無題セフレ🎷❄️だけど❄️にセフレやめよって言う🎷の話
「もうやめるべ、こういうの」
ベットで横たわる雪祈の方を振り返る事なく、シャワーから帰ってきた大は静かな声でそう告げた。己の爪痕が僅かに残っている大きな背中は見つめる。その痕も大が羽織ったシャツで見えなくなった。そして数日で、跡形もなく消えるのだろう。
呆気ない終わりに雪祈は思わず笑みを零した。
知っていた、分かっていた。
いつか必ず、こんな日が来る事なんて、他の誰でもない雪祈が一番よく理解していた。
『別れ話をする時は相手の顔を見るのが礼儀なんですけどね』なんて強がりも言えない。
そもそも付き合ってもいなかった。ただのセックスフレンドで、お互いに都合のいい性欲処理だけだったではないか。
『辞めたくない』『ずっとお前が好きだった』そう素直に言えれば、大はこの関係を続けてくれるのだろうか。否、そんな女々しい事が言える筈もない。
大を縛り付けておく事は出来ない、してはいけない。大は自由であるべきだ。傍にいる事はできない。
目の奥がじんと熱くなり、涙が零れ落ちそうになるのを懸命に堪えながら「いいんじゃねぇの」とだけ呟く。ふー、と息を吐くとそれと同時に涙が一筋流れて頬を濡らす。
駄目だ、まだ大はいる。泣いてはいけない。
大にバレない様にと布団を頭から被る。
布団を被ると先程までの情事が鮮明に脳裏に浮かぶ。抱き締められて、キスをされて、幸せだった。好きだとは一度も言えなかったけど、雪祈は日本にいる時から大が好きだった。
布団の向こう側から「雪祈」と声を掛けられたが無視をした。今喋る事は出来ない。早く出て行ってくれと念じ続ける。
数回の呼びかけを全て無視をした後、漸くアパートの扉が音を立てて閉められた。
バタンと閉ざされた扉の音は、雪祈の恋が終わる音だった。
大の香りがするベットに包まり、大の香りがする枕に顔を埋め、誰もいなくなった部屋で雪祈は一人泣いた。
あとがき
後日セフレを辞めて恋人になろうって意味だった事を🎷がきちんと❄️に伝えてハッピーエンド!
結婚しろ、結婚