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    あんとろ

    @annintotoro

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    あんとろ

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    赤い木苺 番外編 双修編(仮)***


    「藍湛、藍忘機」
    「何?」
    「俺さ、思うんだけど、これ何か違うじゃ無いのかな?本当に合ってるの?俺、何か読み間違えたんじゃないかと思うんだけど。解釈合ってる?」

    魏無羨は今寝台の上に仰向けに寝ていた。衣は全部脱がされて、両手首は抹額で一括りに縛られ頭の上にある。

    「それか、文献が出鱈目な内容だったとか」

    藍忘機は魏無羨を一目見てから黙々と作業を進める。

    「合っている」

    そう答えて絹で作られた紐を手にして、元気の無い魏無羨に手を掛ける。触れると恐怖から戦慄いているのか、震えているように感じだが、藍忘機は容赦なく紐を幾重にも巻きつけて縛り上げた。

    「痛い!藍湛キツい。優しくしてよ」

    魏無羨はまだ始まってもいないのに、既に目尻に涙を滲ませて叫んだ。しかし、藍忘機は魏無羨に巻きつけた紐に綻びが無いか触って確認するだけで、解く事は勿論緩める事もしなかった。それこそ藍忘機ですら簡単には解けないように魏無羨の根元をしっかりと結び、達して放出出来ないようにした。

    「魏嬰黙って」

    藍忘機は文献に書いてあった内容を頭の中で確認しながら、着々と準備を整えていった。

    香炉を寝台横の卓に置き、夜市で入手した香を設置する。そして火を点ければ、なんとも甘い良い香りが立ち込めた。

    「それは?」

    魏無羨は知りたいような知りたく無いような、でもやはり知りたい衝動が抑え切れず藍忘機に聞いた。

    「催淫効果がある」

    魏無羨はその言葉にごくりと喉を鳴らした。いつもだったらどんな愉しい事が待ち受けているのかと期待するのだが、今この状況下においては恐怖でしかなかった。

    「あるといい」

    一体、これから何をされるのか。自分からお願いしたこととは言え、魏無羨はいざ実践となると耐え切れる自信が無くて今すぐにでも止めて欲しいと懇願しそうになる。

    「藍湛」
    「大丈夫。私がいる。だから魏嬰も頑張って」

    藍忘機は魏無羨の頭を撫で頬を撫で最後に触れるだけの口付けを落とした。魏無羨が名残惜しいと訴えても、二度目の口付けは貰えない。

    「魏嬰、口開いて」

    魏無羨はもう言われた通りにするしかなかった。藍忘機が真綿の紐を取り出し、中央に大きな結び目を一つ作ると、それを魏無羨の口に咥えさせた。そうすることで魏無羨が言葉を発しないよう、また万一舌を噛み切ってしまわないように、藍忘機は魏無羨に猿轡を噛ませるのだった。これは二人で相談して魏無羨も承諾した決定事項だった。魏無羨はいよいよもって覚悟を決めねばならなかった。

    「魏嬰、始める」

    魏無羨と藍忘機、二人の双修が始まった。

    いつもとは違う。貪るような口付けもない、噛み付いた歯形もくれない。魏無羨の二つの果実も小さいままで赤く熟れることもない。そして、藍忘機の愛撫を誘う魏無羨の誘惑も聞こえてこない。

    藍忘機は滅多に使わない香油を手に垂らすと、魏無羨のきつく閉じられた後孔に一本、二本と続けざまに突き入れた。

    魏無羨が小さな呻き声をあげるが、特に苦しくは無さそうだ。

    二本の指で軽く解してから一度抜き、指に再度香油を絡ませてから今度は三本の指を入れた。

    不規則に動く指が魏無羨の中を柔く刺激し、拡げていく。

    暫くすると、指の刺激がもどかしいのが魏無羨の腰が揺らめき始めた。

    「動かない」

    魏無羨は無茶を言うなと思ったが、布を噛ませられているので文句の一つも言えなかった。代わりに呻き声を上げた。

    「んー!んー!」

    いつもなら性急に自身を挿入してくるくせに、こうも丁寧に指で解されては堪らなくもどかしい。更には自分の気持ちいいところを掠めるものだから、反射的に指を追ってしまいどうにも出来ない。藍忘機に慣らされ過ぎたこの身体は、自分で思っているより遥かに淫乱になってしまったのを、今日初めて自覚した。

    (お前のせいだ!)

    藍忘機は睨みつける魏無羨を無視して、執拗に指だけで後孔をかき混ぜていった。

    「んう、んん」

    そうこうしているうちに魏無羨の息が上がる。香も相まって魏無羨は早くも指だけで達してしまいたい衝動に駆られた。

    決定的な刺激の無い中でこうなのだから、藍忘機のソレが入ったらどうなるのか。魏無羨は想像したくなくとも期待してしまう。それが決して気持ちのいいものだけでは無く、これから自分を苦しめる存在だとしても、知り過ぎた自分は彼を藍忘機を求めてしまう。理性など棄てられたらどんなに楽だろうかと、これから幾度となく後悔することになる。

    魏無羨がもう欲しいと目で訴えれば、藍忘機が指を抜いて自分のを空いたそこに充てがった。

    「私が達する時は合図を送るから、合わせて」

    魏無羨は二度頷いた。

    藍忘機は魏無羨が了承したと見るや、彼の中へと自身を沈ませて行った。香油で解かされたそこはいとも容易く奥へ奥へと藍忘機を誘う。

    「んーっ!?」

    魏無羨は入ってきたと同時に出せない声を上げた。

    (おっきい?!)

    明らかにいつもより質量が違う。魏無羨はきっと香の所為だと思ったが、そんなことを考える余裕は一瞬で無くなった。

    一気に奥まで入ってきた藍忘機に、魏無羨は思わず腰を引きそうになったが、藍忘機がしっかりとその腰を掴んでいたので成す術もなく受け入れるしかなかった。

    胸を反らし、喉を仰け反らし、声に出来ない叫び声を上げた。足が宙を描いてもがくが、なんの意味も齎さない。

    たった一度の挿入で脳天を突き抜ける衝撃に襲われる。常だったら放出しているのに、今はそれが出来ない事に魏無羨は苦しんだ。

    (イキたい!)

    魏無羨は必死に藍忘機に呼びかけた。言葉を発する代わりに呻いて叫ぶ。

    「駄目だ」

    藍忘機は短く答えて腰を動かす。いつもよりゆっくりと魏無羨の中を出たり入ったりするのに、藍忘機は額に汗を滲ませていた。

    藍忘機は藍忘機で、いつもより締め付けのキツい魏無羨の中に今にでも放出してしまいそうであったが、何とか踏み止まり、慎重に腰を動かした。辛いのは魏無羨なのだから、自分は一度たりとも失敗は出来ないのだと言い聞かせた。

    何度も何度も魏無羨の中を突いて、魏無羨の中に快楽を呼ぶ。咬まされた布の隙間から、自分を誘う声が漏れて、藍忘機の気もまた持っていかれそうになる。

    「魏嬰、そろそろ」

    藍忘機は魏無羨と呼吸を合わせるべく彼に伝える。もうそろそろ一回目だと。

    まだ理性のはっきりしている魏無羨は頷いた。

    「魏嬰、出る!」

    藍忘機が一際大きくそして強く腰を引いて奥へと突く。

    「受け止めて!」

    魏無羨は頭の中を真っ白にさせて、藍忘機を受け止めた。
     
    「ーっ!!」

    くぐもった悲鳴が魏無羨の口から出て、藍忘機のそこからは藍忘機の濃縮された霊力が放出される。魏無羨の肉へとぶつかって中へと注ぎ込まれる。

    藍忘機は放出したものを一滴も溢すまいと魏無羨の身体に自分の身体をぴたりと密着させた。そして、髪を振り乱して抵抗し、暴れる魏無羨の足を抑えて付けて語りかけた。

    「魏嬰、魏嬰、しっかり」

    魏無羨の足を自分の後ろで交差させ、左手だけで器用に掴んで抑える。そうして空いた右手で魏無羨の左手の腹に手を当てた。

    「ここだ。分かる?魏嬰、ここに集中して」

    魏無羨は藍忘機の手を感じ、次に言葉を耳に入れて頷いた。

    自分の中に藍忘機が沢山流れ込んでくる。熱い、とても熱い飛沫が自分の中で爆ぜている。魏無羨はそれだけで気をやりそだった。でもそうなる訳にはいかなかった。

    魏無羨は歯を布に食い込ませ、意識を藍忘機の手に持っていき、その下、自分の身体の中にある空っぽの空間に意識を集中させた。

    張り詰めた自分自身は放出したいと訴えて、縛っている紐にその肉を食い込ませた。それが痛くて敵わない。性欲と痛みを隅に追いやり、藍忘機の言葉に耳を傾けて、手の熱さを感じ取る。

    言われた通りに全神経を集中させて、受け取った藍忘機の霊力を

    (無理だ!)

    意識すればする程、藍忘機を感じ取ってしまい集中出来ない。今すぐにでも快楽に溺れてしまいたい。ただ藍忘機を感じていたい!

    魏無羨はポロポロと涙を流した。

    (藍湛!)

    「魏嬰、感じて」

    (違うよ!感じてるよ!)

    「ここだ、魏嬰、集中して」

    (駄目!駄目だよ藍湛!集中できないよ)

    魏無羨は藍忘機を上手く受け止められなくて、藍忘機を締め付けてしまった。

    「っ魏嬰」

    藍忘機の額から汗が一雫落ちた。

    藍忘機は瞑目し一度大きく息を吸って吐いた。そして目を開くと、目尻から涙をこぼし続ける魏無羨に藍忘機は努めて優しくゆっくりと語りかけた。

    「魏嬰、もう一度」

    藍忘機は魏無羨の涙を拭って再び動き始めた。

    「ンッ!」

    もう何度達したか分からない。藍忘機はその後も二度三度と魏無羨の中に自分の霊力を注ぎ込んだ。

    その度に魏無羨は全身を反らして、出ない叫び声を上げた。涎が噛ませた布に染みて含みきれなかった水分が口の周りを汚す。縛り上げた手首は、千切れるのではと思うほど強くその拘束している抹額を引きちぎろうとする。きっと今それを外したら、藍忘機はやめてしまうだろう。それくらい見るに耐えなくて、藍忘機はもうそちらに目線は向けずにひたすら行為を続けた。

    藍忘機が毎朝溶いてやっている魏無羨の髪は、振り乱し過ぎて絡み、飛び散った汗と唾液でぐしゃぐしゃになっている。

    藍忘機は魏無羨の目元に掛かった髪を退けて彼の頬を叩いた。魏無羨が意識をやってしまい、叩いて現実へと引き戻したのは一度ではない。

    「んっ」
    「魏嬰、もう一度」

    魏無羨は頷くことは愚か、意図的に呻き声を上げることも出来ず、ぼんやりとした視界で藍忘機を見た。

    今の自分の状況が良く分かっていなかった。しかし、藍忘機の腰を動かされることで、一気に全てを思い出した。

    「んっ」

    逃げようとして腰を掴まれ逃げられない。足で退けようとしても掴まれる。藍忘機の体重を掛けられてしまえば押し返すことなど不可能なのだ。では手でと考えて、動かそうすれば、その手が縛られておりそれも叶わない。引き千切ってやろうと思っても痛みが増すだけで千切れる気配すらない。

    声を上げて止めてと訴えようにも、布を噛まさせていて叶わない。泣いても止めてくれない。

    魏無羨にはもう抵抗する術などなかった。ただ、藍忘機に揺さぶれるしか無かった。

    「魏嬰、出る」

    ああ、また。またあの熱い飛沫が自分の中に来る。叩きつけられて、感じて、イキたいのにイケなくて。泣いてうめいて。もう嫌だ。誰か助けて。

    魏無羨は奥に藍忘機の飛沫を受けた。もう、何も感じなかった。受け止めることも出来ずに、魏無羨はただ、自分の中に藍忘機の熱い精液が流れ込んでくるのを感じた。

    (あつい)

    それが魏無羨の五感の中で唯一感じた事だった。

    藍忘機は魏無羨がぴくりとも動かなくなったことに慌てた。

    「魏嬰?」

    腰を抜きそうになって、全部抜いてしまう前に、魏無羨の言葉を思い出して、再び中へと入れた。自分が吐き出した物が出てこないように魏無羨の後孔に蓋をする。

    そうして震える手を魏無羨の鼻の上に当て、息をしているか確認した。

    大丈夫、息はしている。分かると冷静になって、首筋に指を充てて脈を測った。こちらも緊急を要することはなさそうだった。本当に気を失ってしまったのだと分かると、藍忘機は口の猿轡を外した。唾液でびしょ濡れになったそれは、中央部分に歯形を残していた。
    次に手首の拘束を解いた。解くと青いあざが現れて、抹額に赤い染みを残してた。手首の皮が捲れて出血した挙句、鬱血して痣を作ってしまったのだ。

    藍忘機はそれを見て眉間に皺を寄せた。

    「魏嬰」

    自分はとんでもない事をしてしまったのではないかと。取り返しのつかない禁忌に手を出してしまったのではないかと、そう思わせるには十分な光景だった。なのに、魏無羨のそこを見た時に藍忘機は違う感情から声を詰まらせた。

    キツく締めた魏無羨からはしとどに白濁が漏れ出てきた。堰き止めきれなかった、魏無羨の白濁が管を登って外へと溢れ出てきたのだ。達することも放出することも出来ずに、行き場を失った魏無羨の白濁が流れていく。意味もなさないそれは、見れば藍忘機をも濡らしていた。

    藍忘機はそれを見て、ゆっくりと今日初めて入れた時から一度も抜き出してはいない自身を、魏無羨の中から全てを抜き出した。

    すると散々吐き出した、意味をなさかった白濁が魏無羨の後孔から溢れ出てきた。閉じることを忘れたそこは、途切れることなく藍忘機を吐き出していく。

    その虚しさに藍忘機は歯を食いしばって耐え、最後に魏無羨を禁めていた絹の紐も解いた。

    「魏嬰、すまない」

    藍忘機はとても耐えらないと、魏無羨から溢れ出る白濁をただ呆然と眺めいた。

    「すまない」

    藍忘機の頬を一雫の涙がこぼれ落ちた。

    ***

    翌日の昼。魏無羨が目を覚ますと、強い日差しが円窓から差して、その眩しさにまた瞼を閉じた。

    再び開ける時は手の影にと目を開ければ、白い布が巻かれていて、不思議に思った。

    (あれ?昨日怪我なんかしたっけ?)

    魏無羨が起きあがろうとして、激痛が走り、呻き声を上げた。

    「魏嬰」

    呼ばれてそちらを向けば藍忘機が心配そうに自分を見ていた。

    藍湛。そう応えようとして、上手く声が出さずに潰れた声しか出せなかった。

    「無理はしなくていい。水を飲むか?」

    言われて、自分の喉が渇いているのに気付き魏無羨は頷いた。

    藍忘機が水を持ってきてくれたので、飲もうとするが、先程と同じく起き上がることが出来ないので、藍忘機に起こして貰い、何とか水を飲むことが出来た。

    「腹は減ってるか?粥は食べられそうか?」

    腹は減っていたので魏無羨は頷いた。藍忘機が粥を用意する間、魏無羨はぼんやりする頭で昨日の事を思い出していた。

    (そうか双修。失敗したんだな)

    まあ一度で成功するなんて思っていないのだから別にいいが、藍忘機のあの様子では、昨夜は相当彼を傷付けたらしいと魏無羨は思った。

    「藍湛、大丈夫か?」

    藍忘機が盆を持って戻ってきた。寝台に腰をかけ、魏無羨に粥を食べさせるべく。そうして藍忘機が自分の世話を焼ことしている時に、魏無羨は聞いた。まだ声は潰れたままだが、藍忘機にはちゃんと聞こえたようだ。証拠に藍忘機は驚いて手が止まっている。魏無羨は藍忘機が何か発するより先に口を開いて続けた。

    「その、双修、せっかく協力してもらってるのに、俺が上手く出来なくて。その、お前が責任感じる必要はないぞ?お前はよくやってくれていた。だから、その、呆れないで、これからも付き合って欲しい」
    「魏嬰。それは私が君に言うべき事だ」
    「そうなのか?」
    「そうだ」

    藍忘機は魏無羨に粥を食べなさいと差し出してきた。

    「君は本当によくやっている。何度も私を受け入れようと頑張っていた」
    「そうなのか?俺何度もイキたいって思って。正直一発目からダメだった。藍湛、すんごく気持ちいいから俺、持っていかれちゃう。香炉も凄くいい匂いして、俺、もどかしくて。多分途中から頭おかしくなってた」

    赤裸々に話す魏無羨に、藍忘機は不謹慎にも耳を真っ赤にした。真面目な話をしている筈なのに、魏無羨の話を聞いていると我慢が必要になってくる。

    意識的に誘ってくるのも中心にくるが、これはまた別にくるものがあると、藍忘機は思った。

    「魏嬰、香炉はやめよう」
    「え?でも、あれ効力を上げるのにいいって」
    「先ずはならそう。少しずつ慣らしていこう。出ないともたない」
    「もたないって?」
    「君の身体と、そして私の理性だ」

    藍忘機は正直に告白すると、昨夜の双修はとても興奮していた。最初こそ理性を保とうと努力していたが、声も出さずに咽び泣き、快楽から逃れんと暴れる魏無羨に、それはもう興奮した。今すぐにでも激しくついて中をかき回してイかせてやりたいと思った。

    魏無羨は藍忘機も自分と同じ、いやそれ以上に耐えきれなかったのだと分かると、大笑いした。
    喉を痛めているのも構わずに笑うものだがすぐにむせてしまったが、それでも笑いを止めることは出来なかった。

    「アハハハハッ!ゴホッ、ハハハハハッゴホッゴホゴホッ!」

    藍忘機は魏無羨の背中を摩ってやった。

    「藍湛、今夜もいいか?」
    「それは私が言うべき事だ」

    何せ、藍忘機は全くもって元気だが、魏無羨に至っては一日目にして満身創痍だったからだ。

    「ああ。後で、霊泉へ連れてってくれ」

    藍忘機は頷いて、中断していた食事を取るようにと、魏無羨に促した。

    「食べさせてくれよ!」

    魏無羨が言うと藍忘機は魏無羨に粥を食べさるべく、雛鳥のごとく大きく開いた口に粥を運んだ。魏無羨の口の端は赤く擦り切れていたが、藍忘機は眉ひとつ動かさずに、魏無羨に食事を与えた。

    双修一日目は二人とも惨敗だった。

    霊泉で傷を癒したあとは今夜に備えて、魏無羨は寝台に横になった。少しでも体力を回復させるため、また傷を癒すために。藍忘機は横たわる魏無羨に指の先から霊力を送り、そして眠りにつくと忘機琴で清心音を弾いて聴かせた。

    何としても結丹させてやりたい。したい。二人の想いは一致している。大丈夫。きっと私たち二人なら成し遂げられる。藍忘機は諦めずにいた長い年月を思ってそう願った。もし成し遂げられなかったら魏嬰が報われない。だが、もし出来なかったら。その時は。

    藍忘機は己の心の乱れに曲を弾くのをやめた。こんな状態では宜しくない。魏嬰を見習えと。藍忘機は眠る魏無羨の横で一人瞑想することに集中した。己の中の霊力をより研ぎ澄まされたものとするために。魏無羨の中へ注いだ時に上手く彼の中に交わるようにと。

    早くも太陽が西へと傾き始めていた。

    「魏嬰、いい?」
    「いいよ」

    藍忘機は魏無羨に聞き、魏無羨は頷いた。今日は香炉は無く、猿轡も無い。手首は緩く縛り、だが、魏無羨の根本だけはキツく縛ってある。

    今夜はなるべくいつも通りにして、先ずは魏無羨が藍忘機を取り込むことに集中することにした。失敗しても構わないから、交わるより受け入れることに慣らす。受け入れることご出来たら次は混ぜる。混ぜることご出来たら初めて陰陽を意識して交わる。一気に進めるのでは無く段階を踏むことにして、着実に進めることにしたのだ。

    「魏嬰!」
    「ああ!藍湛がっ!藍湛がっ」
    「魏嬰!集中して!」

    魏無羨は藍忘機が流れ込んでくるのに、身を震わせた。

    「受け入れて!魏嬰!私を受け入れて!」
    「来るぅ!藍湛が来るよお!」

    藍忘機は魏無羨を強く抱いて、彼の中へ自分を流し入れていく。一回で上手く流れていくように、出たら動かずに魏無羨と身体を密着させた。

    断続的に突いてしまうとその度に魏無羨が気をやってしまうので、刺激を少なくして腹に集中出来るようにしているのだ。

    「藍湛が俺の中に沢山入ってくる。熱いよ。凄く熱い」
    「魏嬰、感じて?君の中に私のが入ってる?」
    「感じるよ。藍湛の、すごく気持ちいい」

    魏無羨がそう言うと、中に入っていた藍忘機がひと回り大きくなった。

    「ああ、含光君!大きくなった。なんで!?駄目、感じちゃうよ。無理だ。ねえ藍湛、イきたい。俺、イきたい。外してよ。俺の此処が可哀想だと思わないか?ねえ藍兄ちゃん。後生だ。お願いだ。一度でいいからこの紐を外してくれ」

    懸念した事態になったと藍忘機は思った。魏無羨が感じてしまうのと同様に、藍忘機もまた彼が何かを言うたびに反応してしまうのだ。

    「駄目だ、魏嬰。もう一度だ」

    藍忘機は身体を起こすと、埋めていた自身をぎりぎりまで引き抜いた。そして、今一度魏無羨の中へと押し入る。深くゆっくりと。

    「人でなし。藍忘機の人でなし。ひどいよ。道侶が、こんなに、懇願しているのに。紐を解かないなんて。あまつさえ、その太い棒で虐めるなんて。なんて酷い道侶なんだ!ああっ」

    藍忘機は聞くに耐えなくて、魏無羨の中を強く突いた。

    「やめて!藍湛やめて!いっちゃうよ。いけないから。俺、いけないのにいっちゃうよ!」

    魏無羨は顔を振り振り訴えた。藍忘機の突きから逃れる為にもがいて頭の上へ上へと逃げる。

    すると藍忘機は魏無羨の浮き上がった尻を叩いて叱責した。

    「叩かないで。お願いだよ。約束したじゃないか。叩かないって。分かったよ。逃げないよ。逃げちゃうけど逃げないから。だから叩かないで」

    魏無羨は観念して藍忘機の抽挿を受け入れた。

    「藍湛、まだ?ねえまだ来ない?俺無理だよ。早くきてよ。我慢できないから。ねえ早くきて。今ならいける気がするから早くきてよ」
    「魏嬰、黙って」

    藍忘機は今すぐにでもそのお喋りな口を塞ぎたくて仕方がなかった。そうでないと、また一段と自分を大きくしてしまい、魏無羨の敏感な処を刺激してしまうからだった。

    「嫌だね。黙らない」
    「魏嬰!」

    藍忘機は魏無羨の奥を突いた。すると魏無羨の口から叫び声が上がる。

    「そこは駄目!そこは駄目だよ藍湛。そんな奥は突かないで。気をやってしまう」

    藍忘機は荒い息を吐きながら、一生懸命に呼吸を整えた。今なら持ち堪えられる。

    「魏嬰、呼吸を合わせよう」

    落ち着いている魏無羨に、藍忘機はそう提案した。

    「分かった、合わせよう」

    魏無羨が頷いて、互いに互いの視線を合わせ、呼吸を合わせた。

    「魏嬰っ」
    「うん。いいよ藍湛。きて、藍湛」

    藍忘機は魏無羨の呼吸法をよく観察し、彼の呼吸に自分の息を合わせた。なぜなら魏無羨が藍忘機を向い入れるべく、藍忘機の動きに合わせて息を吐いてるからだ。

    魏無羨としては、藍忘機に合わせれば、おそらく入ってくる瞬間が分かり抵抗なく受け止めやすいと考えたからの呼吸であったが、同じように藍忘機も魏無羨に合わせれば彼が受け止めやすいのでは考えた。

    二人の息が一致した時、藍忘機の霊力が放出され魏無羨の中へと吸い込まれていく。

    藍忘機は呻き声を一つ上げて放出すると、同時に魏無羨を掻き抱いて彼の身体が逃げないように繋ぎ止めた。魏無羨は魏無羨で両足を藍忘機の背中に絡めて逃すまいとする。

    「くる。藍忘機がくる。俺の中に藍湛が」

    魏無羨は自分の中に流れ込んでくる藍忘機を感じた。

    (熱い!)

    奥へ奥へ入り込んでくる激流に理性が翻弄される。

    「熱い!熱い!」

    魏無羨はその激しく唸る熱に身を捩った。

    「藍湛熱い!腹の中が熱いよ!」
    「魏嬰、その調子だ上手くいっている」
    「駄目だ、熱い。腹の中で藍湛が暴れてるんだ。駄目、抜いて藍湛。今すぐ抜いて。熱くて焼けてしまう」
    「駄目だ魏嬰。抜いてはいけない」
    「嘘嘘。抜いて、熱いんだ。頼むから抜いてくれ」
    「魏嬰落ち着いて。大丈夫、此処だ。此処を感じて」
    「落ち着けない。だって藍湛が、藍湛を、此処?此処を感じるの?」
    「そう、此処だ」
    「感じる、感じるよ。藍湛を感じる。ああ藍忘機なんてお前は気持ちがいいんだ。やっばり駄目だ。お前を感じてしまう」

    魏無羨は藍忘機を見つめて言った。

    「頼む藍湛。抜いてくれ。お前のその杭を抜いてくれ。でないと俺はお前を感じてしまう」

    それを聞いた藍忘機は自分を大きく膨らませた。

    「ああ!」

    藍忘機は失態を犯したと思った。まさか自分の言葉で魏無羨が気をやってしまうとは想像もしていなかったのだ。いつも自分が魏無羨の言葉に翻弄されていたので、魏無羨が自分の言葉で興奮するとは全く想定していなかったのだ。

    「藍忘機。抜いて。解いて、俺をイかせてよ!」

    藍忘機は魏無羨の諌めの紐に手をかけた。


    ***
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