臣グス①【抱きたくなった忠臣と気を使われるのは嫌なグスタフ】
「ん、んぶ、っんぅ、」
口の中を占領している忠臣のソレを舐めながら、自分で後ろを弄る。虚しくはならない。最初から続けていることだし、忠臣に触れている、それだけでも感謝するべきだと分かっているから。
「んぐ、っふぅ、おぐ、っ、ぁぶ」
忠臣は挿れたくないと言った。尻のアナに入れるなど正気の沙汰じゃないと。確かに忠臣はノンケだったし、俺から迫って今があるようなもんだから、そう言ってすまなそうに俺を見る忠臣に首を振った。
ただ、どうしてもそういうことがしたくなった時は女を買うのではなく舐めさせてほしいと頼み込んだ。お前は眼を瞑って女に舐められていると思っていていいから、と。そうして俺は忠臣に触れられることを許されたのだ。
「っ、もう...!」
「ぅぐ、んん、」
震え始める内腿に手を這わし、勢い良くソレを吸う。じゅるるるる、とあまりいいとは言えない音と共に出された液体を飲み込む。
「はっ、ふ、」
「っんく、ふ、はぁ......な、ただおみ、良かったか、?」
口を離し、恐る恐る聞くと顔を赤くしながら目を開ける忠臣がコクリと頷く。その姿に安堵し息を吐く。良かった、ちゃんと忠臣の役に立ってる。まだ、大丈夫だ。安心して立ち上がり、風呂に足を向けると突然掴まれる腕。
「ただおみ?どうした、まだ足りないか?」
少し濡れている後ろを見せないようにシーツで隠して問いかける。万が一見られて引かれでもしたら嫌だからな。
「...お前は、これで満足なのか?」
まだ出してもいない俺を気遣ってくれたのだろうか、忠臣はそんなことを聞いてくる。満足な訳ないだろうがと言いそうになったのを抑えて、首を縦に降った。
「お前はそんなこと気にしなくていい。全部俺の我儘だからな」
ほら、俺は風呂入ってくるから。手離せ。なるべく穏やかな声で言い聞かせるように話し、腕を振り払う。まだ何か言いたげな忠臣を見ない振りして浴室へ向かった。
②【入れ知恵されたグスタフと倍返し忠臣】
「なぁ、今日は俺にやらせてくれ」
さぁ今からやるぞ、という雰囲気の中おずおずと進言すると、上に覆い被さっている男は眉を顰めた。ああ、何か勘違いしている顔だ。
「…それは、我を抱きたいということか?」
やっぱり。そんな事あるわけないだろうが、と首を降れば男はほっとしたように息をついた。じゃあなんだ?と目で訴えてくる男にう、と言葉を濁せば早く言えと近づいてくる男。
「何か不満があったか?なんでも申せ」
「ふ、不満なぞあるわけないだろう…!…む、むしろ、満足、」
してる…と恥ずかしさで徐々に小さくなる声で答えれば、一瞬にして満面の笑顔を見せる男。くそ、可愛いな…!
「そういう事じゃなくてだな、あのな、その、」
「うん?」
やっと大人しく話を聞いてくれる気になったのか、男は身体を起こして俺に向き直った。
「お前はいつも俺を気持ちよくさせてくれてるだろ?だけど、俺はお前を気持ちよくさせられてるか分からないんだ」
「我はお前の気持ちよくなっている顔を見るだけで達することが、」
「ちがう、そういう事じゃない」
つら、と恥ずかしい言葉を吐く男を手で制して。多分何を言っても返されるだろうなと悟った俺は男を押し倒し、その上に誇った。ぱちりと目を瞬かせる男を見下ろし、布団の横に隠して準備してあった紐で男の両手を1つに纏める。
「今日は、俺に、任せてくれ」
再度同じことを言えば、男、もとい忠臣の顔が引き攣っていく。縛られるとは思っていなかったのだろうか、解けないようにときつく結んだ紐がギチギチと嫌な音をたてる。ちぎらないところを見る当たり続けても良さそうだ。
「んっ、ぅぐ、じゅ、っんぶ、」
「ふ、っぐすた、…!」
ぶる、と震える太股に合わせ、跳ねる忠臣のソレから口を離す。
「っ、くそ...!!」
もう何回目かも分からない行為に、忠臣が舌打ちを零す。可哀想に目の前で震える性器はまだ1回も達することが出来ていない。ふぅ、と息を吹きかけるだけで達してしまいそうな性器の根元を握り、もう一度咥えた。
「じゅ、ふっ、んぐ、、」
びくん、と跳ねる性器を喉の奥まで招き入れ、きゅっと閉めてやれば上から降ってくる舌打ち。目線だけを向ければ真っ赤な顔で睨んでくる忠臣が見えた。
「もうっ、よいであろうが...!!ださせよ...っ!!」
強制的に何回も我慢させられ辛いのだろうか、いつもの余裕もなくただ懇願する姿を見てゾクゾクと何かが背中を駆け上る。嗚呼、駄目だぞグスタフ。これは忠臣に喜んでもらう為の行為なんだから。
③【愛されていたグスタフと二度と失いたくない忠臣】
私ノ名前ハボイドール。気軽ニボイチャントデモオ呼ビクダサイネ。此処ハコンパスマンショント呼バレテイマス。コンパスマンショントハソレゾレ自分ノ世界カラヤッテキタヒーロー達ガ住ム場所デス。 ...元ノ世界ニ返セバイイジャナイカッテ?...フフ、オモシロイ人デスネ。元ノ世界ナンテアリマセンヨ、イイエ、無クナッタ、ノ方ガ正シイデショウカ?アノ人間タチハ、マァ人外モ居マスガ。元ノ世界デハ亡クナッテイルノデス。人ヲ切リ殺シスギテ死刑、アニメノ世界デ、又ハソレヲオイ、自殺。他ニモ死ニ方ハソレゾレデスガ。ソウ、貴方ノ大事ナアノ方ノ死ニ方ダッテ知ッテイマスヨ。......聞キタイデスカ?
...答エハNO、デスカ。ハイ、私モソレガ賢明ナ判断ダト思イマスヨ。
サテ、私ノ話モココマデ。ソレデハ今カラハ貴方モ此処ノ住人デス。部屋ハ割リ振ッテオキマシタノデ、ドウゾコンパスライフ、オ楽シミ下サイネ
【グスタフ・ハイドリヒ、残虐な指揮官。貴方はヒーローとして登録されました。今日から共に戦っていきましょう。】
【ようこそ、コンパスへ】
案内された部屋は『タンク部屋』と言って既に2人住んでいるらしい。予定ではあともう1人増えるとか。今はバトルに行っていて居ない、と聞かされたグスタフはぎこちなく扉を開け、中を確認する。広くて綺麗だった。だけど何も無かった。
「...寂しい部屋だな」
どこか生前の自分を思い出させるような部屋に零れた言葉。始めてきた場所なのに懐かしい、とグスタフの体から緊張が消える。大きいソファに腰を下ろし、長い息を吐いたグスタフは静かに目を閉じた。
(世界が一つになり、俺の役目は無くなった。兵器として作られた俺は平和な世界には必要なく、自分でも納得し、処分された。そう、俺は死んだはずだ。)
なのにこうして五体満足で生きている。ボイドールとやらは、企業秘密と言って何も教えてくれない。ただ分かったことはある。此処は現実世界ではないこと、そしてグスタフのように死んだはずの人間が生きていること。
(情報を集めている、と言っていたな)
人間を理解するために、と抑揚のない機械の声を思い出す。グスタフは苦笑した。
(化け物と呼ばれた俺が、人間としての情報を求められているとはなぁ)
嗚呼、色々考えているうちになんだか眠たくなってきた。少し寝てしまおうか...どうせまだ帰ってこないんだろうから1時間だけ...いちじかんだけ...
――――――――――
「やめぬか!!そやつを殺す必要は無いはずだ!!」
大きい試験管の中で彼奴がお兄さんに怒鳴りあっているのを眺める。
「いいえ、総帥閣下様。この兵器は危険です。戦争がなくなった今、存在してはいけないのです。」
そうだぞ、忠臣。俺は生きてちゃいけないんだ。
「兵器などではない!!!れっきとした人間であろう!!!」
「いいえ、総帥閣下様。コレは我らが生み出した人を殺すための兵器なのです。なにより...もう存命することは難しい」
「……は?いま、なんと……?」
「兵器...いや、グスタフ・ハイドリヒは長年による毒の摂取により内蔵が腐食しています。この時まで持ったのが奇跡。移植は体に大きい負荷が掛かり、どちらにせよ1日は持ちません」
忠臣が俺を見る。うすらと眼を開けて笑う...嗚呼、知っていたさ。自分の身体なんて自分が1番知ってる。
「大馬鹿者が!そのようなこと一度も……!!っ、お主が生みの親だろう!!どうにか出来ぬのか!!!」
「......しつこいなぁ!!!」
おお、初めてお兄さんが声を荒らげるところを見たな。
「僕達だってこの可愛い子供を生かしたいに決まってんだろ!!だけど無理なんだよ!!生きられる可能性があるなら何だってやったさ!!!だけど!!!!ダメだったんだよ!!!!!!」
「っ...!」
「せめて苦しまないように!!!......この子が少しでも楽に逝けるようにするしか、ないんだよ...!」
...馬鹿だなぁ、お兄さんも忠臣も。こんな死に損ないのために涙流して。
「......出過ぎた態度、申し訳ございません。総帥閣下様。ですがご理解して頂きたい。これが最善の方法だと」
「...いや、我の方こそ何も知らないまま発言してしまった。謝ろう」
不意に忠臣が試験管の近くまで来た。...どうした忠臣
「すまない、グスタフ...我は一国の総帥であるのにお主一人救えぬ。許してくれとは言わん。...どうか安らかに眠ってくれ...」
コツン、と頭を試験管にくっ付けながら静かに泣く忠臣がいて。その姿に何故か目頭が熱くなった。
「お前...泣いておるのか...?」
嗚呼、これが泣くってことか。初めてだからよく分からないけどなんだか叫びたい。
だけどな忠臣、俺は悲しいわけじゃないんだ。辛いことも苦しいこともあった。だがお兄さんがいたし、いつからかお前もいた。こうやって怒ってくれて考えてくれて嬉しいんだ。生きていて良かったと思えるなんて来ると思わなかった。
ただ、そうだなァ。心残りはあるぞ。戦争のなくなった世界でお前の故郷の花を愛でたり、お酒を飲んで語らったり。カノーネとアンジュを置いていくのも嫌だな…。すぐ喧嘩する奴らだ。はは、俺が居なくなったら誰が止めるんだよ。……まぁ何より、お前に好きと言えなかった事が1番の心残りだ。お前にとっちゃ迷惑だったかもしれないが……。出来ればキスも、せっ、せっくすもしたかった。お前に引かれるのが怖くて、嫌われるのが怖くて言えなかったんだ。
たけどもう死ぬんだ。いいだろ、最期に一言だけ。
「何だ、グスタフ!何を…、っ!」
『おまえを、あいしてた』
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「っ、は……」
焦った忠臣の顔で最後の記憶は途切れた。よりによってあんな夢……。いや、夢では無いが。