季節はずれのクリスマスプレゼント 全てが偶然だった。
その日、堂本はクリスマスからかけ離れたアルバイトを選んだはずだった。
それなのに、「こんな日ぐらい早くあがらないとね」と上司が気を利かせた結果アルバイトが早く終わってしまい、帰りがけに「お疲れさま」と飴までもらってしまった。
帰り道へと一歩踏み出せば、いやでも色とりどりに瞬いているトナカイやプレゼントなどのイルミネーションが目に入る。目を逸らした先にはサンタ姿で呼び込みしている人。その反対側を向けばケーキが入っているであろう箱をそうっと持っている人がいる。
歩けば歩くほど真っ直ぐ帰る気力が失せていき、堂本は少しでも日常らしさが残っている場所を探すことに意識を向けた。
(…やはり大人しく部屋に戻ったほうがよかったかね)
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