セーヌ誕アタシは高校の校舎を出ると、勢いづけて走る。
目指すはヌビア学研究所附属図書館、その解剖生理学分野スペース事務室。
そこに、今日会いたいと思っている人────アタシと同じヌビア解剖生理学分野で実験対象になることの多い【ヌビアの子/スタミナ】─────セーヌがいるはずだ。
図書館そのものまでは、しっかり走ればものの1分程度で辿り着く。息なんか切れるはずもない。むしろ、この玄関から件の事務室まで移動するほうが大変だった。
つくづくこの図書館は縦にも横にも広い。(アタシにはそれら全てを把握しきれないほど多くの)ヌビアの名を冠する様々な学問にまつわる蔵書が収められているのだから、当然、図書館も巨大になるというものだ。ヌビア解剖生理学なんかは比較的マイナーな学問なのだが、それでもその蔵書だけで、広大な図書館の半フロア分が埋まってしまう。ヌビア学、ひいてはヌビアそのものの偉大さを思い知らされる。
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