運命🎨「へぇ、お前も絵を描くんだね。」
✂️「…たまたまですよ。気が向いただけで、画家のあなたに見せるようなものではありません。」
🎨「ふ〜ん。…いや、素人にしては妙に整ったタッチだ。モチーフだって…目の付け所も悪くない。」
✂️「あぁ、それは光栄ですね。私もこの描き方が好きですよ」
🎨「“私も”…?この描き方、誰かの模倣を?」
✂️「さぁ?遠い昔のことなので忘れてしまいましたよ。」
🎨「有名な画家なんだろう、僕もこの描き方には見覚えがある。懐かしいな…」
✂️「………えぇ、懐かしいですね。」
…
今日のゲームには僕が参加しなくてはならない。
どんなインスピレーションが僕を待ち受けているのだろうか?
怪しい“自称”占い師が連絡してきた。
ハンターは____リッパーだ。
彼の絵には何が不気味でかつ静的なものがあった。
自由なようでありながら、誰かの影に囚われているような…あまりにも淡々としていて、寒気を感じる絵だった。
彼は確か左手に大きな刃物の爪を持っていた。
たしか、こう…5本の大きな鉤爪に包帯を巻いていて…
「おや、それは…私の左手ですか?」
心臓が大きく跳ね上がるのを感じた。
全く気が付かなかった。これが彼の霧の能力…?
ひとまず距離を取らなくては。あんなもので殴られたらたまったものではない。
「そんなに怯えないで。今回は貴方に会いに来たんですよ。」
「…えぇ、そうです。貴方に会いに。」
🎨「一体、ハンターがサバイバーの僕に何の用だ。ゲームのルール違反じゃないのか?」
✂️「そんな堅苦しい事、気にするタイプですか?大丈夫ですよ。」
🎨「…ゲームを放棄してまで、どうして僕に?」
✂️「是非この左手を描いてほしくてですね、画家先生。」
🎨「……やめてくれ、その呼ばれ方は好きじゃない。エドガーだ、エドガー・ワルデン。」
✂️「では親しみを込めてエドガーさんで。私はジャックです。」
🎨「ちょっといつもと印象が違うな」
✂️「そうですか?心躍っているんですよ」
🎨「…?変な奴だな…………左手の絵だっけか。よく見せてくれ。」
「は〜、すごい集中力ですね。そんなに見られたら、私の手に穴が開きそうです。」
どうしてこんな状況になってるのかはよくわからないが、目の前の仮面の男は満足げに喉を鳴らす。
見れば見るほど不思議な男だ。紳士の仮面の下には何が潜んでいるのか。
…できた。
「ほ〜!!これが私の左手ですね!全く、恐ろしい才能をお持ちだ…素晴らしい。」
男は絵を覗き込む。褒められて悪い気はしない。
「この光、刃のしなり方、刃の欠け方、どれをとってもまさに私の左手そのものだ。………しかし…」
一瞬の間だった。気づいた頃には僕のはらわたは裂け鮮血があたりを染め上げていった。
「…ッア!??」
目の前の男は嬉々たる素振りで語る。
「ただ…ただ一つ足りない。悲鳴ですよ。」
「刃の味を味わう人の歓喜に満ちた声。私の左手にはこれが欠かせません!」
「イカれやがって…」
つめたい、さむい、くらい。これがはらわたを裂かれた感覚…