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    銀鳩堂

    ここには草稿をポイポイあげて、溜まったら整えてpixivやカクヨムに移植しています。
    ツイステ二次創作小説の長編案が降りてきたので現在は主にそれを書いてます。
    pixiv⇨https://www.pixiv.net/users/68325823

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    銀鳩堂

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    ヤンクロ第二部1.5話「出会い」後編
    構想が固まらず止まっていた二部ですが強引に再起動。試運転的に出会いシーンの続き、王とグリムヒルデ(後の美しき女王)の出会いを書きました。
    アニメ版「白雪姫」には無いシーンで「みんなが知らない白雪姫」の筋立てとも違っていますが書きやすい方向に進んでみます。最後にカラス(鳥類)の豆知識(異種族恋愛事情)付き。豆知識は恒例にしたいです☺(本文1327文字)

    #ツイステファンアート
    twistedFanArt
    #ディア・クロウリー
    dearCrowley.
    #クロウリー学園長
    crowleyPrincipal.

    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部1.5話「王との出会い」(第一話前半はこちら⇨https://poipiku.com/3625622/6059932.html)


     大鴉おおがらすのディアヴァルは、美しい乙女の姿に見惚みほれていた。
     なんと美しい髪の毛。瞳も、顔も、何もかも完璧な美の化身としか思えない。いくらでも眺めていることができる。
     彼のこれまでの生涯で、こんな気持ちになるのは初めてのことだった。
     心臓がドキドキして胸が苦しく身体は熱くなって、クロウタドリの様に歌いたいような、ハヤブサの様に飛翔したくなるような、得も言われぬ心地がする。
     この奇妙な心地は何なのだろう。まるで何か魔法にでも掛かったみたいだ。そう思っているその時、乙女の家の門の前に立派な馬に乗った男が供を何人も連れて通りかかった。
     男は、リンゴの木に吊るされたたくさんの鏡を見上げて、感嘆の声を上げ立ち止まった。
     ちょうどそこへ、家の中から乙女が鏡を持って出てきた。
     男は乙女に目を留めると唐突に動きを止め、しばし目を丸くして乙女を見ていたが、やおら下馬すると彼女に歩み寄り、話しかけた。
     話しかけられた乙女は、最初ははにかみながら受け答えしていたが、途中で「ええっ?!」と叫ぶと手に持った鏡を取り落した。鏡は地面に落ちて砕け散り、破片が飛び散った。
     娘は慌てて男に侘びながら欠片を拾い集め始めたが、よほどうろたえていたと見えて指を破片で切ってしまった。
    「あっ……」という小声の悲鳴と共に、あかい血の玉が指に膨れ上がりこぼれ落ちる。
     男はやおら、その手を取ると口に含んで止血をした。その行動に、娘が顔を真っ赤にしてしどろもどろで無礼をわびているのが見て取れる。
    「いけませんわ、お召し物が血で汚れます!!」
     と娘が言うと、男はほほえみながら答えた。
    「貴方の血で汚れるのなら服も名誉と言うものです」
    「いえ、すぐに綺麗にしなければ、しみになります。せめてそのくらいは私にやらせて下さい」
     それを聞いた男はうなづき、供の者に馬を見ているよう命じると乙女と共に小屋のなかへと消えた。
     ディアヴァルは二人のことが気になってたまらず、こっそり屋根に舞い降り、暖炉の煙突に乗って中に耳を済ませると、案の定、切れ切れに会話が聞こえてきた。
     驚いたことに、男はこの国の王だという。たまさかお忍びの狩りの帰り道に鏡の輝きに魅せられて立ち寄ったら、鏡よりも輝かしい宝を見つけた。どうか自分の妻になって欲しい、と娘に話しているのだ。
     それを聞いたディアヴァルは、奇妙な胸騒ぎを覚えた。なんだろう、この気持は。おかしいな、変なものを食べたわけじゃないのに、喉に虫がひっかかって動いてるみたいな嫌な気持ちだ。
     そんなことを考えていると、男が娘に名前を聞いた。
    「グリムヒルデと申します」と娘が答えた。
     美しい声だった。鈴よりもフルートよりも、どんなに歌の上手い鳥よりも美しい。
    「グリムヒルデか。良い名前だ。支度を整え必ず迎えに来る。それまで待っていてくれるな」
     人に命じることに慣れた男の言葉。相手が受け入れることを疑うことすらしない。その物言いに、ディアヴァルはまた、なんとも言えない不愉快な気分になるのだった。
     だが、グリムヒルデは頬を赤らめてうつむくと、小さな声で「はい」と答えたのだった。





    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    【カラス豆知識】
    カラスと言うよりは、鳥類全般に言えることなのですが、実は彼らは案外簡単に異種族愛に墜ちます。
    手乗りの文鳥やインコ、オウムなどが飼い主やその家族の誰かに慣れ慣れで身体にも触らせてくれるし、♂なら求愛ダンスや餌の吐き戻しまでしてくれることがありますよね。
    あれは、鳥視点では、相手を恋人認定しているのです。
    かの動物行動学の開祖、コンラート・ローレンツの「ソロモンの指輪」にも、ローレンツ博士に恋したコクマルガラスの♂の話が出てきます(博士は男性なのだけどそこはカラスには気になかった模様)。
    博士に求愛給餌をしようとして噛み砕いたミルワームを食べてもらえなかった時、そのカラスは思い余ったのか、博士の耳の穴にミルワームを詰め込んでしまったそうです。
    博士にとっては大迷惑ですが、カラスにしてみれば、なんとしても愛のあかしを受け取ってほしかったのかも知れませんね。

    しかし、番の相手になる他の同族がいる場合は、人間ではなくそちらと番になってしまうことが多く、せっかくベタ慣れだった個体が、お相手をお迎えしたばっかりにそっけない態度に変わってしまうことがあります。
    逆に、繁殖させたいのに伴侶と決めた人間一筋で、同族の「お相手」を見向きもしなかったり(ローレンツ博士のカラスはこのパターン)、下手をすると縄張りを荒らすよそ者とみなしていじめてしまうことも。
    一羽飼いの手乗り鳥のお相手選びはどうか慎重に!

    鳥が人間を番の相手に選んでしまう傾向は、個人的な経験ですが、高知能な種族ほど可能性が高まるように思います。
    それほど知能が高くない種族ほど、同族が現れると簡単に人間のお相手を捨てて乗り換えてしまいますが、高知能な種族はそういう切り替えが出来ない(しない?)ことが多い。
    ことに大型オウムやカラスともなると寿命も長く野生の状態でも番の相手が死なない限りは一夫一婦を貫くので、人間に恋をした場合でも同じ様に愛を貫くことになります。
    また、オウムはとても繊細で、人間の飼い主が先立ってしまったあと気落ちして餌を食べなくなって死んでしまう場合もあると聞いたことがあります。これも番の相手を失った失意からなのかもしれません(これがあるので寿命が30年~80年にもなる大型オウムには、買主側が中年以降に飼育開始するべきではないでしょう。飼い主が先立つ可能性が高くなりますので)。

    こんな風に、鳥は感情豊かで情の深い生き物なのです。
    もちろん、カラスもね。
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    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部23話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の23話。七人の小人たちが小屋へ戻ってくる!女王の扮する老婆は危機を告げるディアヴァルに促されてその場を逃げ出したが…。(本文約2600文字/今回、豆知識はお休みです)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部㉓話「老婆と七人の小人たち」 ディアヴァルにかされて、老婆にふんした女王は森の中へと走り込んでいった。
     ディアヴァルが空に舞い上がって偵察してみると、木立の隙間からちらちらと、小人ドワーフたちが転んだり滑ったりしながらも家を目指して走っているのが見えた。あいつらあんなに足が短いくせに、なんであんなに早いんだ? それなのに、老婆の姿の女王は早く走ることが出来ない。早くも息をはずませて、苦しそうに走っている。ディアヴァルは女王の直ぐ側まで舞い降りると、枝から枝へと飛び移りながら女王の後を付いて行った。
     女王は森の踏み分け道を走って戻っていく。その後ろから、大声で叫ぶ怒った小人ドワーフたちの声がかすかに聞こえ始めた。このままでは追いつかれてしまう! どうすれば良いのだろうか? ディアヴァルは女王のそばを離れ、小人ドワーフたちの方へと戻っていった。
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    銀鳩堂

    PROGRESS【シリーズ移植のお知らせ】第一話は最終話(⑮話)に回収され消滅しました。このファイルは初期版の保存のため残してあります。校正済みのシリーズ最新版はpixivへお願いします。
    pixivのシリーズ目次URL
    https://www.pixiv.net/novel/series/8421068
    (2022.01.27.書き換え。書き換え前のキャプションは本文冒頭に転載して保存)
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第1話「茨の魔女の敗北」【初期版キャプション保存】
    ヤンクロ第1話「茨の魔女の敗北」TEXT版
     クロウリー学園長の過去話(捏造200%)を連載中。完走したら多分あちこち修正が入ると思います。(話が途中で矛盾したりするかもしれず…)
     画像版だけ「第一章」って書いちゃったけど第一話ですね…。後々校正する都合でテキスト版もUPしました。今後はTwitterには文庫ページメーカー画像を投稿、こちらはテキストで行きます。



    ~*~*~ 本文(修正なし)~*~*~


     轟音ごうおんと共に鮮やかな黄緑の炎が吹き出し、橋の上を舐めるように走る。
     そのみなもとには巨大なドラゴン。裂けよとばかりに開いたあぎとを閉じると、上体をそらし、振り上げた前足を力強く足下へと振り下ろす。筋肉の動きにつれて金属光沢を帯びた鱗がうねる。陽光を反射し輝くさざ波がドラゴンの体表を走る。
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