つみ の みつ-第2話- 2.
「へぇ。先方からの熱烈なアプローチで押し切られたんですか! あの降谷さんが押し切られるってことは余程熱烈だったんでしょうね」
「はは。まあ、そうかな」
少し照れたように笑い、ジョッキに半分残ったビールを男らしい喉に流し込む正面の男前に、オレは内心舌舐りをする。立派な喉仏が上下する様の、何と肉感的なことか。
目の前の年下の性悪に狙われていることも知らない新婚の男は、少し嬉しそうに頬を緩め「そういう君の方はどうなんだい?」と切り返してきた。
「オレですか? オレはサッパリですよ」
「またまた。俺の耳に何も入ってこないとでも?」
「うへぇ。コワイなぁ。公安って一介の大学生の恋愛事情まで完全マークするんですか?」
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