よく噛んで召し上がれ!⑫(完).
双子の悪魔が目を覚ましたのは、ほぼ同時だった。だが二人とも体を自由に起こすことは出来なかった。何故なら、兄のトランクスは兄の悟飯の腕に、弟のトランクスは弟の悟飯の腕に、それぞれ囚われていたからだ。その悟飯たちは、そろって寝息を立てていた。無防備に眠っている悟飯たちは、少し幼く見える気がした。その眠りを妨げないように、トランクスたちはひそひそと話し始めた。
「いつの間に眠っちゃったんだろ……今、朝?」
「いや、夜みたい。外暗いし」
「夜?」
兄のトランクスも窓に目を向けてみれば、確かに外には夜の闇が降りていた。そしてどこからか、フクロウの鳴き声らしきものまで聞こえて来た。しかし悟飯たちを探してこの洋館にやってきたのは、夜だったはずだ。ということは、これはつまり――朝チュンならぬ夜ホーだ。
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