チョコと妬心 アオキにとって、バレンタインとは、海外で風変りにねじ曲がった風習が逆輸入された、チャンプルタウンの物珍しいイベントでしかなかった。
本来パルデアでは、バレンタインは愛する人に贈り物をするという、恋人同士のイベントという意味合いが強いのだが。こと、チャンプルタウンにおいては、チョコレートを贈りあうという奇妙な催しが行われる日というイメージだ。
それは、他の街よりも店舗数の多い、商魂たくましい飲食店の猛者のなかで。ホウエン帰りの宝食堂の店主の、『あっちのバレンタインはチョコレートを贈りあうんですよ』という言葉にインスピレーションを受けた者たちが『だったら自分たちの街でもやろう』と沸き立った結果なのだが。
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