For you.朝、自室の扉の下に紙切れが差し込まれていることに気付いた。
「……何だこれ」
ブラッドリーは首を傾げながらそれを拾い上げる。掌よりも少し大きいくらいの紙切れには、よく分からない記号のようなものが羅列していた。一文だけのそれは、太い角ばった線で紙切れのスペースをめいいっぱい使って記されている。
「何かの魔術か……?」
訝しげにそれを眺めて、何の気なく紙を陽の光に透かしてみた。特に変化はない。魔法の気配を探ってみるも、何も感じない。ブラッドリーは再び首を捻った。魔法陣で使用される記号に近いように見えたのだが、どうにも違うらしい。魔導書は何度か読んだこともあるし経験もあった。そこで見たことのある記号な気がしたが、魔法の気配がない以上外れている可能性の方が高そうだ。もしくは、彼でさえ感じ取れないような、高度な隠蔽魔法がこの紙に施されているか。
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