彼の名「あれ、エルベじゃない」
「げ、ハトラ」
「『げ』だなんて。言ってくれるね〜」
夜も更ける頃。
ヌビア学研究所内にあるコンビニエンスストア。
その飲料売り場の前で偶然出会ったのは、【ヌビアの子/記憶】であるエルベと、【ヌビアの子/野望】であるハトラだった。
「キミ、まだ未成年だよね〜?良い子はこんな時間にお外に出ちゃダメだよ〜?」
「ご忠告ありがとーな、でも俺は良い子ちゃんじゃ無いんでね」
エルベはハトラを無視して、2Lのペットボトルを2つ手に取った。サイダーとコーヒーだった。
「お客さんでも招くのかな〜?」
ハトラの言葉に、エルベは一瞥をくれる。しかし、返事はしなかった。悪態をつくでも、わざと誤魔化すわけでもないその様に、ハトラの好奇心が擽られる。
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