを待っている。
     人理修復後、カルデアのサーヴァントたちはお役御免とばかりに座へと帰還する者と、見た目だけならまだまだ頼りなく見える立香の行く末を案じカルデアに留まる事を選んだ者とに別れた。カルデアに残ったその誰もが立香を気にかけている者である事からも察するにあまりあるが、人理修復後の立香は引っ張りだこだった。やれ祝いだ宴だ飲み会だ酒だ呑めないなら飯だと連日連夜大騒ぎで、それに引きずり回された立香は自室に戻ってもただいまとおやすみなさいを言うだけですぐに泥のように眠ってしまうばかりで、せっかく想いが通じたのいうのに睦み合うなど夢のまた夢に思えた。
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    えんどう

    DONE▽オメガバもどきのあれ
    ▽ぐだおと番になった王様が頑張って巣作りする話
    君のための巣▽オメガバもどきの二人です
    ▽適当に設定を捏造しています
    ▽番になったあとの話
    ▽ぐだキャスギル
     
     
     
     
     
    「今度の土日、空いてますか。できれば月曜も休みを取ってほしいんですけど」
     資料の表示されたタブレットから視線を上げ、「何を異なことを」と言おうとして口を少し開いたところで硬直した。こちらを見る立香の蒼い双眸が、普段はへらへらと難しいことを考えていないよう(に見えるだけで実のところそうでもないことを知ってはいるが)な立香の表情が、その顔が、言葉を失う程真剣にこちらを見ていて、鼻で笑うことも否定することも忘れてしまって、
    「で、その……、……薬、を、飲まないでいてほしい、ん、ですけど……」
     語尾にいくにつれ小さくなる声は、けれどギルガメッシュには全て聞こえていた。言葉を失ったギルガメッシュは、息を詰めたように真剣な立香と見つめあって、その顔が、顔だけじゃなく首や耳までもじわじわと朱に染まるのを見、改めて立香の言葉を反芻する。薬、と言われて思い当たるのは抑制剤しかない。それを飲まないでいればどうなるか、ギルガメッシュはいやと言う程知っている。勿論立香も知っていて、知っている上での発言だろう。それはつまり。
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    えんどう

    DONE▽2部突入前の話
    ▽ぐだおが王様の動画を見る話
    逢いたい▽2部突入前、王様を再召喚していない頃の話
    ▽王様はいません
    ▽ぐだキャスギル




     端末のホーム画面に、似たようなアイコンが並んでいて、間違えて開いただけだった。そうしたら、サムネイルにあの人が写っていた。それで何となく開いた。それだけのことだった。
     モニターに接続して大きめの画面に映しだされるのは何気ない横顔に、こちらに気づいて不愉快そうにする顔、ベッドに寝転がって真剣な表情で書類や端末を見ている表情、何もすることがなくゴロゴロしているだけの姿、眠っている顔、寝起きのぼんやりした顔、などなど、などなど……。当たり前にあった日常の数々を収めた写真達だった。中には溶岩水泳部に半ば無理やり撮られた五人の写真、食堂のテーブルに並んだいつもより豪華な食事をみんなでわいのわいのしている様子を撮ったものもあった。ゲオルギウスがカメラで撮ったたくさんの写真達はあの時の騒ぎでおそらく失われてしまっただろうが、持ち出したこの端末には比較的個人的ではあるが写真が残っていた。カメラに気づいて手を伸ばしてくる写真、イシュタルと戯れている写真、無理を言って二人で撮った写真、ほとんどがあの人の写真だった。玉体に見惚れたか、と自慢する割に写真に残されるのは何故か嫌がった王の写真は隠し撮りに近くて、ほとんどがカメラを向いていない。懐かしさと同時に幾許かの寂しさを覚えてカメラロールを閉じる。
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    えんどう

    DONE▽王様の生身に触りたかったぐだおの話
    王様の生身に触りたかったぐだおの話▽七章の時に触っておけばよかったな〜という話
    ▽ぐだキャスギル





     出逢ったのは、四千年以上前のメソポタミア文明の頃、ウルクという国だった。初めて見た彼の王は玉座で一秒の隙もなく責務をこなし、強引な魔術師の手引きがなければ話すらできなかっただろう。しかし事情を説明する間も惜しんで手合わせをさせられ、〝まだ早い〟と断ぜられた。その上で以降はやはり協力は一蹴され、不要と拒絶されると同時に役に立ちたければ相応の功績を上げよと言われ、祭祀長に一任させる形で謁見は終了した。途中愉快な女神の乱入で王と共に戦うというその時点ではあり得ない出来事もあったが、その後祭祀長の手を借りて地道に〝功績〟を上げ続け報告をし続け、あれ程頑なだった王の気を引くようになり、王は道ゆきに同行するまでになり、王自らがうっかり死亡した際には助けに来ることを予見されるほどの信用を得、共に戦う事はないと最初に断ぜられたにも関わらず共に戦い、立香を庇う形で致命傷を負い、自らを囮として命を落とした。更には幽体で最終決戦の手助けもされ、その後、生死の概念があやふやである神代に於いてでももう生き返らぬ事を言外に教えられ、戦いの終結を告げて王は逝ってしまった。逝ってしまったのだ。完全に。身体を失い、もう二度と、手の届かぬところへ逝ってしまった。生死があやふやな世界であったからこそ、立香は当たり前のようにまたあの賢王に逢えるのだと思っていたのかもしれない。だが、ギルガメッシュが自らを使い、ティアマトを罠に嵌めたあの時と同じように自分の手は届かなかった、届かぬところへ逝ってしまったと理解したのは、少し遅れてからだったように思う。ウルクでの暮らしは確かに楽しいものであった。あの激戦を経ても尚、あの国は良い国だった。同時に、出逢ったすべての者に対しても、なんの悔いもないと思えるくらい、楽しかったのだ。それを告げた時、王は非常に満足気であり、誇らしげだった。最大の財宝であろう聖杯を立香たちに与えるほどに。そして今生の別れをし、皆とも別れ、立香たちはカルデアへと帰還した。もうあの王には二度と逢えないのだ、という、事実だけが立香の中に残った。もう、二度と逢えないのだ。もう、二度と。英霊として、サーヴァントとしてまた逢える可能性、というか既に全盛期と合わせて二人共いるのだが、その賢王に今回の記憶があるようには思えなかった。特
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    えんどう

    DONE▽珠魅パロ
    珠魅の涙▽ぐだおと王様が『聖剣伝説 LOM』に登場する『珠魅じゅみ』という種族になってるパラレルですが、設定を知らなくても読めなくはないと思います
    ▽ご存知の方には物足りないパラレルです(多分)
    ▽ぐだキャスギル
     
     
     
     
     
     雨が、ざあざあとノイズのように降り注いでいる。
     国は滅びた。民も冨も兵士も臣下も何もかもを失った。何もかもを失ったのに、己は未だ無様に生き恥を晒している。王のみが逃げてなんとする。国を持たぬならば最早王とすら呼べまい。そうなれば己はただの道端の石に過ぎない。玉石だの輝石だのと持て囃された真紅の核も、今にも砕けそうだ。もう一歩も動けない。四肢に力も入らず、木の根元に座しているのがやっとだ。それももう長くは保つまい。頭が重い。身体も、意識すら錘をつけられたように重い。ざあざあと降り続く雨は元々体温のない身体からも熱を奪う。せめて雨の当たらぬ場所を、と思って身じろぐと、ぐら、と傾いだ頭が支えられず地面にどしゃりと倒れ込んだ。濡れた枯れ葉が、雨に打たれて震えている。もう、起き上がる気力すらない。目を閉じる。何も残さず砕け散ることだけが唯一の救いだった。奴らに欠片の一片すら渡すわけにはいかない。
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    えんどう

    DONE▽王様がやきもちを焼く
    歓迎会とやきもちの話▽他の鯖の歓迎会が盛大で歓迎会なかった王様がちょっとやきもちを焼きます
    ▽不夜キャスさんとニトちゃんの歓迎会なので二人がちょっと喋ります
    ▽ぐだキャスギル








     シェヘラザードと、ニトクリスが弊カルデアにやって参りました。
    「おめでとうデザートビューティー 待ってました おめでとうシェヘラザードにニトクリス 種火なくてごめん しばらくは二人でお茶会してて」
    「はい……戦場から遠ざかるのは……それは死より遠ざかる事なので……構わないのですが……」
    「幾ら私が未熟とは言えファラオへの貢物がないとは何事ですか! 恥を知りなさい! 恥を!」
     あからさまに嬉しそうなシェヘラザードに、おこと言う言葉が似合う怒り方をしているニトクリス。しかしやはりニトクリスもどこか嬉しそうに見える。頭上のウサ耳のような飾り?がピコピコと揺れているし。夏の駄女神によるトンチキイベントでお互いを相棒と呼ぶまでに信頼を深めた二人であるからこそ、やはり嬉しさは隠し切れないのだろう。二人(主にニトクリス)をまあまあと宥めながら食堂の椅子へ座るよう促す。そこにはこの時のために用意してもらった彼女たちの国の料理が並んでいる。所謂歓迎会というやつだ。話を聞きつけた宴会好きのサーヴァントたちもわらわらと集まってきている。なかなかに賑やかな歓迎会になって立香は満足気にその様子を眺め、一人輪の外にいるギルガメッシュの傍へ歩む。
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