Recent Search

    あおき

    ⚠飯トラ無法地帯⚠

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍚 🐯 💕 👏
    POIPOI 52

    あおき

    DOODLE未飯トラ。頂いたお題「元々の距離が近すぎて未トラに手が出せない未飯さん」で書きました。
    縮めたくても縮まらない.



    西の都までは、あと少し。しかし雲一つない快晴だというのに、そこを飛ぶ悟飯はどこか浮かない顔をしていた。世界は平和になって、ほら、都の方にもまた新しい建物がいくつも増えた。それは勿論喜ばしいことなのだが、かと言って何も問題がないということでもなく――…。

    などと悟飯がああだこうだと考えている内に、目的地が見えてきた。この街に暮らす人間で、知らない人はいない場所だ。最近塗り直された『CAPSULE CORPORATION』の文字めがけて、悟飯は高度を下げ始める。だが、その唇から無意識に溜息が零れたことには、すれ違った鳥しか気づかなかった。



    *



    「悟飯さん、わざわざすみません」

    玄関のブザーを鳴らすと、すぐに扉は開かれた。近づいてくる悟飯の気を察知して、待っていてくれたのだろう。出迎えてくれたのは、今や立派な青年に成長した弟子だった。昔と比べると、だいぶ視線も近くなったが、きれいな薄紫色の髪の合間から見せてくれる、まっすぐな笑顔は変わらなかった。荷物で手が塞がっていなければ、つい昔のようにその頭を撫でていたかもしれない。
    3730