48 アル空「もうすぐ春になっちゃうなあ」
ホットミルクで満たされたマグを両手で持って、空はぽつんと息をついた。
アルベドのために用意された私室。その中央にあるソファに並んで座り、空と自分の膝上に一枚のブランケットを掛けたアルベドは、「来て欲しくない言い方だね」と疑問符を浮かべた。春になったら出来ることも増えるのにと、色違いのマグを自らも口元へ運ぶ。
「そうなんだけどさ。春がきたら、夏がくるでしょ? あったかくなって、暑くなるよね?」
「それはそうだね。そういう季節だから」
「そうなったら今使ってるブランケットも、しばらくはクローゼットの中に入るよね?」
「そうだね……もう少し通気性のいいものをかわりに取り出すから」
「……さむいね、って言って、そうだね、って、くっつけなくなるじゃん」
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