夜のドライブを君と審神者になってはや幾年、この役割にも大分慣れた。しかし、適性があったからという理由だけで本丸と呼ばれる異空間に住み込み、365日役割を全うするのは、なかなか精神的にクるものがあることも事実。本丸の刀剣男士たちとの仲は良好だが、こればかりは仕方がない。一定値を超えそうになるフラストレーションを布団の上をゴロゴロ転がって散らせようとするが、余計に目がさえるばかり。
「眠れない……」
審神者にだって眠れない夜ぐらいあるのだ。昔はそんな夜ばかりだったが、いい大人となった今では、審神者はこのフラストレーションの解消方法を知っていた。寝巻の浴衣からラフなジーンズとTシャツに着替え、そっと部屋から抜け出す。目指すは転送ゲート。現世の自室にだけは自分一人でも転送できるようにと設定していた。完全に一人になって、なんとも安心するにおいの毛布にくるまって、明日の朝には戻ってくる。そんな夜だってたまには必要なのだ。
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